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訴状が届いたら

  • 訴状とはどういうものですか?
  • 訴状を無視するとどうなりますか?
  • 訴状が届いたらどうしたら良いですか?
  • 自分に全く言い分がない場合でも無視しない方が良いですか?
  • 怪しい「訴状」が届いたのですが?

    • 訴状とはどういうものですか?
      訴状とは,裁判を起こした人(原告)が,その言い分を記載して裁判所に提出する書類のことです。
      裁判所は,原告の訴状を受理すると,その相手方(被告)に対して,特別送達という方法(書留郵便)でこれを送達することになっています。具体的には,郵便局員があなたの自宅等を訪問し,あなた本人または同居の家族などに手渡しで訴状の入った封筒を交付して送達します。
      訴状が入っている封筒には,通常,期日の呼出状や答弁書の書き方を説明する書類などが同封されています。

      訴状を無視するとどうなりますか?
      訴状が送達されたのに,何もせず放っておくと,呼出状に記載された期日にあなた不在のまま裁判が行われ,あなたの言い分は無いものとして,原則として原告の主張どおりの判決が下されてしまいます(いわゆる欠席判決)。
      例えば,Aさんが,あなたに対し,1000万円を貸したのに返さないので1000万円を支払え,という内容の訴状を裁判所に提出して裁判を起こしたとします。この場合,あなたがこれを無視したまま放置すると,たとえ,あなたに1000万円を借りた覚えがないとか,1000万円は借りたけれども300万円は返したなどの言い分があったとしても,Aさんの主張どおり,あなたに対して,1000万円の支払を命じる判決が下されてしまいます。
      そのような判決が下されると,その内容を記載した判決書があらためてあなたに送達されますが,そこからさらに2週間が経過すると判決が確定し,原告の言い分がどんなに事実無根の内容であっても,極めて特殊な場合を除いて,もはや,争うことはできなくなってしまいます。
      判決が確定すると(場合により確定前であっても),原告は,その判決に基づき,あなたに対して強制執行をすることができるようになります。上記の貸金の例でいえば,Aさんは,あなたの給料を差し押さえたり,自宅の不動産を競売したりすることなどができるようになります。また,家屋の明渡の裁判であれば,裁判所の執行官があなたの自宅に来て,強制的にあなたを追い出してしまうことになります。

      訴状が届いたらどうしたら良いですか?
      訴状が届いたのにこれを無視すると,上記のように,あなたにとって重大な不利益が生じてしまいます。
      これを避けるためにあなたがしなければならないことが二つあります。
      一つは,訴状に同封されている説明書に従って「答弁書」という書類を作成し,期限までに裁判所に提出することです。
      もう一つは,呼出状に記載された期日に裁判所に出頭することです。どうしても都合が付かない場合は,裁判所に電話などでその旨連絡して相談して下さい。
      答弁書の作成や期日への出頭は,ご本人でももちろんできますが,それなりの手間がかかりますし,複雑な事件では専門家でないと対応が困難な場合もありますので,訴状が届いたら,まず,弁護士に相談されることをお勧めします。このホームページでも愛知県弁護士会の法律相談センターのご紹介をしていますのでご利用下さい(交通事故や離婚に関する相談など特定の相談については初回相談料が無料となっています。詳しくは法律相談センターの紹介欄をご覧下さい。)。

      自分に全く言い分がない場合でも無視しない方が良いですか?
      訴状に記載してある原告の主張に間違いがなく,あなたの方には法律的な言い分が全然ない場合であっても,裁判所に出頭することは無意味ではありません。あなたの事情を裁判所で述べて,裁判所に和解のあっせんをお願いすることができるからです。
      和解は,最終的に原告が応じてくれなければできませんが,例えば,貸金を分割払いにしてもらうとか,家屋の明渡をしばらく猶予してもらうなどの案があれば,裁判所が和解をあっせんしてくれる場合があります。

      怪しい「訴状」が届いたのですが?
      オレオレ詐欺から始まったいわゆる特殊詐欺の手口は,近年,ますます巧妙化し,裁判所や弁護士の名を騙ってニセの訴状を送りつけ,お金をだまし取るような例もあるようですので,十分ご注意下さい。
      前記のように,本物の訴状は,特別送達という方法で裁判所から送達され,事件番号等を記載した呼出状等が同封されていますので,普通郵便でポストに入っていたり,連絡先として携帯電話の番号が記載されているようなものは,ニセモノである可能性が極めて高いと思われます。
      とはいっても,素人の方が,本物かどうか判別するのは困難ですし,もし本物だった場合,無視すると上記のような重大な不利益が発生しますので,裁判所に直接真偽を確認することをお勧めします。その場合,配達された「訴状」等に記載してある電話番号に電話するのは危険ですので,ホームページや電話帳など,他の手段で裁判所の連絡先を確認して電話するようにして下さい。