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愛知県弁護士会 井口浩治新会長に聞く

中部経済新聞2021年4月掲載
愛知県弁護士会 井口浩治新会長に聞く

井口先生.jpg*コロナ禍が終息せず大変な変な時期に会長に就任することになりましたが。

―数多の接触制限の中で、生活様式だけでなく、社会活動や仕事のやり方も変わってきたと思います。リモートやオンラインでの対応が取り入れられていますが、我々の業務においても、どうしても対面を要するもの、オンラインで足りるものを選別する必要が出てきたと考えています。

*例えば法律相談はどちらに向かうのでしょうか。

―行政が実施している相談では、既にLINEやウェブ会議ツールを利用した相談が行われています。我々の行う法律相談もオンライン化を検討すべきだと思います。しかし他方、オンライン技術に疎い方々からの相談をどうするか、法律相談という秘密性の高い話を扱う以上セキュリティーに万全を期す必要がありますがどのようなアプリケーションを採用すると良いのか、など検討を要する事項は多数あります。

*さて、昨年度は、弁護士会のいろいろな市民向け行事が多数中止になってしまいましたね。

―残念でしたが仕方なかったですね。単に一方的に発信するだけなら当会ホームページに動画を掲載する方法でも可能です。しかし、双方向や多方向での対応を要する場合には他の手段を検討せねばなりません。昨年は試行的にウェブを利用したオンライン授業を行ったりしたので、今年は更に工夫していろいろな行事を実施していきたいと思います。

*憲法について、どのように考えますか。

―憲法前文や9条で採用された恒久平和主義は堅持すべきです。国際情勢の影響を受けながらも自衛隊の武力行使に歯止めがかかっているのは、恒久平和主義が基本原理としてあるからです。戦争体験者の減少により戦争の痛みが薄れているように感じますが、戦争の悲惨さを真剣に受け止め、二度と戦火に見舞われないようにすべきだと思います。

 また、内閣が憲法の理念を無視して暴走していると思われる事態が散見されます。その歯止めとしても憲法は重要です。

*弁護士会は近年種々のセンターを立ち上げたと聞きましたが。

―まず「あいち中小企業法律支援センター」があります。中小企業の皆様に対する総合的な法律支援を行っています。コロナ対応の相談も受け付けています。税理士会、商工会議所等の団体や金融機関など関連組織との連携を図り、共同でセミナーを実施したり、法律相談会を開催したりしています。

次に「行政連携センター」があります。地域住民の福祉向上を目指して地方自治体との連携を強化して法的サービスの拡充を目指しています。既にいくつかの市町村と各種協定が締結されています。

また、この行政連携センターを窓口としてスクールロイヤーも配置しています。

*他にもありますか。

―そうですね。「紛争解決センター」も多数利用されています。最近は養育費の不払い問題の解決策として、紛争解決センターで合意が成立したら直ちに裁判所に持ち込んで即日調停・即決和解を成立させて、不払いの場合に強制執行が可能となる債務名義にする協議が裁判所との間でできました。 

また、甚大な自然災害が発生した際に被災者が利用しやすいように申立の援助もできるようにしました。

特に「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」がコロナにも適用されるようになったので、コロナの影響で借入金等の返済に苦慮している方にも是非ご利用いただければと思います。

*弁護士会が紛争解決をするのですか。

―弁護士は基本的人権の尊重と同時に社会正義の実現も使命です。社会正義の実現を目指して紛争解決の一助を担っています。その趣旨を同じくするものとして「愛知住宅紛争審査会」もあります。ここでは弁護士と建築士が紛争処理委員となって、建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅や保険付き住宅の瑕疵に関する紛争の話し合いによる解決を目指しています。相談も受け付けています。

*いろいろあるんですね。最後に、読者に一言お願いします。

―愛知県弁護士会はホームページだけでなく、ツイッターフェイスブックユーチューブなども利用して市民や企業の皆様に対し役に立つ情報発信を行っています。是非ご利用下さい。