秘密保護法・共謀罪法対策本部とは?

 秘密保護法・共謀罪法対策本部(以下、単に「対策本部」といいます。)は、日本弁護士連合会の秘密保護法・共謀罪法対策本部と連携しつつ、秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)および共謀罪法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律)の制定に反対し、それぞれ2013年12月と2017年6月に制定された後は、廃止を求め、また実質的発動をさせない活動を続けてきました。


市民の管理・監視が強まっています!

 秘密保護法と共謀罪法は、どちらも、公権力による、過度な市民の管理・監視を招きかねないという危険性があります。


秘密保護法

 秘密保護法は、漏えいすると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を「特定秘密」に指定し、特定秘密を外部に知らせたり外部から知ろうとしたりする人を処罰することによって、特定秘密を守ろうとする法律です。このため、特定秘密を取り扱う人を管理・監視する仕組み(「適性評価」制度)が規定されています。


共謀罪法

 共謀罪法は、盗む、脅す等の犯罪の実行行為が行われる前段階の犯罪の計画および準備行為を処罰する法律です。結果発生前の、計画・準備段階で取り締まるのですから、捜査機関が市民の日常の行動を監視することが必要になります。

 このほかにも公権力による市民の管理・監視を強めることになる法律が、近年、次々に制定されています。


土地調査規制法

 例えば、2021年6月に制定された土地調査規制法(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律)は、防衛関係施設等の重要施設等の周囲にある土地や建物が、当該重要施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止しようとする法律です。注視区域等に指定されると、区域内の土地等の利用状況等が調査されるなどします。


経済秘密保護法

 また、今年5月には、経済秘密保護法(重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律)も制定されました。

 この法律は、経済安保情報を秘密指定して、秘密の漏えい等を防ごうというものですが、

①漏えい等が処罰の対象になる「重要経済安保情報」の内容が抽象的かつ極めて広範であるので、恣意的に指定される危険が高い、にもかかわらず、「重要経済安保情報」の漏えいまたは取得行為が処罰されるので、ジャーナリストや市民が情報を取得しようとする場合に萎縮効果が生じ、国民の知る権利が著しく害される。

②秘密保護法ではほぼ公務員に限られていた適性評価の対象者が、経済秘密保護法では民間の技術者・研究者にも広がり、その結果、対象者の犯罪歴、情報管理、薬物使用、精神疾患、飲酒節度、信用状態等のセンシティブな情報や、対象者の家族・同居人の情報までもが、内閣総理大臣の下に集積されることになる。

などの問題が指摘されています。
 とりわけ②の適性評価は、公権力による市民の管理・監視をより一層強めることになるもので、プライバシー保護の観点からも大いに問題があります。

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[2024年3月27日に日弁連主催で開催された「経済安全保障分野に厳罰を伴う秘密保護法制を拡大することに関する院内学習会・第二弾」の様子。愛知県弁護士会からも対策本部委員3名が参加しました。]


 愛知県弁護士会では、経済秘密保護法案が衆議院を通過して参議院に送付された段階の4月19日付で、「「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」案の抱える問題点の解消がなされないまま可決されることに反対する会長声明」を、同法成立後の5月16日付で、「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の成立に対する会長声明」を、それぞれ発出しました。

 対策本部は、この経済秘密保護法についても、粘り強く廃止を求め、また実質的発動をさせない活動を続けていきます。


対策本部の活動にご協力ください!

 対策本部や弁護士会だけでは、法の誤った運用を防ぎ、権力の暴走を防ぐことはできません。これからも、『秘密保護法・共謀罪法対策本部ニュース』の発行やシンポジウムの開催などを通じて、市民の皆様に情報発信して啓発活動を続けて参りますので、ご協力をお願いいたします。