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サラ金・クレジット被害についてのご質問

サラ金・クレジット被害に関するご質問にお答えします。ご興味のあるQ(問い)をクリックして下さい。

1. 借金の問題を弁護士に相談したいのですが、どうすればいいですか。

 愛知県弁護士会は、名古屋駅にある「名古屋法律相談センター」の他に県内の10箇所に法律相談センターを設置し、借金の問題に関する相談に応じています。0570-783-110へお電話いただければ愛知県内の最寄りの法律相談センターへ繋がります。相談には、弁護士会の研修を受けて専門的知識を身につけた弁護士が応じているため、安心して相談していただけます。

 なお、名古屋駅の名古屋法律相談センターでのご相談を希望される場合は、052-565-6110へ電話して予約いただくこともできます。また、名古屋法律相談センター,一宮,半田での相談予約は、インターネットでも受付けておりますのでご利用ください。

 https://www.soudan-yoyaku.jp/reserve/f_reserve_batop.php?bano=22

2. 借金の問題について弁護士に相談したいと思いますが、相談したことが第三者に漏れることはありますか。

 弁護士は、厳格な守秘義務を負っていますので、相談したことが外部の第三者に漏れることはありません。しかし、破産手続等で同居の親族等の協力が必要となることがあり、その際にご自身でお話しいただくことになる可能性もあります。

3. 弁護士に債務の整理を依頼した場合、どのようなメリットがありますか。

 弁護士は、相談者から債務整理を依頼された場合、まず債権者に債務整理の委任を受けた代理人である旨を記載した受任通知を発送します。受任通知を受け取った貸金業者は、正当な理由がないのに相談者に連絡をとったり、債務の弁済を要求したりできないとされているため、弁護士が受任通知を出した後は、支払いの督促の電話等が止まります。

 また、弁護士は、貸金業者と債務の弁済について和解する場合、原則として、将来の利息をつけない内容で和解をするため、弁済額が少なくなります。

 平成22年以前の取引があるような場合には、貸金業者に対し、取引開示時からの取引の記録について利息制限法による利息の引直し計算を行い、利息を払いすぎた分を「過払金」として返還請求できる場合があります。

 弁護士は、過去の事例や弁護士会の研修を通じて、このような事件処理に精通しています。相談したい方は、予約専用の電話番号(0570-783-110)へご連絡ください。
4. 借金を整理する方法にはどのようなものがありますか。

 借金を整理する方法には、主として、(1)自己破産、(2)個人再生手続、(3)任意整理、(4)特定調停、の4つがあります。ここでは、自己破産、個人再生手続、任意整理についてご説明します。

 破産とは、多額の債務を負って支払不能に陥った個人が、裁判所に申立てをして破産手続開始決定・免責許可決定を受けることにより、債務を弁済する責任を免れることができる手続きです。但し、不動産など一定の財産があるときは、その財産を債権者間で分配することになりますので、持ち家があるときはそれを失ってしまうことになります。また、免責決定を得るまでは、保険の外交員や警備員などの一定の職業に就けなくなるとされています。さらに、破産の原因が浪費やギャンブルなどの場合又は以前に免責許可を受けている場合などは、免責許可を受けることができない可能性があります。詳細は、Q6~10を参照してください。

 個人再生手続とは、多額の債務(ただし、住宅ローン等一部債務を除く債務総額が5,000万円以下の場合に限られます)を負った個人が、支払不能に陥る前に裁判所に申立てを行い、法律で決められた最低弁済額以上の金額まで借金を減額してもらったうえで、その額を原則3年間で分割して返済していく手続きです。この手続きでは、持ち家に対する特別な配慮がされており、住宅ローンの抵当権が持ち家に設定されていても、一定の要件を充足する場合には、住宅ローンを返済し続けることによって持ち家をそのまま所有することが可能となっています。また、破産手続と違って、借金を作ってしまった原因は問題とされませんので、例えばギャンブルで借金を作ってしまったような人であっても、この手続きを利用することが可能です。詳細は、Q13~15以下を参照してください。

 任意整理とは、債権者と個別に交渉して、返済額・返済期間などについて和解をしていくという債務整理の方法です。(1)破産、(2)個人再生手続は裁判所を通じた手続きですが、この(3)任意整理は、個人が弁護士を通じて債権者と交渉する手続きです。そのため、交渉・和解内容に法的な制約はなく、柔軟な解決ができる可能性があります。弁護士に依頼して任意整理をする場合には、将来分の利息がかからない形で和解をすることで弁済額を少なくすることが可能です。また、平成22年以前からの取引がある場合には、利息制限法という法律に基づいて払いすぎた利息分を計算し直すことで、支払額を少なくしたり、場合によっては、払い過ぎの利息を取り返せたりすることもあります。

 なお、任意整理については、Q11も参照してください。

5. 弁護士に債務の整理を依頼した場合、どの程度の費用がかかりますか。

 名古屋法律相談センターのサラ金クレジット被害相談に適用されるガイドラインは、名古屋法律相談センターで相談を受けて債務の整理を受任することとなった場合の弁護士費用の目安について、以下のように定めています(いずれも実費・消費税別)。

 任意整理事件

  •  貸金業者1社につき着手金2万円+報酬金2万円+交渉で減額した金額の10%に相当する金額

 破産同時廃止事件

  •  申立費用 30万円程度

 個人再生事件

  •  申立費用 30万円程度~50万円程度

 過払金回収費用

  •  貸金業者1社につき着手金2万円+報酬金2万円+回収金額の20%

 ヤミ金対応

  • ・ 電話、ファックスにてヤミ金業者に受任を通知し、今後の請求を止めるように通告し、銀行及び警察にファックスで口座凍結のための要請をするのみの場合 5千円
  • ・ ヤミ金業者の告発等のために警察に同行した場合や、仮差押え・訴訟等、特別の措置をとる場合別途協議の上定める

 また、上記のガイドラインにおいては、弁護士費用の支払方法について、上記の費用を一括払いできない場合には、依頼者の実情に応じ、依頼者の毎月の可処分所得から支払可能な金額による分割払いに応じるか、もしくは法テラスの民事法律扶助を利用することとされています。したがって、弁護士費用を一括で支払うことができない場合は、相談を担当した弁護士と相談して、分割払いにより支払うか、又は法テラスを利用することができます。

 なお、具体的な事件の処理に当たっては、上記の複数が適用される場合や、上記の基準が当てはまらない場合(自己破産の申立てにあたって、破産管財人が選任されるケースなど)がありますので、相談を担当した弁護士に確認してください。

6. 自己破産の免責制度とはどのような制度ですか。破産手続開始を申し立てる場合、何か生活上の不利益はありませんか。

 自己破産の免責制度とは、借金を返すことのできない人が裁判所に申立てを行い、その人に処分可能な財産があれば債権者に対して公平に分配をし、その後に残った債務を弁済する責任を免除する制度です。破産手続開始決定後に得た収入や財産については、債権者に対する配当の対象とならず、その使い道は自由です。このように、自己破産の免責制度は、借金の返済ができなくなった人を救済して、人生を新しく出発できるようにと考えられた制度です。

 この免責制度には一定の不許可事由があり、たとえば、ギャンブルに使うために借金をした場合、浪費と認められるような場合、支払不能でないことを信じさせるために偽って融資を受けた場合や過去7年以内に免責を受けたことがある場合などは、免責不許可事由にあたり、免責が認められない場合がありますので注意してください。ただし、これらの場合でも、裁判所の裁量により免責が認められる可能性がありますので、諦めずに、まずは、弁護士に相談してみてください。

 破産手続開始決定を受けてから免責決定を得てそれが確定するまでの間、法律上、証券取引外務員、生命保険募集員、損害保険代理店などの有資格者は、資格停止になり業務をすることができないこととされています。

 また、破産をすれば、信用情報にその旨の記録が登録され、一定期間、借入れができなくなったりクレジットカードが作れなくなったりします。しかし、それ以外の日々の生活については、特段の支障がない場合が大半です。たとえば、生活上必要最低限の家財道具を差押さえられる等ということはありませんし、家賃を支払っていれば借家を追い出されることもなく、会社を解雇されることもありません。また、選挙権や被選挙権もなくなることはありません。さらに、破産したことを戸籍や住民票上に記載されることもありません。
7. 預貯金がある場合、破産手続開始を申し立てれば、預貯金を全部差し出さないといけないのでしょうか。
 破産をすると、全ての財産を処分されてしまうと誤解されている方が多いようです。しかし、破産手続開始を申立てる場合でも、一定の財産については破産者の下に残すことが認められています。預貯金については,一定の範囲内においては、自分の財産として残しておける場合がほとんどです。
8. 自己破産をしたら、持ち家は手放さないといけないのでしょうか。

 自己破産をする場合、持ち家を所有し続けることはできないといわざるを得ません。住宅を維持しながら債務整理をすることを希望する場合には、個人再生手続ができないか検討することになります。

9. 自己破産をすると、会社は辞めなければならないのですか。

 自己破産したからといって、会社を解雇されることはありませんし、自ら辞めなければならないということもありません。ただし、法律上、業務の遂行が制限される場合があります(Q6参照)。

10. 破産をしたら全ての借金を返済しなくてよくなるのですか。

 破産をした場合に借金を返済しなくてよくなるのは、裁判所から免責の許可を受けた場合に限られます。そして、免責不許可事由というものが法律上規定されており、これらの事情があると、免責が不許可になる場合があります。

 例えば、借金の原因がギャンブルである場合や、返せないことが分かっていて借りた場合などは、免責不許可事由にあたります。

 もっとも、免責不許可事由がある場合はすべて免責不許可の決定がなされるわけではありません。免責不許可事由がある場合でも、裁判所の裁量で免責が認められることがあります

 なお、ケースによっては、反省文を提出することを求められる場合もあります。

 裁判所の裁量で免責が認められるかは、事案によって異なりますので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

11. 任意整理とは、具体的にどのようなことをするのですか。

 任意整理とは、支払能力を上回る債務を負った債務者について、支払能力に応じた返済計画を立てた上で、その返済計画に基づき、それぞれの債権者との間で返済方法についての和解をしていくという債務整理の方法です。それぞれの債権者との間で交渉をしていくため、裁判所は関与しません。

 未返済となっている債務額を基準として、債務者が毎月支払える金額での分割返済を提案し、債権者との間での和解を取り付けることになります。なお、債務者が支払える金額での分割返済といっても、返済回数を無制限に増やすことができるわけではありません。3~5年間程度での分割返済であれば、和解に応じる債権者が多いようです。

12. 過払金とは何ですか。

 いわゆる消費者金融業者などは、平成22年以前においては、利息制限法という法律で決まった年利(10万円未満20%、10万円以上100万円未満18%、100万円以上15%)を超えて貸し付けているのが通常でしたが、最高裁判決によって、この利息制限法の利率を超えた利息部分の契約は無効であり、利息制限法の利率を超えて支払ってしまった利息部分は元本を支払ったこととなることが判例上確定しております。この利息制限法に基づいた債務額の計算をし直した結果、貸金業者に対して払いすぎた利息の返還金がいわゆる過払金です。

 この過払金については、本来は返済する義務がないのに支払ったお金ですから、払いすぎた分は、貸金業者の不当利得として返還請求をすることができます。過払金について、愛知県弁護士会の法律相談センターにご相談ください(予約専用0570-783-110、または052-565-6110)。

 この過払金の計算をする際、取引経過が正確に把握できていないことがよくあります。そこで、貸金業者から、取引履歴の開示を受けることになります。貸金業者には、取引履歴の開示義務があります(最高裁平成17年7月19日判決)。

 なお、個人の信用情報については、株式会社日本信用情報機構(JICC)などが管理しています。ここに情報開示の請求をすれば、具体的な取引の経過を見ることはできないものの、あなたについての信用情報をチェックすることができますので、覚えておくとよいでしょう。
13. 個人再生手続とは何ですか。

 多額の債務(ただし、住宅ローン債務等一定の債務を除く債務総額が5,000万円以下の場合に限られます。)を負った個人が、支払不能に陥る前に裁判所に申立てを行い、法律で決められた最低弁済額以上の金額を弁済する内容の弁済計画を裁判所に認可してもらい、定められた額を原則3年間で分割して返済していく手続きです。

 個人再生手続には、大きく分けて、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの類型があります。

 まず、小規模個人再生は、個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5,000万円を超えないもの(民事再生法221条1項)である場合に、求めることができる再生手続です。

 小規模個人再生手続が認可されるためには、金額などの点で一定の要件を満たす弁済計画であることが必要です。また、認可に至るには、債権者の同意に関する要件も満たす必要があります。Q14もご参照ください。

 また、給与所得者等再生は、小規模個人再生の適用対象となりうる債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの(同法239条1項)である場合に使うことができる再生手続です。

 給与所得者等再生手続が認可されるためには、小規模個人再生手続のような債権者の同意は必要ないものの、弁済計画が可処分所得を基準とした一定の内容になっていることが必要となります。

14. 個人再生手続を利用した場合、どのくらいの金額を弁済しなければならないのですか。

 まず、小規模個人再生の場合には、次の2つの要件を満たさなければなりません。

 ①最低弁済額の要件

  •  住宅ローンなど被担保債務を除く5,000万円以下の無担保債務の金額(以下「基準債務総額」といいます。)が、(1)100万円未満のときは基準債務総額、(2)100万円以上500万円未満のときは100万円、(3)500万円以上1,500万円以下のときは基準債務総額の5分の1の金額、(4)1,500万円を超え3,000万円以下のときは300万円、(5)3,000万円を超え5,000万円以下の場合は基準債務総額の10分の1の金額を、それぞれ下回ることはできません。

 ②清算価値保証の原則

  •  財産がある場合、弁済総額が、破産手続をした場合の配当額(清算価値)を下回らないことが必要となります。
  •  次に、給与所得者等再生の場合には、上記①②のほか次の要件を満たさなければなりません。

 ③可処分所得に基づく基準

  •  弁済総額が、過去2年間の平均年収額から、政令で決められた最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額を控除した額(可処分所得)の2倍以上であることが必要となります。

 なお、いずれの要件を検討するにあたっても、専門的・実務的な知識を必要としますので、弁護士に相談することをお勧めします。

15. 個人再生手続を利用すると、自宅を失わないで借金を返すことができるというのは本当ですか。

 住宅資金貸付債権(住宅ローン)に関する特則を利用できる場合(ただし、全ての方が利用できるわけではありませんので、詳しくは弁護士にご相談ください。)、再生計画において、住宅ローンの元利金の支払について、一定の条項を定めることで、個人再生手続をとった場合でも、自宅を失うことなく借金の返済ができます。

 ただし、原則として、住宅ローンの債務額が減額されるわけではなく、支払を繰り延べる制度にすぎないという点にご注意ください。また、当然のことながら、支払を無制限に繰り延べられるわけではなく、原則として、住宅資金貸付債権に関する特則が定める支払方法により、繰り延べがされることになります。

 なお、住宅資金貸付債権に関する特則は、その要件を満たす場合、小規模個人再生と給与所得者等再生のいずれでも利用することができます。
16. 昔の借金をいつまでも返済しなければならないですか。

 貸金業者のあなたに対する貸付金(あなたの立場からみると借金ということになります。)には消滅時効というものがあり、これは"たとえ借主にお金を請求する権利があっても、それが行使されないままの状態が続けば、法律上その権利を行使することができなくなる" というものです。

 貸金業者のあなたに対する貸付金は、時効が中断(令和2年4月1日以降の契約については,「更新」といいます。)していない限り、原則として5年で消滅時効にかかります(商法522条、令和2年4月1日以降の契約については民法166条)。

 ただし、時効期間が経過すれば自動的に支払わなくてよくなるというわけではなく、内容証明郵便を送るなどの方法で貸金業者に対して時効の援用の意思表示をしなくてはなりません。

 また、時効の中断(更新)に気をつける必要があります。例えば、貸金業者から訴訟を提起されたり、あなたの側から、貸金業者に対して債務の一部を返済したり、借金があることを認めたりすると、時効が中断(更新)することになります。