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民事介入暴力についてのご質問

Q&A

民事介入暴力に関するご質問にお答えします。ご興味のあるQ(問い)をクリックして下さい。

1.なぜ暴力団などの反社会的勢力と関わり合いをもってはいけないのですか。

1 一般人や一般企業が、反社会的勢力(暴力団に加えて、総会屋、えせ同和などの社会運動標榜ゴロ、えせ右翼などの政治運動標榜ゴロ、暴力団関係企業、特殊詐欺知能集団などの総称)との関わり合いをもってはいけない理由は、関わり合いが、結果としては大きな危険と不利益につながる可能性が高いことにあります。例えば債権回収や、クレーマー対応に力を貸してくれたとしても、見返りに多額の対価を要求されたり、長期間高額な用心棒代等を払わされ続けたりするのです。

また、こうした金員等はその分反社会的勢力側の利益となって、反社会的勢力の拡大と活動の活発化につながり、さらなる別の被害者を生み出すことにもなるのです。

さらに、近年の暴力団に対する取締の強化に対し、暴力団側は、これを逃れるため、表面的には事業活動、政治運動、社会運動などを装って、実際には裏で暴力による威嚇力を行使して不当な利益を獲得する例が増えました。そのため、取締りの対象を、本来の暴力団だけでなく、上記の反社会的勢力にまで拡大するとともに、こうした勢力に対する、一般人や、一般企業が利益を与えたり活動を助長したりするような行為も規制されるようになりました。これらの理由から反社会的勢力と関わり合いをもってはいけないのです。

2 こうした目的を実現するため、平成23年10月までに、全国の47都道府県で、暴力団排除条例(以下「暴排条例」といいます)が施行されました。 その内容は各自治体ごとに若干の差違はありますが、共通して画期的なことは、これらの条例では、一般人や一般企業の側も、暴力団を利用したり、暴力団に対して、その活動を助長したり、みかじめ料や、用心棒代などの利益を供与することが禁止されるようになったことです。また、地方公共団体によっては、対象は暴力団に限らず、先に述べた反社会的勢力全体が対象に含まれます。かつては警察だけが暴力団と対峙していましたが、民間も含む国家社会全体として、反社会的勢力と対決する方向に大きく舵を切ったのです。東京都暴排条例などでは、暴力団員と知りながら、その主催するゴルフコンペに参加したり、多数の暴力団員が集まる結婚式などの行事に参加したりするだけで、日常生活において反社会的勢力である暴力団員との「密接交際者」とされ、「暴力団関係者」扱いを受けることになります。そうなると契約解除されたり、契約締結を拒絶されるなど、取引から排除されてしまいます。

3 これまでは縁を切りたいと思っても、恐怖のためなかなか切り出し難かった人や企業も、条例違反で自らが勧告・公表の対象となり、取引契約から排除されるリスクを重視して、反社会的勢力と縁を絶つことに踏み切る事業者も増えました。特に公共事業に参加する事業者の場合には、条例違反の事実が発覚してしまえば、公共工事の入札参加資格を取り消されてしまいますし、民間取引においても、多くの取引先が反社会的勢力を排除しますし、契約締結後であっても契約を解除します。金融機関からも取引を停されたりしますので、事実上経営が成り立たなくなってしまいます。さらに条例に違反した事業者に対しては違反行為をやめるよう公安委員会から勧告がなされ、それでも辞めないときは、違反を公表されてしまいます。そうなると事業の継続に決定的なダメージとなってしまいます。

4 非事業者の場合でも、直接に経営に関わる問題は生じないとしても、勤務先に対して不当な要求をするよう強要されたり、家族や友人に対しても、迷惑となる行為を強要される例がみられます。また、暴力団との「密接交際者」と見られると、「暴力団関係者」として、銀行取引、不動産取引、雇用契約などから排除されてしまいます。

5 以上のとおり、国家社会一丸となっての暴力排除の大きな流れの中で、反社会的勢力との関わり合いは、事業者にとっても、非事業者にとっても決して良い結果をもたらしません。相手方が反社会的勢力に属しないかどうかに常に留意し、疑わしければ警察や弁護士等に相談して、もし属するのであれば、直ちに縁を断ち切りましょう。

2.1時間5000円ポッキリと案内されて入ったキャバクラ店で、10万円の飲食代を請求されました。言われたとおりに払わなければダメですか。

1 近年、名古屋市内の繁華街を中心に、ぼったくり被害が続いています。これを受け、愛知県では、2017年7月1日、いわゆる「ぼったくり排除条例」が施行されました。

 同条例では、酒類の提供、接客を行う飲食店、風俗店に対し、料金等を分かりやすく表示する義務を課しています。また、同条例では、実際よりも著しく安いと誤認させる勧誘等が禁止され、乱暴な言動による料金の取り立ても禁止されています。

2 ぼったくりの特徴は、その大半が客引きの誘いで入店して被害に遭っているという点にあります。したがって、ぼったくりの被害に遭わないためには、客引きにはついていかないということが大切です(なお、名古屋市においては、公共の場所における客引き行為を禁止する条例が施行されました。)。繁華街に繰り出す前には店を十分にリサーチしておきましょう。リサーチの際には、愛知県警ホームページ等で公表中のぼったくり防止条例に違反した店舗の情報等を提供している愛知県警察の公式アプリ「アイチポリス」も有用です。

 また、入店した後には、料金体系を確認しましょう。店外で「セットで○○円ポッキリ」などと説明を受けていても、様々な名目で加算され、法外な金額を請求されることがあります。

 そして、会計の際、入店時に説明を受けていない様々な名目での高額な料金の請求を受けたときは、自身が注文した飲み物や食べ物の適正な金額以上は支払わない旨、明確に意思表示をしましょう。今回のケースでは、1時間5000円ポッキリと案内されて入店したわけですから、10万円の飲食代の請求に対しては、5000円を超えては支払わない旨明確に断りましょう。ぼったくり被害に遭いそうになった際には、躊躇なく警察に助けを求めることも有効です。支払い過ぎてしまった料金を取り戻すよりも、支払いを拒否する方が、被害を小さくできる可能性が高まります。店側が高額な請求を維持するときには、場合によっては、裁判において対応するということも考えられます。

3 それでも、コワモテの店員からの執拗な請求行為等により、高額な料金を支払ってしまうこともあります。そのような場合には、支払った料金を店から取り返すことも考えられます。ぼったくり被害に遭ってしまった場合には、まずはお気軽に、弁護士にご相談ください。

ぼったくり被害防止アプリ「アイチポリス」

https://www.pref.aichi.jp/police/syokai/houritsu/sekou-kaisei/hoan/application.html

3.ある日、会社帰りにバーで一人で飲んでいたところ、一人の女性が話しかけて来ました。私は、その女性がとても話しやすかったので、終電の時間まで、その女性といろんな話をしながらお酒を飲み交わし、その後女性から積極的に誘惑されたため、ついついホテルで一夜をともにしてしまいました。すると次の日、知らない男から電話がかかってきて、「昨日、俺の女に手を出してくれたらしいな。こんなことがおまえの家族や会社にバレたらえらいことになるぞ。誠意をみせてもらわなあかんな。」と凄まれました。私は、女性から誘われたのだと説明しましたが、全く聞き入れてくれません。どうしたら良いですか。

1 本件は、情交を持った女性の夫や恋人を装って、慰謝料等の名目の下に金銭を支払わせるいわゆる「美人局(つつもたせ)」です。

2 「美人局」は、何らかの債務を偽装したうえで恫喝や脅迫を用いて被害者に債務を無理矢理認めさせて、その要求金額を支払わせようとする行為であり、詐欺罪や恐喝罪にもなりうる不当要求行為です。したがって、そのような要求に応じる必要は一切ありません。

3 本件では、「こんなことがお前の家族や会社にバレたらえらいことになるぞ。」と脅迫され、「誠意をみせてもらわなあかんな。」と暗に金銭の要求をされています。このように、被害者を脅して不安や動揺を誘って、そこにつけ込んで不当な要求をすることが反社会的勢力の常套手段です。応じる必要のない不当要求行為なのですから、自らの不安や動揺を相手に悟られてつけ込まれることのないよう、要求された時点で毅然とした態度を示し明確に要求に対して拒否することが重要です。

4 その場では不当要求行為を拒否できたとしても、その後も自宅に執拗に電話してきたり、自宅に押しかけてくるなど後を引く場合があります。このような場合にも、弁護士が介入して被害者へ接触させないようにするなど、被害者への不当要求行為に対する対応手段がございますので、お早めに弁護士にご相談ください。

4.特殊詐欺とはどういうものですか。

 特殊詐欺とは、電話、メール、はがきなどを用いて、対面することなく被害者をだまして、現金の交付や振り込みなどをさせる詐欺行為のことをいいます。「振り込め詐欺」(①オレオレ詐欺、②架空請求詐欺、③融資保証金詐欺、④還付金等詐欺)と、「振り込め詐欺以外の特殊詐欺」(⑤金融商品等取引名目の詐欺、⑥ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺、⑦異性との交際あっせん名目の詐欺、⑧その他の特殊詐欺)に分類されています。

①オレオレ詐欺とは?...電話を利用して親族、警察官等を装い、金銭借用や被害を防ぐためなどと称して現金を口座に振り込ませたり、被害者と接触して現金、キャッシュカードなどをだましとる手口

②架空請求詐欺とは?...郵便、インターネットなどを利用して不特定多数の者に対し、架空の事実を口実とした料金請求文書などを送付して、現金を口座に振り込ませるなどしてだましとる手口

③融資保証金詐欺とは?...実際に融資する意思がないにもかかわらず、融資する旨の文書等を送付して保証金等の名目で現金を口座に振り込ませるなどしてだましとる手口

④還付金等詐欺とは?...税金還付等に必要な手続を装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法な利益を得る手口

⑤金融商品等取引名目の詐欺とは?...実際には対価ほどの価値がない未公開株、社債等の有価証券や外国通貨、または全く架空の有価証券などについて電話やダイレクトメールなどにより虚偽の情報を提供し、その購入名目で金銭をだましとる手口

⑥ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺とは?...不特定の者に対してパチンコ攻略法等の虚偽の情報を提供するなどしたうえで、会員登録料や情報料などの名目で金銭をだましとる手口

⑦異性との交際あっせん名目の詐欺とは?...不特定の者に対して一度だけ異性と会わせたり、異性に関する虚偽の情報を提供したりするなどしたうえで、会員登録料や保証料などの名目で金銭をだましとる手口

5.特殊詐欺の被害に遭わないためにはどうすればよいか教えてください。

1 いまだ多くの人が被害に遭っている特殊詐欺 

 報道などによって、特殊詐欺という犯罪が存在することは広く知られるようになりましたが、全国的に見ると、特殊詐欺被害の件数は減っておらず、いまだ多くの人が被害に遭っています。つまり、特殊詐欺という犯罪があることを知っていても、被害に遭ってしまう人たちがたくさんいるのです。その原因としては、特殊詐欺の手口がどんどん巧妙化していることや、「自分は大丈夫だ」と自分の判断力を過信してしまっていることなどが考えられます。

2 特殊詐欺は被害回復が難しい

 特殊詐欺グループには、犯罪を首謀する中核的なメンバーや、「掛け子」(だまし役)、「出し子」(現金引出し役)、「受け子」(金品受け取り役)などの末端の実行メンバーなどがいるといわれています。特殊詐欺の被害金の大半は最終的に中核的なメンバーに渡ることになりますが、末端の者は、中核的なメンバーと面識がないまま雇われている場合が多く、もし、末端の者が検挙されたとしても、中核メンバーまで検挙されることはまれです。そのため、詐欺の被害金の所在まで辿りつくことができず、一度被害に遭ってしまえば、その被害を回復することは非常に難しいのです。

 そこで、特殊詐欺の被害に遭わないように、普段から心掛けることが重要となります。

3 特殊詐欺の被害に遭わないために

 では、特殊詐欺の被害に遭わないためにはどうすれば良いでしょうか。

 被害に遭わないための最も重要なポイントは、他人からお金の支払いや受領に関する話があった際には、絶対に自分一人で判断せず、信頼できる人に相談し、一緒に相手の話を聞いてもらうことです(「詐欺にあわないためのポイント」をご覧ください。)。

詐欺グループは、詐欺であることを気付かせないようにするために、知り合いが誰もいないところで、すぐに、お金を払うように要求してきます。相手が詐欺グループであれば、「知り合いを集めるから、その場に来て説明してほしい」と言えば、家まで来ることはまずないでしょう。

 その他にも、電話番号表示サービスに加入し、知らない電話番号からの電話に出ないようにしたり、携帯電話やスマートフォンの迷惑メール防止機能を利用することも有効な手段です。また、万が一、だまされてしまったときに備えて、ATMを利用した振り込みの限度額をあらかじめ引き下げておけば、少しでも被害を食い止めることができます。

 もし、それでも特殊詐欺の被害に遭ってしまった場合は、一人で悩まずにぜひ弁護士に相談してください。

6.同和問題に関する活動をしているという人から、機関誌を購入するようしつこく要求されています。どのように対応すればよいでしょうか。

 同和問題(※)などの社会運動に誠実に取り組む人たちや団体がある一方で、中には、会社や個人、官公署などに対し同和問題への取り組みなどを口実に賛助金等を要求したり、高額な書籍を無理矢理売りつけるなどの行為(えせ同和行為)を行う団体が存在しています。

 このような行為は、一見すると、同和問題対策のための正当な寄付金、あるいは機関誌等の購読料という正当な対価を求めているだけのように見えますが、その実態は、不当な金銭要求を行うための手段として同和問題を利用しているに過ぎません。

 そもそも、機関誌を購読するかどうかは個人の自由ですので、不要であれば断れば良いのですが、上記のような団体を含む反社会的勢力からの購読要求を断った場合、反社会的勢力に目をつけられ、攻撃を受けるのではないかとのおそれを抱き、断ることをためらってしまうかもしれません。しかし、このように恐怖心を与えつつ、購読を要求することが反社会的勢力の常套手段なのです。

 機関誌の購読要求に対しては、初めからきっぱりと拒否することが重要です。

 具体的には、応接室に通さずに、玄関あるいは受付で対応すべきです。一旦応接室に通してしまうと、居座られて長時間話を聞くうちに根負けし、相手の要求に応じてしまうおそれがあるからです。

 また、相手の強引な要求に屈してしまわないよう、相手が訪ねてきたときは、一人で対応するのではなく、なるべく複数で対応してください。

 また、「一旦検討させてください」など、期待を抱かせるような言い方で帰らせるのではなく、初めから「うちは要りません」とはっきりと断るべきです。

 もし、それでもしつこく購読を迫ってくるような場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

※ 同和問題(部落差別)

 日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の人々が長い間、経済的、社会的、文化的に低位の状態を強いられ、日常生活の上で様々な差別を受けるなど、我が国固有の重大な人権問題のことをいいます。

7.私は、飲食店を経営しているのですが、先日、暴力団員を名乗る男が店に来て、みかじめ料を払うよう要求してきました。どのように対応したら良いでしょうか。

1 みかじめ料とは、縄張内で営業を営む者に対し、その営業を営むことを容認する対償として支払わせる金品等、あるいは守料、用心棒代的な意味をもたせて支払わせる金品等をいうものとされています。

 これは、暴力団の伝統的かつ重要なシノギ(収入を得る手段のこと)です。

 例えば、

  • 「この近辺はうちの組が取り仕切っている土地だ。」「誰に断って商売しとるんだ。」などと言い掛かりをつけて、事業主に対して金銭(名目の如何を問わない。)の支払いを要求する。
  • 店内のトラブルを暴力団に解決してもらうために、暴力団に守料・用心棒代を支払う。

といったものがあります。

2 暴力団員がみかじめ料を要求することは,暴対法において禁止されています。

 それだけではなく、事業者がみかじめ料を支払うことは、各都道府県の暴力団排除条例において、暴力団員に対する利益供与に該当するとして禁止されています。

 これに反してみかじめ料等の金品を渡してしまった事業者には、ペナルティーがあります。

 例えば、みかじめ料の支払いを止めるよう公安委員会から勧告を受けることがありますし、勧告に従わなかった場合には公安委員会によって氏名及び住所等が公表される場合もあります。そして、氏名や住所が公表されたことにより暴力団密接関係者とされた場合には、銀行口座も開けず、融資も受けられなくなり、公共工事の受注から締め出されることになるかもしれません。

 したがって、みかじめ料は、絶対に支払ってはいけません。暴力団員から求められても、きっぱりと断ってください。

3 万一、暴力団にみかじめ料を渡してしまった場合には、支払ったみかじめ料を取り返すことも考えられます。名古屋地方裁判所において、2017年3月31日、みかじめ料を徴収する行為が不法行為であるとして損害賠償請求を認める判決が言い渡されました。

4 みかじめ料の支払いを拒絶することにも、過去に支払ったみかじめ料を取り返すことにも、勇気が必要です。私たち弁護士は、みかじめ料の被害に関しても皆様のお力になりたいと考えておりますので、みかじめ料を要求された等の場合には、一度弁護士にご相談ください。