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女性に対する暴力についてのご質問

女性に対する暴力に関するご質問にお答えします。ご興味のあるQ(問い)をクリックして下さい。

ストーカー行為を規制する法律があると聞きましたが、それはどのようなものですか。
1.ストーカー規制法とは何か
 平成12年にできた法律で、正式には「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」(以下、「法」といいます)といいます。当時、「桶川ストーカー殺人事件」を契機として社会問題化していたストーカー行為から被害者を保護するために立法されました。
2.ストーカー行為とは何か
 ストーカー行為とは、被害者に対する恋愛感情や好意が満たされなかったことに対して復讐する目的で、被害者自身やその家族等に対して、待ち伏せや行動の監視、交際の強要といった法の規定する「つきまとい等」の行為を、繰り返し、継続的に行うことをいいます(法2条参照)。
3.対策について
(1)法で認められている対策には、以下のようなものがあります。
ア 警告(法4条1項) 被害者の申出によって、都道府県警察本部長や警察署長等が、相手に対して、つきまとい等をしてはならないという内容の行政指導をすることをいいます。
イ 禁止命令(法5条1項) 警告を受けたものがその警告に従わずに、さらにつきまとい行為をした場合、各都道府県公安委員会が、相手に対して、つきまとい行為が行われることを防止するために必要な事項を命令することをいいます。また、緊急性が認められる場合には、被害者は、警告を経なくても、禁止命令を求めることができます。
ウ 罰則(法13条から15条) ストーカー行為をした者は6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金を科されますが、処罰のためには被害者による告訴が必要です。また、禁止命令に違反した場合は、50万円以下の罰金を科され、さらに、禁止命令に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
エ 必要な援助・支援(法7条、8条) 各都道府県警察本部は、被害者が自己防衛できるように、防犯ブザーといった用具の貸出しや必要なアドバイスを行うものとされています。最寄りの警察署の相談窓口や法テラスでも相談を受け付けています。
(2)会社における対策
ア 従業員がストーカーの被害にあっている場合には、雇用主としては、会社周辺で待ち伏せ等をされることも多いので、就業場所や就業時間等に配慮したり、警察等への相談を助言・助力するのが望ましいでしょう。
イ 従業員同士でトラブルとなった場合には、雇用主は中立的な立場で双方から意見を聴き、配置転換等の対策や場合によっては警察や弁護士のアドバイスを受けるとよいでしょう。
 雇用主は、労働者が労働するにあたり「その生命、身体等の安全の確保」をできるよう配慮する義務があり(労働契約法5条)、雇用主が必要な措置を怠ったときは損害賠償義務を負うことがあります。
(3)トラブルの円滑な解決には、早めの相談が肝要といえます。被害に遭われている方は、ひとりで抱え込まずに、ぜひ相談窓口に足を運んでください。きっと解決の糸口がみつかるはずです。
職場におけるセクシュアル・ハラスメントの問題について知りたいので教えてください。
セクハラとは何かという点については、簡単にいいますと、「職場における相手方の意に反する不快な性的言動」を言います。セクハラには大きくわけて、対価型と環境型があります。対価型とは、例えば、査定を良くしてあげるからと言って交際を強く求める場合や、女性の胸や腰を触ったところ、女性が抵抗したため腹いせにその女性を解雇する場合のように、性的言動に対する女性の対応によって女性を職場で不利益に扱うケースを言います。他方、環境型とは、女性従業員の抗議にもかかわらず、職場で卑猥な話をしたり、ヌードポスターを貼ったりするなど、性的な言動により労働者の就業環境を悪化させるケースを言います。
例えば、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、性的な関係を強要すること、必要なく身体に接触することなどです。
職場の忘年会での出来事もセクハラになるのですか。
なり得ます。セクハラの起る時間や場所という点では、必ずしも会社内や就業時間内に限りません。アフターファイブに社外の飲食店で行われる忘年会であっても実質上職務の延長と考えられる場合にはセクハラになり得ます。同様に、取引先や出張先、移動中、ゴルフコンペなどのレクリエーションもなり得ます。むしろ社外の方が、気が緩んでセクハラが起りやすいので、ご注意下さい。
セクハラの被害者は女性だけですか。
いいえ、男性も被害者になり得ます。ただ、実際には男性から女性へのセクハラが起りやすいのも事実です。
セクハラの被害者は正社員だけですか。
いいえ、正社員とは限りません。アルバイト、パート、契約社員、派遣社員など、広く職場で働いている人は被害者になり得ます。
セクハラを防止するためには、会社としてどうしたらよいでしょうか。
雇用機会均等法は、使用者である会社に対して、セクハラについて「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などその他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と規定しています。具体的に会社が講ずべき措置のポイントは次のとおりです。
(1)セクハラ禁止の方針を明確にして、その方針を従業員に周知・啓発すること。
(2)事前に、相談窓口を定め、相談担当者が適切に対応出来る体制を整備すること。
(3)事後的には、事実関係を迅速かつ正確に確認し、行為者及び被害者に対する措置を適正に行なうこと。再発防止措置も講ずること。
(4)相談者や行為者等のプライバシー保護を図り、周知すること。相談したことなどを理由に不利益な取扱いを行なってはならない旨を定め、周知すること。
社内でセクハラ禁止の方針を明確にするためにはどのような方法がありますか。
まずは、就業規則などの服務規律にセクハラ禁止を規定することです。それから、社内報や社内ホームページ、朝礼等を利用して、従業員に注意を喚起しておくことも大切です。まだ会社にそうした規定がなければ、忘年会までに、何らかの方法で、セクハラが起こってはならないことを社員に伝える事が必要です。
セクハラの相談を受けるときの注意点を教えて下さい。
まずは迅速に対応することが必要です。放置しておくと被害が拡大する恐れがありますので、初期段階で対応することが大切です。また、相談を受けるときには、安易に、加害者とされた人を擁護したり被害を訴える人を非難したりする発言をすることも控えましょう。また、相談方法としては面談だけでなくメールや電話などの方法も検討して、相談しやすい柔軟な体制にして下さい。判断や対応に苦慮する場合には、弁護士をはじめとする社外の専門家に相談することをお奨めします。
セクハラが認められた場合はどのように対処すればよいですか。
行為者については就業規則等に基づき懲戒等の措置を取ることになります。併せて、配置転換などにより被害者が職場で働きやすいような環境を整えてあげることなど、被害者への対応も必要になります。

セクハラで会社が訴えられることもありますか。
会社は、セクハラをした従業員とともに民事上の損害賠償責任を負うことがあります。そのような事態にならないようにするためにも、セクハラを防止することが大切ですから、早速、具体的な措置を講ずるようにして下さい。