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一般についてのご質問

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「労働審判制度」とはどんな制度なのですか?
労働審判制度は、企業と個々の労働者の間の権利義務に関する労働紛争について、調停による解決を試みつつ、それで解決できない紛争については、権利関係を踏まえて事案の実情に即した解決案(労働審判)を定める裁判手続です。
1年以上前に取引先に商品を販売しましたが、何度請求書を送っても代金を支払ってくれません。どのような点に注意が必要でしょうか。
 最終的には強制執行で回収せざるを得ず、その前提として訴訟を提起して判決を得たり調停を申し立てて調停を成立させたりするなどの手続をとる必要があります。
 この売掛金請求の訴訟を提起する際の注意点は「消滅時効」です。会社や商人の売掛金の消滅時効は大変短く、例えば、請負工事代金の時効は「権利を行使できるとき」から3年であり、商品代金は2年、運送賃は1年です。請求書を送り続けるだけでは時効は中断せず、訴訟提起や調停申立等をしなければなりません。ただし、時効期間満了前に「催告」をした場合には6ヶ月時効が延びます。例えば、平成23年2月10日に「翌月月末払い」の約束で商品を販売した場合、平成23年3月31日が支払期限となります。消滅時効期間である2年が経過した平成25年3月30日が過ぎると、売買代金債権は時効消滅してしまいます。しかし、平成25年3月29日に「催告」が取引先に届いていると、6か月後の同年9月28日までに訴訟を提起すれば時効は中断します。催告による暫定的な時効延長は1回だけですので、6か月ごとに催告書を送っていても、同年9月28日までに訴訟提起しなければ消滅時効となってしまいます。催告は、後の証明のため内容証明郵便(配達証明付)で行うのが良いでしょう。勝訴判決が確定したり、調停が成立してもなお相手方が支払わない場合には、相手方の財産に対して強制執行を行うことができます。
 「支払督促」の制度も有用です。債権者の申立があれば、簡易裁判所は、債務者の反論を聞くことなく「支払督促」を発します。所定の期間内に債務者から「督促異議の申立」がなければ、債権者は、仮執行宣言の申立を行って、強制執行をすることができます。督促異議の申立があれば、通常の訴訟に移行します。
以上の手続きを経て強制執行ができるようになれば、改めて裁判所に強制執行を申し立てて取引先の財産を差し押さえ、これを金銭に換えて回収することができる場合があります。差し押さえる対象として一般的なものは取引先の預金、不動産、売掛金債権などです。
 詳しくは、弁護士にご相談下さい。
企業再生の手法として、法的手続である民事再生手続や会社更生手続のほか、最近、私的な再生手続が整備されてきたと聞きました。法的手続とどう違うのでしょうか。
 私的な再生手続は、一般に「私的整理」と呼ばれます。私的整理は、債権者と債務者との間で債務の減免猶予(減額・免除・支払猶予)を合意することを基本とした当事者合意ベースの手続です。債務の減免猶予を債権者の多数決により決し、少数反対債権者にも強制する民事再生などの法的手続とは根本的に異なります。
 民事再生などの法的手続をとった場合、金融債権・商取引債権等の区別なく、債権は原則として一律平等に扱われるとともに、裁判所が主宰する厳格な手続を経て、債権者集会において当該債務の減免猶予を主な内容とする「再生計画」が可決・認可され、会社の事業再生計画がスタートします。
 しかし、このような厳格な手続を経るとなると、資産の保全(従前の債務の弁済凍結による保全を含む)、資産評価・債権額の確定などの法的保障が得られる一方、会社の危機状況を会社の利害関係人に開示するため、「(事実上の)倒産」の烙印を押され、企業価値・信用が一気に損なわれるおそれがあります。また、事業継続に不可欠な取引先や企業体力のない取引先まで巻き込むことにもなります。
 この点、私的整理によった場合には、金融債権者と大口債権者など一部債権者だけを対象とし、それ以外の取引先債権者等を巻き込まない状況で債務の減免猶予を得るなどして、風評による企業価値や信用の毀損を最低限に留め、取引先との取引継続を容易にする方策を講じるなど柔軟な処理が可能です。ただし、法的手続のように対象債権者に対する強制的な手続ではないため、全対象債権者の理解を得るような経済合理性のある事業再生計画を作成するとともに、その裏付資料の開示が要請されることが多いように思います。
 近年、私的整理手続の透明性および再生計画の適正・公平性・経済合理性の確保を可能とする一方、再生計画につき税務・会計上の配慮が得られやすい中小企業再生支援協議会・事業再生ADR(産業活力再生特別措置法)・企業再生支援機構(株式会社企業支援機構法)や整理回収機構による再生スキームを活用した私的整理が実施されています。
私は,事業を営んでいますが,売掛金をなかなか支払わない取引先があります。「(取引先の)債権を差し押さえる」ということを聞いたことがありますが,債権の差押えとはどのようなものですか。
 債権の差押えというのは,強制執行の一パターンです。強制執行とは裁判所などの国家機関が,たとえ債務者の意思に反しても強制的に権利の実現を図る手続です。債権の差押えは,この強制執行のうち執行の対象が債権の場合のことで,これを債権執行といいます。
 売掛債権の回収などの金銭執行の場合,債権執行を選択することは,費用,手続の簡便さから,不動産執行など他の手続を選択するよりも有利と言えます。債権執行の例としては,預金債権,売掛債権,給料債権,賃料債権などの差押えがあげられます。
 債権執行の具体的な手続は,訴訟,支払督促などの手続により「債務名義」(民事執行法22条)と言われる文書を取得した上で,原則として債務者の所在地を管轄する地方裁判所(民事執行法144条)に対して申立てをして,裁判所から債権差押命令を取得します。この債権差押命令により,債務者(取引先)に対しては債権の取立てその他の処分が,第三債務者(取引先の債務者)に対しては債務者への弁済がそれぞれ禁止されます。この差押えの効力は差押命令正本が第三債務者に送達されたときに生じます。そして,差押命令が債務者に送達されてから1週間が経過すると,債権者は,直接、第三債務者から支払を受けることができます(これを「取立権」といい,直接第三債務者から回収することになります)。
 ただ,債権執行を申し立てるには,第三債務者を住所,氏名により特定した上で,差し押さえる債権の種類,発生原因の特定が必要になりますので,差し押さえて欲しい債務者の債権は,債権者自らで発見しなければなりません。
 差押命令にもかかわらず第三債務者が支払に応じてくれないこともありますが,その多くは差押命令の意味を良く理解できていないことによるものなので,差押命令により受領権限があることの説明をして説得に努めます。第三債務者とすれば,誰かには支払わなければならないものなので,多くの場合は,この説得により支払ってもらえます。
取引先に対する仕入代金(買掛金)の支払準備をしていましたところ、裁判所から、この仕入代金債権を差し押さえる旨の債権差押命令が送られてきました。どのように対処したらよいですか。
1.取引先に対する支払いをとめる
 ご質問の場合、取引先に対する債権者(「差押債権者」といいます)が、債権回収のために、取引先のあなたに対する代金債権を差し押さえたものと考えられます。債権差押命令は、取引先(「債務者」といいます)に対しては債権の取立てその他の処分を禁じ、あなた(「第三債務者」といいます)に対しては債務者(取引先)への弁済の禁止を命ずるものです。この効力は、差押命令が第三債務者であるあなたに送られたときに生じますので、あなたは、仕入代金を取引先に支払うことができなくなります。誤ってこれを支払っても、その支払いを差押債権者に対して主張することはできませんので、後に差押債権者からの請求があれば、その支払いに応じざるを得ません(二重払いすることになります)。
2.陳述書を提出する
 通常、第三債務者(あなた)には、差押命令とともに「第三債務者に対する陳述の催告書」という書類が送られてきます。この催告を受けた第三債務者は、差押債権の存否等催告の事項に関し、回答する義務を負い、回答しなかったり虚偽の回答をしたりすると、差押債権者に対して損害賠償責任を負うことがあります。記載事項を記入した陳述書を、差押命令を受けた日から2週間以内に裁判所に提出します。
3.差押債権者に対する支払いなど
 差押命令が債務者(取引先)に送達されてから1週間が経過すると、差押債権者は、直接第三債務者であるあなたから差押債権を取り立てることができます。実際に取立に応じるか否かは事案によりますが、あなたが差押命令を受ける前から取引先に対して反対債権を有していて、反対債権による相殺が認められる場合などは取立に応じる必要はありません。また、そのような事情がなくとも供託をすることはできます。
株主代表訴訟とはどのようなものですか。
 株主代表訴訟とは、会社が取締役の責任を追及する訴えの提起を怠っているときに、個々の株主が自ら会社のために取締役の責任を追及する訴訟です。
 取締役が会社に損害を与え会社に対して責任を負う場合は、本来、会社がその責任を追及すべきで、訴えによってこれを追及するには、原則として監査役が会社を代表して訴えの提起を決定します(小会社を除く)。しかし、実際には、取締役と監査役、取締役相互間のなれ合いから会社が積極的に取締役の責任を追及することは期待できない場合が多いのではないでしょうか。それでは会社の利益が害されひいては株主の利益が害されてしまいます。そこで会社法は、個々の株主は、株主代表訴訟によって会社及び株主の利益の回復を図ることができる、としたのです。
 平成5年に訴訟費用が8200円でよいことが明文化されるなどの改正が行われたことや、企業の不祥事が相次いだことから、株主代表訴訟は激増しました。なかには大和銀行事件のように取締役におよそ830億円もの賠償を命じる平成12年の大阪地裁の判決も出されました。
 以前から取締役の責任軽減についての要望は強かったのですが、この判決を契機に軽減措置を求める議論が加速し、平成13年の商法改正により、取締役の責任が軽減されました。すなわち、株主総会の特別決議、定款の定めと取締役会決議、もしくは定款の定めと社外監査役との責任限定契約により、代表取締役で報酬等の6年分、社外取締役(及び監査役)で2年分、それ以外の取締役は4年分まで責任を軽減できることにしたのです。
 このように取締役の責任が軽減されたとはいえ、手続きが複雑で厳格なうえ、軽減を申し出ること自体、責任を認めるようなものですから軽減制度を利用することは現実には少ないとも考えられます。
 最近では、コーポレートガバナンス(企業統治)と、コンプライアンス(法令、ルールの遵守)が企業にとって重要なキーワードになっています。株主代表訴訟を起こされることがないように、すなわち法令(善管注意義務や忠実義務などの一般条項も含む)や定款に違反することがないように企業運営を行う必要があります。
私の経営する会社の株主さんが,株主名簿を見せて欲しいと言ってこられましたが,目的も分からないのに株主名簿を見せる必要があるのでしょうか。
株式会社は,会社法上,株主名簿を作成して,本店に備え置くことが義務付けられています。株主名簿には,①株主の氏名または名称及び住所,②株主の有する株式の数,③株式の取得日,④株券発行会社の場合には株券の番号を記載することになっています。
株主及び債権者は,原則として,会社の営業時間内であればいつでも,株主名簿の閲覧または謄写(コピー)を請求することができます。しかし,中には,会社の業務を妨害する目的や手に入れた株主情報を第三者に売却する目的など,必ずしも正当とは言えない目的で閲覧や謄写を請求してくる場合があります。そこで,会社法は,株主が株主名簿の閲覧や謄写を請求する場合には,その理由を明らかにしなければならないとしています。
こうして請求を受けた会社は,次の場合を除いて,請求を拒むことができません。
①請求者がその権利の確保または行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき
②請求者が会社の業務の遂行を妨げまたは株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき
③請求者が会社の業務と実質的に競争関係に有る事業を営みまたはこれに従事するものであるとき
④請求者が閲覧または謄写により知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき
⑤請求者が過去2年以内に閲覧または謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるとき
したがって,まずは株主さんに請求の理由を明らかにしてもらい,拒否できる場合かどうかを検討することになります。判断が難しい場合は,弁護士にご相談ください。
私が経営する会社の株主さんから,貸借対照表など,計算書類のコピーが欲しいという申し入れがありました。コピーを用意してお渡ししなければいけないのでしょうか。
 株式会社は,計算書類及び事業報告とこれらの附属明細書を本店に備え置かなければなりません。そして,株主及び債権者は,株式会社の営業時間内であればいつでも,計算書類等の閲覧や謄本または抄本の交付を請求することができます。
 したがって,ご質問のように,株主から,計算書類の謄本(コピー)の交付請求があった場合には,会社は,請求に応じて計算書類等の謄本を交付しなければいけません。なお,会社法では,株主及び債権者は,計算書類等の謄本または抄本の交付請求をするには,株式会社が定めた費用を支払わなければならないとされていますので,計算書類等の謄本または抄本を交付する際には,会社は請求者に必要な費用(コピー代など)の支払いを求めることができます。
 「株主名簿」については,株主は閲覧や「謄写」を請求することができるとされています。一方,計算書類等については,株主は閲覧や「謄本または抄本の交付」を請求することができるとされています。ですから,計算書類等については,会社の方でコピーを用意して交付する必要があります。また,株主名簿については,会社法上,株主は,請求の理由を明らかにして閲覧等を請求しなければならず,会社は一定の場合には請求を拒むことができるとされています。これに対して,計算書類等については,このような定めがありません。しかし,不当な目的による請求については,権利の濫用であるとして請求を拒む余地があります。ただ,どのような請求が権利の濫用にあたるかという判断は難しいものですから,詳しくは弁護士にご相談ください。
新しい取引先と契約をすることになったのですが,この取引先は,他社との間で,契約内容をめぐるトラブルを起こしたことがあるそうです。そのようなトラブルは避けたいのですが,どうすればよいでしょうか。
「そんな契約書は見たことがない。そこに書いてある内容はでたらめだ!」こんなトラブルに巻き込まれたら大変ですよね。
そんなトラブルに巻き込まれないために,まず,どのような契約内容であるかを書面にしておくことが大切ですので,契約書の作成をした方がよいでしょう。また,その契約書の作成日付が実際の作成日より遡らせているなどとしてトラブルにならないよう,確定日付の付与をお勧めします。ただ契約書の内容そのものの真偽についてトラブルになることも起こりえます。それを未然に防ぐ方法として,契約書を「公正証書」にする方法があります。
「公正証書」とは,公証人が,民法等の法律に従って作成した文書のことをいいます。例えば,遺言公正証書,金銭消費貸借契約に関する公正証書などがあります。
公正証書は,裁判所に証拠として提出した場合,信用性が極めて高いものとして扱われます。また,金銭の支払を内容とする契約の場合,債務者が支払をしないときには,通常,裁判を起こして判決などを得た上で債務者の財産に対して強制執行をすることになりますが,執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば,直ちに強制執行手続に移ることができます。
公正証書を作成するかどうかは,通常,当事者の意思に委ねられていますが,定期借地契約や任意後見契約など,法律で公正証書の作成を求められる契約もあります。
公正証書は,公証人役場で作成します。公証人に条項の作成を委ねることもできますが,公証人は中立的な立場から定型的な条項を作成するに留まります。契約には色々な背景事情がありますし,各種条項できめ細やかな配慮を必要とする場合も多いでしょう。公正証書を作成する場合は,ぜひ弁護士にご相談ください。
取引先に発注した商品が,納期を過ぎても届かないので連絡したところ,「破産手続開始決定が出た」と聞きました。まだ代金も支払っていませんが,どうすれば良いのですか。
 取引先が破産手続を開始したとしても売買契約が当然に無効になるわけではありません。ただ,本問の場合のように,破産手続開始時点で双方とも債務が履行されていない場合には,破産法は特別な規定を設けています。
 すなわち,商品も納入されていない一方で,代金も支払っていない場合には,取引先の管財人は,その売買契約を①解除するか,②商品を引き渡し,代金の支払い請求をする(「履行の選択」といいます)か,いずれかを選択することができます。
 破産管財人により①解除されれば,代金の支払いをする必要はなくなりますが,②履行の選択をされれば,商品の入手はできるものの,代金の支払いをしなければなりません。一方こちらから売買契約を解除することはできませんが,破産管財人に対して,解除するのか,履行の選択をするのか,決めるように催告することはできます。また,催告してから一定期間過ぎても破産管財人が選択しない場合は,解除したものとみなされます。
 なお,代金を全額前払いした場合は,双方未履行というわけではありませんので,解除の問題は発生しません。この場合,商品引渡請求権は破産債権となり,金銭債権と評価した上で,破産手続に参加し,配当を受けることになりますが,通常,全額回収は困難です。
 今回のご相談は売買契約ですが,賃貸借契約や請負契約などの処理については,破産法や民法により,さらに特別な規定が設けられていますので,詳細は弁護士等に相談してください。
会社の倒産処理にはどのようなものがありますか。
 会社の倒産処理には、まず、大きく分けて法的整理と任意整理に分かれます。法的整理とは、法律に基づいて裁判所の関与と監督の下に行われるものをいい、任意整理とは、法的な手続を全く使わず、会社と債権者だけで自主的に処理手続を進めるものをいいます。
そして、法的整理には、破産、特別清算、民事再生、会社更生があります。
このうち破産と特別清算は、会社の資産を売却するなどして換価し、これを債権者に分配して会社を清算するもので、清算型手続と呼ばれます。この場合は、会社財産の管理権が破産管財人に移ってしまい、会社による自主的な運営はできなくなります。
他方、民事再生、会社更生は、債権者の協力を得て債務の圧縮を行ったうえで、債権者に対して弁済を行いながら事業を継続し、会社の再建を図るもので、再建型手続と呼ばれます。この場合は、会社が原則として業務遂行権や財産の管理処分権は失わず、会社による自主的な運営が行えます。
本来であれば再建型手続により会社の再建を行うことが望ましいと言えますが、実際には、清算型手続、その中でも破産となることが多いようです。というのも、会社の再建を目指すのであれば、会社経営が芳しくない状況になったときに、できるだけ早期に財務状況を調査した上で、種々の対策を打ちつつ、どのような手続をとるべきか詳細に検討する必要がありますが、なかなか相談できず、結局進退窮まってからようやく相談することになり、破産するしかない状況に追い込まれることが多いからだと思われます。そういったことにならないよう、会社の経営が思わしくないと感じられたら、できるだけ早く弁護士に相談されることをお勧めします。
当社の取締役の一人が退職することになりました。退職慰労金を支給しようと思いますが、どのような手続、基準に基づいて支給すべきでしょうか。
 退職慰労金は、功労報償といった側面もありますが、そういった部分も含め、基本的には在職中における職務執行の対価と解されています。
そのため、退職慰労金を支給する手続としては、取締役の報酬と同じように、定款で定めていなければ、株主総会において決議を経る必要があります。実際には、定款で定めている例は少ないですから、株主総会の決議を経ることになります。
株主総会の決議においては、原則として、退職慰労金の具体的な金額、あるいは算定方法を明示した上で決議を求めることが必要です。
ですが、これまでの実務では、支給する退職慰労金の総額を明示せず、具体的な金額や支給方法につき、取締役会(ないし取締役の過半数)に一任する旨の決議がなされることが通例でした。この場合、判例上は退職金支給に関し一定の基準が確立していること、さらにはこの基準を株主が推知しうる状況にあることが必要とされています。
このうち、一定の基準については、多くの会社では、月額報酬に在任期間や役職に応じた一定の係数を乗じた額を基本として、これに会社の業績や役員の功績による加算を行うものとすることが多いようです。
また、株主が推知しうる状況が必要ですので、株主総会の招集通知に記載する、基準を示した書面を本店に備え置き閲覧できる状況にする、株主総会で質問があった場合は説明を行う、といったことが求められます。
 以上を踏まえれば一任する旨の決議も可能と考えられますが、この決議を認めた判例は会社法施行前のものであり、現行法においてどのような決議が認められるかは微妙な判断が求められますので、弁護士に相談することをお勧めします。
当社では、これから外国人を雇い入れたいと考えています。注意する点を教えてください。
1.不法就労にならないように!
 まず応募してきた外国人がどのような在留資格で入国しているかを把握し,就労できる外国人かどうかを確認する必要があります。
 就労資格がないのに就労してしまった場合,その外国人が処罰されるだけでなく,就労資格のない外国人を雇用した者も入管法により処罰される場合がありますので注意してください(入管法73条の2)。
 入管法では,一般的に,専門的な技術等を生かす職業活動をしようとする者にのみ,その職業をするための就労資格が与えられています。
 当該外国人に,与えられた在留資格の範囲内の活動をさせるためであれば,雇い入れることはできますが,それ以外の活動やいわゆる単純労働をさせることはできません。また,「短期滞在」「留学」「研修」といった在留資格では,原則として就労は認められていません。ただし,法務大臣が相当と認めた場合には,一定の条件下で資格外活動として労働が認められることがあるので,当該外国人がその資格外活動の許可をもらっていれば雇い入れることも可能です(入管法20条2項)
 その許可が与えられているかどうかは,当該外国人に「就労資格証明書」の提示を求めれば確認できます。この証明書には,当該外国人が行うことのできる活動内容,就労可能な期限が記載されており,安心して雇い入れが可能です。
2.労働基準法など労働法規の遵守
 また,労働基準法,最低賃金法などの労働法規は,外国人にも適用されますから,外国人に対しても最低賃金額以下で労働させることは許されませんし,外国人だからといって日本人より安い賃金しか払わないことも許されません(労働基準法3条など)。もちろん,賃金だけでなく,その他の労働条件についても,日本人との差別的取り扱いは禁止されていますから,注意が必要です。
会社の金庫に入れていた受取手形(他社から受取った約束手形)を盗まれてしまいましたが,どうしたらいいでしょうか。
 まず警察に連絡して,「被害届」を出すべきです。正式な「刑事告訴」の手続をとることもできます(犯人不明のままでも告訴はできます。)
 次に,支払銀行へ「事故届」を提出すべきです。他社から受け取った約束手形については,当該手形の振出人にお願いして,振出人から支払銀行へ事故届を出してもらいます。この事故届を提出すると,盗まれた手形を使って支払銀行への取立がされてきても,支払銀行は,盗難を理由として手形金の支払を拒否してくれます(手形は不渡になります)。しかし,振出人が不渡り処分(銀行取引停止処分)を受けることを避けるためには,振出人が銀行に手形金と同額の「異議申立預託金」を納めて,銀行から手形交換所へ異議申立手続をしてもらう必要があります。振出人にその旨予め依頼して了解を得ておくべきでしょう。
 さらに,支払地の簡易裁判所へ「公示催告,除権判決」申立の手続きをしておくべきです。除権判決が出ると、貴社は受取手形について、手形を持っていなくても権利行使(振出人への手形金請求)ができます。但し、申立手続をしても、除権判決が出るまでには6ヶ月以上(少なくとも10ヶ月前後)はかかります。
 除権判決が出る前に,流通に回ってしまった手形を第三者が重過失なく善意で(つまり盗難の事実を重過失なしに知らないで)取得した場合には,振出人はその第三者に対しては手形金の支払を拒めなくなります。その結果、貴社は手形金を回収できなくなりますので,ご注意ください。
会社で使っていた建物が空き家になっています。このまま遊ばせておくよりも貸した方がいいと思うのですが、いったん建物を貸してしまうと契約を終了させることが難しいと聞き、二の足を踏んでいます。何か良い方法はないでしょうか。
定期借家契約の締結をお勧めします。
 通常の借家契約では、契約期間が満了しても、借主が契約の更新を希望する場合、「正当事由」がない限り、家主が更新を拒絶し、契約を終了させることはできません。これに対して、定期借家契約では、契約期間が満了すれば、契約は更新されることなく確定的に終了します。ですから、会社が建物を使用しない期間を決めることができるなら、定期借家契約を利用することができます。
 但し、定期借家契約を締結するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
 具体的には、まず、家主は、契約を締結する前に、借主(予定者)に対して、契約の更新はなく、期間の満了によって契約が終了することを、その旨を記載した事前説明書を交付して、説明しなくてはなりません。
 その上で、公正証書等の契約書を作成して契約を締結する必要があります。この契約書には、契約は期間満了によって終了し、更新はないということを明記しておかなければいけません。
 また、定期借家契約を締結するには、例えば「2年間」というように一定の契約期間を定める必要があります。
 更に、1年以上の期間を定めた定期借家契約については、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対し、期間満了によって契約が終了する旨を通知する必要があります。
 このように、留意すべき点も多くありますので、定期借家契約を締結する際には、弁護士等にご相談ください。
友人とゴルフの途中、ミスショットしたボールが友人に当り、全治1週間の怪我を負わせてしまいました。私は責任を負わなければならないのでしょうか。また、その場合どのような責任が生じるのでしょうか。
ついつい力んでショットし、ボールはあらぬ方向に......、そんな経験、ゴルフをした方であれば誰しもがお持ちではないでしょうか。打った側としては、「ボールの飛んでいった先にいる方が悪い、自己責任だ!」などと言いたくなるかもしれませんが、そう言い切っていいかどうかはよく考えなければいけません。高速で飛ぶボールを打つ以上、ゴルファーとしても人に当てない、怪我をさせないように注意を払うべき義務を負っているのです。裁判例では、ボールを打つときに「自分の技量に応じ打球が飛ぶ可能性のある範囲を十分に確認すべき義務」があるとされています。
 今回の場合、あなたがボールを打つ前から友人に気付いていたかどうかで責任の有無が変わる可能性があります。まず、あなたの打ったボールが届くであろう範囲に友人がいることを認識していながら打った場合、責任を免れることは難しいでしょう。ミスショットすれば当ててしまうおそれがあることは予測できるのですから、ボールの届く範囲から移動してもらうように声をかけるべき義務があったと考えられます。一方、あなたから死角になっていた場合など、友人がいることに気が付かなかった場合にはさらに検討が必要です。通常その場所に人がいることが考えられないような場合であれば責任を免れ得る可能性はありますが、少し注意すれば気付けるような場合にはやはり責任を負うことになります。
 以上の検討の結果、あなたが責任を負わなくてはならない場合には、今回の怪我で友人にどのような損害が生じたかを検討することになります。具体的に発生する損害としては、①怪我の治療費、②病院に通うための交通費、③仕事を休まなければならなくなった場合の休業損害、④怪我による苦痛(慰謝料)などが考えられます。ただし、必ずしもあなたが全額負担しなければならない場合ばかりではありません。ゴルフという競技の性質上、思いがけない方向にボールが飛ぶことはあり得るのですから、同伴プレイヤーには打者より前に出ないことが基本的なマナーとして求められています。したがって、友人があなたより前に出ていた場合には友人にも相応の責任があり、あなたが注意を促したにも関わらずその場に止まっていたような場合であれば、大幅に減額される可能性もあるでしょう。
うちは中小企業ですが、大口の取引先から、民事再生手続開始の申立をしたとの通知を受けました。このままではうちも連鎖倒産してしまいます。債権回収の何かよい方法はないでしょうか。
裁判所が民事再生手続の開始決定を出しますと、それ以後は債権者は債権の弁済を受けることができなくなります。また、民事再生手続の開始決定前でも、通常、裁判所から弁済禁止の保全処分がなされますので、債権者はそれまでに発生した債権の回収をすることができなくなります。
このような原則に対し、民事再生法は、中小企業債権に関する例外を設けました。
これは、再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の前でも、その全部また一部の弁済をすることを許可することができるとするもので、関連企業が連鎖倒産することを防止するために定められたものです。したがって、あなたの会社もこれに当たる場合には弁済を受けられる可能性があります。
弁済を受けるための要件としては、再生債務者が主要な取引先であること、本人が中小企業者であること、連鎖倒産のおそれがあること等があります。「主要な取引先」とは何かは一概には言えませんが、通常、再生債務者との取引が全体に占める割合が相当程度大きいことが必要でしょう。
 この決定は、再生債務者などの裁判所に対する申立によりなされるもので、直接再生債権者が申し立てることはできませんので、通常、再生債権者が再生債務者に対しこのような申立をすることを求めることになります。そして求めを受けた再生債務者は裁判所に報告しなければならず、申立をしなかったときは、その事情を裁判所に報告しなければならないとされています。
 そして、裁判所は、中小企業者への弁済許可の決定に当たっては、当該中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状況など、一切の事情を考慮しなければならないとされています。
相手方が民事再生手続の申立をしたとしてもあきらめず、この制度の利用を検討してみてください。詳しくは弁護士へ相談することをお勧めします。
この度、従業員が退社し、退職金を支払ってしまったのですが、その後、その従業員が在職中に不正を行っていたことが判明しました。すでに支払ってしまった退職金の返還を求めることはできるでしょうか。また、仮に退職金を支払う前であった場合には、支払いを拒むことはできるでしょうか。
1 まず、すでに退職金を支払ってしまっていた場合ですが、退職金規定などに、退職後も返還を求めることができること、そしてそのための要件について明記されていれば、退職金規定に基づいて返還を求めることが検討できるでしょう。
また、このような直接的な規定がない場合であっても、退職後、懲戒事由が発覚した場合には退職金を支給しないといった趣旨の規定がある場合には、そもそも当該退職金には退職金を受領する法的根拠がないことになるので、一旦支払ってしまった場合でも不当利得に基づいて返還を求めることができると考えられます。
2 次に、まだ退職金を支払う前についても、退職金規定において、退職金減額事由や不支給の事由がある場合には減額ないし不支給とする旨の定めがあり、今回発覚した不正がこの減額ないし不支給の事由に該当すれば、退職金規定に基づき、減額ないし不支給とすることはできます。
しかし、このような規定がない場合には、退職金の減額ないし不支給の根拠がないため、すでに退職してしまった以上支払わなければならないと考えられます。
3 なお、上記のいずれの場合においても、規定に定めておけばそれでよいというものではありません。退職金は、功労褒章的な性格だけではなく、退職までの労働に対する対価としての意味合いもありますので、不支給とするのであればこれまでの勤続功労を否定するほどの著しい背信行為、減額の場合も事情に合わせた減額率の設定などをするなど、内容としても適正なものであると評価できる必要があります。
私は、従業員30名を抱える自営業を営んでいます。そろそろ自分の引退後のことを考えなくてはならないと思うようになりましたが、何をすべきでしょうか。何から手をつけたらいいのか、わかりません。
いわゆる団塊の世代から世代交代の時代を迎え、事業の代表権などを次の世代に承継する必要のある会社が多くみられます。円滑に事業を承継するにはどうしたらいいか、それが「事業承継」の問題です。
 「事業承継」の対策が不十分な場合、①相続税などで多大な課税をうけ、その支払いのために後継者が事業用資産を手放さなくてはならなくなることもあります。また、②相続人間で遺産分割や事業の実権をめぐってトラブルが起きる可能性があります。さらに、③後継者に関して社内での理解が得られないことにより、経営が安定しない結果になることもあり得ます。
 事業承継のパターンとしては、大きく①親族内承継、②従業員等への承継、③社外への承継(M&A)の3つのパターンがあります。まずは、後継者を誰にするのか決め、それに応じた対策を検討することになります。
 親族内承継や、従業員等への承継をする場合、後継者に株を集中させるなどして経営権の安定を図る必要があります。反面で、これによる相続人とのトラブルや後継者が会社債務の個人保証を負わされるリスクもあり得ます。相続人とのトラブルを予防するために遺言書を作成したり、個人保証について事前に金融機関と交渉をするなどの対策を講じる必要があります。
 また、親族や社内に適切な後継者がいない場合には、合併や株式交換、営業譲渡などのM&Aによる方法もあります。
 事業承継は、「転ばぬ先の杖」。従業員の生活の安定のためにも、早めに、弁護士などの専門家による適切な相談を受けることをお勧めします。

貸付金・売掛金・債権回収についてのご質問

友人とゴルフの途中、ミスショットしたボールが友人に当り、全治1週間の怪我を負わせてしまいました。私は責任を負わなければならないのでしょうか。また、その場合どのような責任が生じるのでしょうか。
ついつい力んでショットし、ボールはあらぬ方向に......、そんな経験、ゴルフをした方であれば誰しもがお持ちではないでしょうか。打った側としては、「ボールの飛んでいった先にいる方が悪い、自己責任だ!」などと言いたくなるかもしれませんが、そう言い切っていいかどうかはよく考えなければいけません。高速で飛ぶボールを打つ以上、ゴルファーとしても人に当てない、怪我をさせないように注意を払うべき義務を負っているのです。裁判例では、ボールを打つときに「自分の技量に応じ打球が飛ぶ可能性のある範囲を十分に確認すべき義務」があるとされています。
 今回の場合、あなたがボールを打つ前から友人に気付いていたかどうかで責任の有無が変わる可能性があります。まず、あなたの打ったボールが届くであろう範囲に友人がいることを認識していながら打った場合、責任を免れることは難しいでしょう。ミスショットすれば当ててしまうおそれがあることは予測できるのですから、ボールの届く範囲から移動してもらうように声をかけるべき義務があったと考えられます。一方、あなたから死角になっていた場合など、友人がいることに気が付かなかった場合にはさらに検討が必要です。通常その場所に人がいることが考えられないような場合であれば責任を免れ得る可能性はありますが、少し注意すれば気付けるような場合にはやはり責任を負うことになります。
 以上の検討の結果、あなたが責任を負わなくてはならない場合には、今回の怪我で友人にどのような損害が生じたかを検討することになります。具体的に発生する損害としては、①怪我の治療費、②病院に通うための交通費、③仕事を休まなければならなくなった場合の休業損害、④怪我による苦痛(慰謝料)などが考えられます。ただし、必ずしもあなたが全額負担しなければならない場合ばかりではありません。ゴルフという競技の性質上、思いがけない方向にボールが飛ぶことはあり得るのですから、同伴プレイヤーには打者より前に出ないことが基本的なマナーとして求められています。したがって、友人があなたより前に出ていた場合には友人にも相応の責任があり、あなたが注意を促したにも関わらずその場に止まっていたような場合であれば、大幅に減額される可能性もあるでしょう。
うちは中小企業ですが、大口の取引先から、民事再生手続開始の申立をしたとの通知を受けました。このままではうちも連鎖倒産してしまいます。債権回収の何かよい方法はないでしょうか。
裁判所が民事再生手続の開始決定を出しますと、それ以後は債権者は債権の弁済を受けることができなくなります。また、民事再生手続の開始決定前でも、通常、裁判所から弁済禁止の保全処分がなされますので、債権者はそれまでに発生した債権の回収をすることができなくなります。
このような原則に対し、民事再生法は、中小企業債権に関する例外を設けました。
これは、再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の前でも、その全部また一部の弁済をすることを許可することができるとするもので、関連企業が連鎖倒産することを防止するために定められたものです。したがって、あなたの会社もこれに当たる場合には弁済を受けられる可能性があります。
弁済を受けるための要件としては、再生債務者が主要な取引先であること、本人が中小企業者であること、連鎖倒産のおそれがあること等があります。「主要な取引先」とは何かは一概には言えませんが、通常、再生債務者との取引が全体に占める割合が相当程度大きいことが必要でしょう。
 この決定は、再生債務者などの裁判所に対する申立によりなされるもので、直接再生債権者が申し立てることはできませんので、通常、再生債権者が再生債務者に対しこのような申立をすることを求めることになります。そして求めを受けた再生債務者は裁判所に報告しなければならず、申立をしなかったときは、その事情を裁判所に報告しなければならないとされています。
 そして、裁判所は、中小企業者への弁済許可の決定に当たっては、当該中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状況など、一切の事情を考慮しなければならないとされています。
相手方が民事再生手続の申立をしたとしてもあきらめず、この制度の利用を検討してみてください。詳しくは弁護士へ相談することをお勧めします。

ご近所トラブルについて

近所の工場から聞こえる作業音がうるさく、しかも夜遅くまで続くのですが、どうにかならないでしょうか。
1.このような騒音問題については、業種や地域、時間帯などによって細かく区分された、音量の上限規制があります。
 規制の内容は、騒音規制法や地方自治体の条例で定められていますので、インターネットなどで調べるか、区役所等の公害担当課にお尋ねください。近所で同じ騒音被害に悩んでいる方がいれば、その方と力を合わせて対処することが望ましいでしょう。また、作業音の音量についても、同じ公害担当課で測定してくれるところや、測定器を貸し出しているところもあります。そして、それにより規制を超えていれば、担当課に是正の指導を申し入れましょう。
2.規制に違反した作業が続いている場合、また、それにより体調を害して通院しなければならなくなっている場合には、作業そのものの差し止めや作業音を抑える措置を求めて裁判を提起したり、賃料費や慰謝料等の損害賠償を求めたりすることも考えられるでしょう。更に、緊急性が高い場合に仮に作業の差し止めを求める裁判、損害賠償の裁判など、色々考えられます。
3.規制には違反していないけれども、それでもうるさくて体調も優れないという場合は、いきなり裁判をやってみてもなかなか良い解決は得られないでしょう。そういった場合は、保健所などで行っている公害苦情相談を利用し、その助言を受けながら、都道府県におかれている公害審査会へ調停・あっせんなどの手続を利用して、お互いの言い分を良く分かった上で一つの妥協案を作り解決する方法もあります。
 もう少し詳しく説明しますと、裁判というのは、基本的に、その工場のやっていることが「違法かどうか」を審理していくものです。そして、「違法かどうか」の一番大きな目安は、先程述べた各種の規制に違反しているかどうかだと言えます(勿論、これが全てではありませんが、規制に違反がない場合にそれでも違法だと言える場合はかなり限られます)。
 他方、あっせんや調停というのは、あくまで話合いにより、「違法とまで言えないが全く問題がないとは言えない」という場合などを、上手く調整して妥協出来る点を目指すものですから、裁判より柔軟な解決ができる場合があります。
4.以上のように、近所の騒音問題については、法制度や様々な解決手段が用意されています。上手く活用して下さい。

損害賠償について

大学生の息子が一人住まいのアパートでストーブを消し忘れ、火災を起こしてしまいました。息子の部屋だけなら良かったのですが、両隣りの部屋にも燃え移り、大半の家具をダメにしてしまいました。息子としては、どのような責任を負うことになるのでしょうか。
 まず、息子さんは、アパートの家主さんに対する関係では、賃借りしていた部屋について、善良なる管理者の注意義務をもって保管する義務がありますから、この義務に反して火災を起こしたもの(債務不履行責任)として、この火災によって生じた損害(アパートの修理代等)を賠償する責任があります。
 次に、両隣りの住人に対しては、どのような責任を負うことになるでしょうか。
 息子さんは、両隣りの住人とは直接の契約関係はありませんから、過失によって他人に損害を与えた者として、民法上の不法行為責任としての損害賠償責任が考えられます。
 しかし、失火の場合には、失火責任法によって「重大な過失」がなければ不法行為責任を負わないとされています。これは、我が国では木造家屋が多く、すぐに類焼したりして想像を超える損害が発生することが多いために、責任を限定する趣旨で定められたものです。
問題は、何をもって「重大な過失」があったと言えるかです。
 裁判では「主婦が天ぷらを揚げている最中に台所を離れた隙に出火した場合」「漫然と寝たばこをしていた出火した場合」などに重大な過失があったと判断しています。出火原因については、消防署や警察署が調査していると思いますが、息子さんの場合はストーブを消し忘れて外出したとのことなので、重大な過失ありと判断される可能性があると思われます。
 なお、家主さんや両隣の方が火災保険などをかけていたときは保険金で被害が補填されますが、この場合には保険会社から支払った保険金を請求されることもあります。
 失火の場合には、責任の有無、保険との関係など複雑なことがありますので、弁護士と相談されることをお勧めします。
小学校1年生の息子が、放課後、学校で遊んでいたところ、同級生に押されて転倒し、怪我をしてしまいました。同級生の親や、学校に対し、損害賠償を請求することはできますか。
 まず、同級生がどのような行為をしたかによって請求できる場合とできない場合があります。
 子どもの遊戯方法として一般的に認められた遊戯中に、その遊戯に通常伴う程度の行為によって偶発的に怪我をさせたような場合には、その行為は違法ではないと考えられます。例えば、小学校2年生の子どもが「鬼ごっこ」の最中に友達の背にしょってもらって逃げようとしたところ、友達が転倒して腕を骨折したという事例で、違法性を欠くとした裁判例があります。このようなケースでは、損害賠償を請求することはできません。
 しかし、加害行為がそのような程度を超え、粗暴にわたるような場合には、違法であると考えられます。例えば、4才の幼児が竹棒で友達の目を突き失明させたという事例で、違法性を認め、損害賠償を請求できるとした裁判例があります。
 損害賠償を請求できる場合、小学校1年生の同級生には責任能力が無いので、監督義務者である親が責任を負い、損害賠償をすることになります。親は子が家庭内にいると否とを問わず、子の生活関係全般にわたって保護監督する義務があるので、学校内で起きた事故であるから現実に監督することはできなかったというような理由で責任を免れることはできません。
 これに対し、学校は、学内における教育活動やこれに準ずる活動に関する子どもの行動部分に限って監督義務を負うので、放課後の事故については、事故を予測できるような特別な事情がない限り、損害賠償する義務を負いません。
 なお、損害賠償ではありませんが、学校内の事故については独立行政法人日本スポーツ振興センター(略称NAASH)が見舞金や治療費給付などの事業を行っていますので、まだ手続をとっておられないのであれば、手続をとられることをお勧めします。
1年以上前に取引先に商品を販売しましたが、何度請求書を送っても代金を支払ってくれません。どのような点に注意が必要でしょうか。
 最終的には強制執行で回収せざるを得ず、その前提として訴訟を提起して判決を得たり調停を申し立てて調停を成立させたりするなどの手続をとる必要があります。
 この売掛金請求の訴訟を提起する際の注意点は「消滅時効」です。会社や商人の売掛金の消滅時効は大変短く、例えば、請負工事代金の時効は「権利を行使できるとき」から3年であり、商品代金は2年、運送賃は1年です。請求書を送り続けるだけでは時効は中断せず、訴訟提起や調停申立等をしなければなりません。ただし、時効期間満了前に「催告」をした場合には6ヶ月時効が延びます。例えば、平成23年2月10日に「翌月月末払い」の約束で商品を販売した場合、平成23年3月31日が支払期限となります。消滅時効期間である2年が経過した平成25年3月30日が過ぎると、売買代金債権は時効消滅してしまいます。しかし、平成25年3月29日に「催告」が取引先に届いていると、6か月後の同年9月28日までに訴訟を提起すれば時効は中断します。催告による暫定的な時効延長は1回だけですので、6か月ごとに催告書を送っていても、同年9月28日までに訴訟提起しなければ消滅時効となってしまいます。催告は、後の証明のため内容証明郵便(配達証明付)で行うのが良いでしょう。勝訴判決が確定したり、調停が成立してもなお相手方が支払わない場合には、相手方の財産に対して強制執行を行うことができます。
 「支払督促」の制度も有用です。債権者の申立があれば、簡易裁判所は、債務者の反論を聞くことなく「支払督促」を発します。所定の期間内に債務者から「督促異議の申立」がなければ、債権者は、仮執行宣言の申立を行って、強制執行をすることができます。督促異議の申立があれば、通常の訴訟に移行します。
以上の手続きを経て強制執行ができるようになれば、改めて裁判所に強制執行を申し立てて取引先の財産を差し押さえ、これを金銭に換えて回収することができる場合があります。差し押さえる対象として一般的なものは取引先の預金、不動産、売掛金債権などです。
 詳しくは、弁護士にご相談下さい。
私は,事業を営んでいますが,売掛金をなかなか支払わない取引先があります。「(取引先の)債権を差し押さえる」ということを聞いたことがありますが,債権の差押えとはどのようなものですか。
 債権の差押えというのは,強制執行の一パターンです。強制執行とは裁判所などの国家機関が,たとえ債務者の意思に反しても強制的に権利の実現を図る手続です。債権の差押えは,この強制執行のうち執行の対象が債権の場合のことで,これを債権執行といいます。
 売掛債権の回収などの金銭執行の場合,債権執行を選択することは,費用,手続の簡便さから,不動産執行など他の手続を選択するよりも有利と言えます。債権執行の例としては,預金債権,売掛債権,給料債権,賃料債権などの差押えがあげられます。
 債権執行の具体的な手続は,訴訟,支払督促などの手続により「債務名義」(民事執行法22条)と言われる文書を取得した上で,原則として債務者の所在地を管轄する地方裁判所(民事執行法144条)に対して申立てをして,裁判所から債権差押命令を取得します。この債権差押命令により,債務者(取引先)に対しては債権の取立てその他の処分が,第三債務者(取引先の債務者)に対しては債務者への弁済がそれぞれ禁止されます。この差押えの効力は差押命令正本が第三債務者に送達されたときに生じます。そして,差押命令が債務者に送達されてから1週間が経過すると,債権者は,直接、第三債務者から支払を受けることができます(これを「取立権」といい,直接第三債務者から回収することになります)。
 ただ,債権執行を申し立てるには,第三債務者を住所,氏名により特定した上で,差し押さえる債権の種類,発生原因の特定が必要になりますので,差し押さえて欲しい債務者の債権は,債権者自らで発見しなければなりません。
 差押命令にもかかわらず第三債務者が支払に応じてくれないこともありますが,その多くは差押命令の意味を良く理解できていないことによるものなので,差押命令により受領権限があることの説明をして説得に努めます。第三債務者とすれば,誰かには支払わなければならないものなので,多くの場合は,この説得により支払ってもらえます。
取引先に対する仕入代金(買掛金)の支払準備をしていましたところ、裁判所から、この仕入代金債権を差し押さえる旨の債権差押命令が送られてきました。どのように対処したらよいですか。
1.取引先に対する支払いをとめる
 ご質問の場合、取引先に対する債権者(「差押債権者」といいます)が、債権回収のために、取引先のあなたに対する代金債権を差し押さえたものと考えられます。債権差押命令は、取引先(「債務者」といいます)に対しては債権の取立てその他の処分を禁じ、あなた(「第三債務者」といいます)に対しては債務者(取引先)への弁済の禁止を命ずるものです。この効力は、差押命令が第三債務者であるあなたに送られたときに生じますので、あなたは、仕入代金を取引先に支払うことができなくなります。誤ってこれを支払っても、その支払いを差押債権者に対して主張することはできませんので、後に差押債権者からの請求があれば、その支払いに応じざるを得ません(二重払いすることになります)。
2.陳述書を提出する
 通常、第三債務者(あなた)には、差押命令とともに「第三債務者に対する陳述の催告書」という書類が送られてきます。この催告を受けた第三債務者は、差押債権の存否等催告の事項に関し、回答する義務を負い、回答しなかったり虚偽の回答をしたりすると、差押債権者に対して損害賠償責任を負うことがあります。記載事項を記入した陳述書を、差押命令を受けた日から2週間以内に裁判所に提出します。
3.差押債権者に対する支払いなど
 差押命令が債務者(取引先)に送達されてから1週間が経過すると、差押債権者は、直接第三債務者であるあなたから差押債権を取り立てることができます。実際に取立に応じるか否かは事案によりますが、あなたが差押命令を受ける前から取引先に対して反対債権を有していて、反対債権による相殺が認められる場合などは取立に応じる必要はありません。また、そのような事情がなくとも供託をすることはできます。
成年後見制度について教えて下さい。
1.成年後見制度とは
 成年後見とは、痴呆・知的障害等のために契約などの法律上の行為を行うための判断能力を欠く常況にある方について、裁判所が後見人を選任し、その判断能力を補う制度です。
 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長等が後見開始の審判を申し立てると、家庭裁判所は調査、鑑定を経て、本人が精神上の障害により判断能力を欠く常況にあると認める場合には後見開始の審判をし、後見人を選任することになります。
 なお、判断能力の程度によって、後見のほか保佐・補助の制度も準備されています。
2.成年後見人の職務
 成年後見人は、判断能力を欠く常況にある本人にかわって、預金の管理、不動産の売買・賃貸借契約、施設入所契約といった本人の財産に関する法律行為全てを行うことができます。また、本人が自分でした契約等を取り消すこともできます(ただし、日用品の購入、光熱費の支払等の日常生活に関する行為を除く)。
 成年後見人は、その職務の遂行にあたっては本人の身上について配慮しなければならないとされています。
3.成年後見制度の今後
 福祉サービスを受けるために契約の締結が必要となったこともあり、判断能力を欠く常況にある本人を支援するために成年後見の申立は増加の傾向にあります。具体的な申立方法や費用等については、愛知県弁護士会高齢者・障害者総合支援センター「アイズ」へご相談下さい。
 成年後見制度は本人の財産管理に重きをおいた制度であることから、成年後見のみで事足りるというものではなく、身上監護を含め本人の生活全体をサポートするシステムの一つとして位置づけていく必要があるでしょう。そのため、従来は後見人として親族や弁護士が選任されるケースがほとんどでしたが、最近では法人が後見人となり、各分野の専門家や地域のボランティアの方とともに支援をしていこうという試みが行われている所もあるようです。
犯罪被害者のための損害賠償命令制度とは、どのような制度で、どのような手続で進むものなのですか。
1.制度の概要
 「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」の改正により、「損害賠償命令制度」が導入されました。
 犯罪被害に遭ったとき、これまでは加害者に対して損害賠償を請求するためには、加害者の有罪・無罪や量刑を定める刑事裁判とは別に、民事裁判を起こす必要がありました。
 新しい制度によると、別個に民事裁判を起こさなくても、刑事裁判の証拠などを利用して、刑事裁判手続を担当した裁判所が民事の損害賠償の審理も行い、簡単で迅速な手続によって民事裁判の判決が出た場合と同じ効果を得ることができるようになり、被害者の負担が大きく軽減されることになりました。
2.申立手続
 まず、損害賠償命令制度の対象となるのは、故意の犯罪行為により人を死なせたり、けがを負わせた罪(殺人、傷害の罪)や、強制わいせつ・強姦、逮捕・監禁、略取・誘拐の罪など、一定の犯罪に関する事件です。交通事故など過失による罪は、対象から除かれています。
 損害賠償命令制度の申立ては、加害者の刑事裁判の審理を行っている地方裁判所に対して、刑事裁判の弁論終結(検察官、被告人の双方の主張・立証がすべて終了し、判決の言渡しだけを残す状態)までの間に、申立書面を提出する方法によって行います。
 申立ての手数料は一律2000円とされています。刑事裁判とは別に、民事裁判を起こす場合、例えば、損害賠償の請求額を5000万円とすると、申立ての手数料(収入印紙代)は17万円もかかりますから、手数料の点からも、被害者の負担を大きく軽減した制度であるといえます。
3.損害賠償命令手続の進み方
 損害賠償命令の申立てを行い、被告人(加害者)に有罪判決の言渡しがあると、裁判所は、原則として直ちに損害賠償命令に関する審理を行うものとされています。
 手続の初日には、刑事裁判の記録を原則として全部取り調べることとされています。これまでのように、別に民事裁判を起こす場合にも、刑事裁判の記録を集めて、提出することは可能でしたが、時間と費用がかかることなので、必ずしも簡単なことではありませんでした。損害賠償命令の手続では、証拠を集めて提出する被害者の負担が、大幅に軽減されることになりました。
 そして、損害賠償命令に関する手続は、原則として、4回以内で審理を終結しなければならないことされています。そのため、通常の民事裁判の手続に比べて、格段に早く、結論が得られることになります。
 なお、損害賠償命令の内容について、不満がある場合には、異議を申し立てることもできます。この場合、通常の民事裁判の手続に移行することになります。

医療過誤について

医療過誤が起きた場合、医療者はどのような責任を負いますか。
 医療行為に際して、医療機関の側にミスがあり、その結果、患者の死亡や、後遺障害など、望ましくない結果が生じた場合のことを、医療過誤といいます。このような医療過誤があった場合、医療機関側は、患者に対して、ミスによって生じた損害を賠償しなくてはならない責任が生じます。
 医療機関側がこのような責任を負うためには、前提として、ミスがあったこと、すなわち「過失」があったことが必要です。過失とは、一般人であれば守るべき注意義務に違反することとされています。医療過誤の場合には、ここでいう注意義務とは、一般的な医師の場合であれば守るべき義務、ということになります。これを「医療水準」といいますが、医療水準は、問題となっている医療機関の性格や地域の医療環境の特性などによって左右されます。規模の大きい大学病院と、個人の医師が経営するクリニックとでは、守るべき注意義務のレベルも自ずと違ってくる、ということになります。
 医療機関が責任を負うには、過失の他に、ミスによって損害が生じたという関係、「因果関係」が必要です。具体的には、問題となっている行為があれば、死亡や後遺症などの結果が生じることが、一般人が考えて疑いを差し挟まない程度に確実である、といえる場合に、因果関係があることになります。ただし、医学の領域には未知のことがらも多々あり、ミスがなければ患者の死亡を回避できたのか、といったことについて、立証が困難な場合も多くあります。
 患者側が医療機関の責任を追及する場合、法的な考え方は二通りあります。医療機関側が、患者との病気を治療するという契約に違反した、という「債務不履行」という考え方と、医師が不注意によって患者を傷つけた、という「不法行為」という考え方です。どちらの考え方をとるかによって、消滅時効(債務不履行の場合はミスがあってから10年、不法行為の場合は3年)などの点で違いが現れてきます。
 医療機関が負担しなければならない損害としては、増大した治療費、死亡しなければ得ることのできた逸失利益、精神的苦痛に基づく慰謝料などがあります。
交通事故に遇って、後遺症が残ってしまいました。後遺症について、教えて下さい。
交通事故の被害者の方が医師等による治療を受けても、完全には治癒せず、身体に一定の障害(失明、手足の欠損、視力や聴力の低下、部分的な神経症状など)が残る場合があります。これを後遺症または後遺障害といいます。
 交通事故でけがを負った被害者の方は、事故の原因となった過失の割合に応じて、加害者に対して、治療費などの損害賠償を請求することができますが、後遺障害が残ってしまった場合には、後遺障害に基づく損害についても賠償を請求することができます。この後遺障害に基づく損害には、①以前のようには仕事ができなくなってしまったことで収入が減ったりゼロになったりしたことによる損害(「逸失利益」といいます。)や、②後遺障害が残ったことで受けた心の痛み(精神的損害)を金銭的に評価した「慰謝料」等があります。
 後遺障害に基づく損害額を算出するにあたっては、その後遺障害がどの程度重いものであるかが大きく影響します。ですから、被害者の方が、加害者(あるいはその加入している保険会社)に対して後遺障害に基づく損害を請求するにあたっては、被害者の方で、自分がどの程度の重さの後遺障害を負っているかを証明しなければなりません。このとき、重要な判断要素となるのが、「損害保険料率算出機構の調査事務所」による等級認定です。これは、本来は自賠責保険会社が保険金を支払うべきかどうかを判断するためのものですが、その認定は任意保険会社の判断や、場合によっては裁判所の判断も左右するため、非常に重要なものとなっています。
 この認定は、被害者の主治医が作成する診断書や「後遺障害診断書」等の書類などの資料を中心に、顧問医の意見も参考にしながら、第1級から第14級までの等級のいずれかに該当(又はいずれにも非該当)するとの体裁により行われます。なお、この等級は上位等級に行くほど後遺障害の程度が重いものとされています。たとえば、第1級には両眼失明などがあり、最も下位の第14級にはむち打ち症などによる部分的な神経症状などがあります。

生活保護について

生活保護の申請をするにはどのようにすればいいのですか。生活保護が認められるための要件はどのようになっていますか。
 住んでいる所(住んでいる所がないときは現在居る所)の各社会福祉事務所(市町村の保護係)の窓口に行って、生活保護の申請をしたい旨言えば申請ができます。ただ、言うだけですと相談のみとされるおそれがありますので、申請書を用意して行くとよいでしょう。申請書の要式は決まっていません。自分で用意した紙に申請者の住所(住所がない場合には「不定」と書く)、氏名、性別、生年月日、職業、生活保護(生活扶助、住宅扶助、医療扶助など)の開始を求める旨と、申請を必要とする理由を記載して、署名、押印すれば申請できます。
 申請後、保護開始要件の審査が行われます。ですから、要件がなければ申請できないものではなく、申請することは権利として認められています。
 保護開始の要件は、法律上、①申請すること(または差し迫った状況であること)、②保護が必要な状態であること(最低生活費(世帯に必要な基準額による各生活費の合算額)が収入認定額を上回ること)、③仕事探しの努力をするなど能力・資産を活用していること(または差し迫った状況であること)ですが、以上のほかに、窓口では、日本国籍(または難民認定を受けている者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)があることも必要とされることが多いです。
 申請すると、社会福祉事務所は、14日以内(最大30日以内)に、書面をもって、理由を付けて決定を通知しなければなりません。納得ができない決定に対しては不服申立て(審査請求)ができます。
 健康で文化的な最低限度の生活をすることは憲法で認められた国民の権利です。仕事ができる年齢であったり、身内がいたりしたとしても、仕事が見つからない、病気で働けない、身内の援助を受けられないなどの理由でそれを活用できず、生活保護基準以下の生活をしている場合には、生活保護を利用することができますので、申請して下さい。申請する際には弁護士の無料同行支援も利用できますので、弁護士にご相談下さい。

借金・保証人について

私は10年前に住宅ローンを組んで自宅を購入しましたが、一方で不景気のために給料が上がらず、他方で子どもの教育費等で出費が嵩み、やむを得ず消費者金融にも手を出したために支払いができない状態になってしまいました。破産して自宅を手放すしか方法がないでしょうか。
あなたが給与所得者等で安定した収入が見込めるのであれば、個人再生手続のうちの「給与所得者等再生手続」若しくは「小規模個人再生手続」といった制度を利用して,自宅を手放さずに,債務を減らすことができる可能性があります。
 もっとも,これらの手続を利用しても住宅ローンについては全額を,またその他の債務は一定の金額を,分割して支払っていくことになります。
 これらの手続について詳しくは、弁護士にご相談されることをお勧めします。
私は、夫と子供2人の4人で生活していましたが、先日、私の夫が亡くなりました。夫は、生前、貸金業者から多額の借金をしており、その返済をしていました。私や私の子供は、夫がした借金の返済をしなければならないのでしょうか。
1.借金も相続されます。
 質問の場合、相続人は妻のあなたと2人の子供ということになります。そして、夫が所有していた土地や夫の預金などのプラスの財産だけではなく、夫の借金といったマイナスの財産も相続されることになります。そのため、夫がサラ金から多額の借金をしていた場合、あなたやあなたの子供は、次に述べるような手続きをとらなければ、夫の借金も返済しなければなりません。
2.相続放棄によって借金の返済を免れることができます。
 借金も相続されますが、あなたやあなたの子供が、あなたの夫が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で相続を放棄する手続きをすれば、はじめから相続人でなかったという扱いになります。その結果、あなたやあなたの子供は夫の財産を相続しないことになりますから、夫の借金を返済しなくてもよいことになります。ただ、相続を放棄することでプラスの財産も相続できなくなりますので、注意してください。
3.場合によっては、夫の借金がすでに無くなっている場合もあります。
 貸金業者は、法律で認められている以上の利息をとっていた場合が多く、法律で認められた利息で借金を計算し直すと借金が相当減り、場合によっては利息の払い過ぎで業者からお金(過払金)を取り戻すことができる場合もあります。その場合には、相続放棄する必要もなくなるでしょう。
4.まずは、専門家に相談してください。
 相続するか、相続放棄するかについては、専門的な判断が必要となる場合があります。また、あなたやあなたの子供が相続放棄をする場合、夫の親などほかの人が相続人になってその人に影響を与える場合もあります。そこで、まずは、弁護士に相談することをおすすめします。
法律改正で、借金できる額に制限ができたという話を聞きましたが、それはどのような内容ですか。ローンで住宅や車の購入を考えていますが、それについても制限されるのですか。個人で事業を営んでいますが、その場合の借金はどうなるのですか。
1.貸金業者からの借金は年収の3分の1までに制限されました。
平成22年6月18日より、消費者金融などの貸金業者は、個人の顧客に対して、年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額を合算した額の3分の1を超えて貸付けをすることが原則としてできなくなりました。これを「総量規制」といいます。すなわち、借主が自分の返済能力を超えた借金をすることで多重債務者になることを防ぐため、原則として、貸金業者からは年収の3分の1までしか借入れができなくなったのです。
 なお、法人については、総量規制の適用はありません。
 ただし、この貸付けの制限は、貸金業者の行う貸付けについて適用されますので、銀行等による貸付けやクレジットカードのショッピングについては適用されません。
 また、専業主婦の方については、夫の同意がある場合には、夫の収入を併せた年収の3分の1まで、夫婦で借入れをすることが可能となっています。
2.住宅や車のローンについては、貸付けの制限の対象外となっています。
 住宅や車を購入するにあたっての貸付けは、一般的に金利が低く、返済期間が長期にわたり、かつ、貸付額も多額であることから、貸付け制限の対象外とされました。そのため、住宅の建設、購入または改良に必要な資金や自動車の購入に必要な資金については、年収の3分の1を超える額であっても貸金業者から借り入れることができます。
3.個人事業主は一定の条件のもと、年収の3分の1を超えて借入れができます。
 個人事業主については、①事業の実態が確認されており、②事業計画等に照らし、当該事業主の返済能力を超えないと認められたときは、年収の3分の1を超えて貸金業者から借入れをすることができます。
お金は返さなくてもよくなることがあると聞きましたが、それはどのような場合なのでしょうか。
法律上、権利者が権利を行使しないまま一定期間を過ぎると、権利が消滅してしまうという制度があります。これを「消滅時効」といい、金銭の貸し借りにおいてもこの「消滅時効」制度の適用があります。
 そのため、借金は、返済期限を過ぎた後、一定期間返済等がされない状態が続くと、貸主の権利(貸金返還請求権)が消滅してしまう、つまり、借主は返済する必要がなくなるのです。
 「消滅時効」により、借金を返済する必要がなくなるまでに必要な期間は、消費者金融・カード会社等の金融業者及び銀行等の金融機関に対する借金は返済期限から原則5年間、その他個人等に対する借金は返済期限から原則10年間です。この期間を「時効期間」と言います。
 ただし、返済期限から時効期間を経過しさえすれば、必ず借金の返済が不要となるわけではありません。その間に、①借金の一部を返済したり、借りた相手に対して借金の返済を約束したりした場合、②貸主から差押えなどを受けた場合、③時効期間内に借金の請求を受けた後6か月以内に裁判等を起こされた場合には、時効期間が経過しても、消滅時効は成立しません。これを「時効の中断」と言います。
 また、時効期間が経過しただけで、返済の必要がなくなるわけではありません。お金を借りている相手に対して、消滅時効を理由に借金を返さないという意思を表示してはじめて借金がなくなるのです。これを「時効の援用」と言います。たとえ時効期間が経過した後でも、時効を援用する前に、借金の存在を認めたり、相手に借金を返す約束をしたり、借金の一部を返済してしまうと、時効が援用できなくなり、借金を返済しなければならなくなります。かなり昔に借りたお金の請求を受けた場合には、消滅時効が成立している可能性がありますので、自分一人で対応しようとせずに、一度弁護士に相談してみてください。
保証人の負う責任は、どのようなものですか。
保証人が登場する一番典型的な例は、①Aさんが銀行等からお金を借りるときに、Bさんが保証人になる(保証契約を結ぶ)ケースです。このような場合、保証人であるBさんは、Aさんが借りたお金を期限までに返済しないような場合に、Aさんに代わって返済をするよう銀行等から請求されます。他には、②Aさんがアパートを借りたりするときにBさんが保証人になるケースや、③Aさんが就職するときに身元保証人として保証人になるケース等があります。②の場合は、Aさんが家賃を滞納したり、アパートを退去する際に原状回復費用を家主に支払わなかったりしたときに、BさんがAさんに代わってその金額を支払うよう請求されます。③の場合は、Aさんが何か不祥事を起こしたりして会社等に対して損害を賠償しなければならなくなったのに支払わないようなときに、BさんがAさんに代わって支払うよう請求されます。
 上記のうち、①で「根保証」をしてしまった場合や、②、③の場合には、予想以上に保証人の責任が重くなってしまうことがあるため、注意が必要です。
 保証人(Bさん)は、主たる債務者(Aさん)より重い責任を負うことはありません。また、主たる債務者の契約が、詐欺や錯誤等の理由で、無効であったり取り消されたりしたときには、保証人の責任もなくなります。
 保証人の負う責任はおおよそ以上のとおりですが、保証契約は、単なる「保証契約」と「連帯保証契約」とでは責任の重さが違います。単なる保証契約の場合には、主たる債務者(Aさん)に先に請求してほしいとか、主たる債務者に財産があるはずだから調べてほしいなどと主張することができますが、「連帯保証契約」の場合には、そのような主張ができず、主たる債務者とほとんど同様の、つまり、自分が借金等をしたのとほとんど同様の、非常に重い責任を負います。
なお、保証契約は、保証人と債権者との契約であるため、たとえ主債務者が保証人に「迷惑を掛けないから」などと約束していたとしても、保証人がこれを債権者に主張することは原則としてできませんので、注意して下さい。
事業を営んでいる親族から、連帯保証人になることを頼まれました。その者が破産した場合、連帯保証人の責任はどのようになりますか。
債権者からみると、保証人を立てさせるのは主たる債務者に債務不履行があった場合等のためであって、主債務者が破産するというのはその代表的な場面なのですから、主債務者である事業者が破産した場合、債権者は、当然保証人に債務の履行を請求することになります。具体的には、保証人に対して、内容証明郵便などによって支払を催告した上で、裁判手続等を行うことが考えられます。
 主たる債務者が破産した場合、破産手続開始の効果として、(破産)債権者は、破産者に対して、強制執行等の個別的な権利行使が禁止され、破産手続の中で配当による満足を得ることしかできなくなります(破産法46条以下)。
 しかし、この個別的権利行使禁止の効果は、債権者の保証人に対する権利行使には及びません。破産手続開始の効果は、破産者とは別法人格の保証人の責任には及ばないのです。
 したがって、債権者は、保証人に対しては、主債務者の破産手続開始前と同様に履行を請求することが可能で、保証人は、主債務及び保証債務の契約内容に従って残債務を支払わなくてはなりません。この場合、弁済期限については、原則として主債務本来の契約内容に従うこととなりますが、多くの場合、契約上「主債務者の破産等」は、期限の利益の喪失事由とされており、この特約がある場合には、主債務者が破産したときには、債権者から、残債務全額の支払を一括で請求されても拒否することはできません。
 また、主債務者である事業者が会社等の法人の場合、主債務者である法人は破産手続の終了により消滅しますが、この場合も、保証債務は消滅することなく存続します。ただ、保証人は、将来の求償権者(債権者に支払をした場合、破産者にその支払った分を求償することができます)として、一定の条件の下に破産債権者として、破産手続に参加することができ、配当を受けられる場合があります。
5年前に友人がテナントを借りる際,頼まれてその保証人になりました。最近になって急に家主から不払賃料の請求がありましたが,2年間以上賃料不払の状態が続いていたようで600万円近い金額になっています。保証人である以上全額について支払う義務はあるのでしょうか?なお賃貸期間は2年間で5年の間に契約は2度更新されています。
まず,当初の保証から2回の契約更新がされているとのことですので,建物賃借人の保証人は,契約更新後もなお保証人としての責任を負うかという問題がありますが,この点は裁判上肯定されるのが一般的な傾向です。
 建物賃貸借は,本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係(一回限りでない)であること,期間の定めがあっても契約書上更新が当然に予定されており,賃借人が望む限り更新継続されるのが通常であることなどから,保証人にとっても更新を当然に予測できるからです。
ただ,契約更新後の保証人の責任を無条件,無限定に認めると本件のような場合保証人に余りに過酷な責任を負担させることになります。そのため裁判例でも,「反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り」更新後の賃貸借から生ずる債務についても保証の責任を負う,として,契約更新後の保証人の責任を無条件,無限定には認めていません。
 どのような場合に「反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情」が認められ,保証人の責任が限定されるかについては,紙面の制約上詳細に説明することはできませんが,参考事案としては,2か月の賃料支払過怠で無催告解除できる特約が賃貸借契約上付されており,更新時に延滞額が200万円にも及んでいたのに連帯保証人に賃料延滞について直ちに知らせることなく,また連帯保証人が賃貸人に対して保証辞任の意向を示していたのに,延滞賃料が400万を超えてから訴訟提起がされたという事案で,更新後の賃料等の債務については連帯保証責任を負わないとしたものがあります。
貴方の場合も保証人である以上,全く責任がないことにはなかなかならないでしょうが,逆に600万円全額についてまでは責任を負わなくて済む場合もあり得ますので,弁護士に相談される方が良いでしょう。
借金を整理する方法にはどのようなものがありますか
借金を整理する方法には、主として、(1)破産、(2)個人再生手続、(3)任意整理、(4)特定調停、の4つがあります。
1. 破産とは、多額の債務を負って支払不能に陥った個人が、裁判所に申立てをして破産手続開始決定・免責許可決定を受けることにより、債務を弁済する責任を免れることができる手続です。但し、不動産など一定の財産があるときは、その財産を債権者間で分配することになりますので、持ち家があるときはそれを失ってしまうことになります。また、免責決定を得るまでは、保険の外交員や警備員などの一定の職業に就けなくなるとされています。さらに、破産の原因が浪費やギャンブルなどの場合又は以前に免責許可を受けている場合などは、免責許可を受けることができない可能性があります。詳細は、Q7以下を参照してください。
2. 個人再生手続とは、多額の債務(ただし、負債総額が5、000万円以下の場合に限られます)を負った個人が、支払不能に陥る前に裁判所に申立てを行い、法律で決められた最低弁済額以上の金額まで借金を減額してもらった上で、その額を原則3年間で分割して返済していく手続です。この手続では、持ち家に対する特別な配慮がされており、住宅ローンの抵当権が持ち家に設定されていても、一定の要件を充足する場合には、住宅ローンを返済し続けることによって持ち家をそのまま所有することが可能となっています。また、破産手続きと違って、借金を作ってしまった原因は問題とされませんので、例えばギャンブルで借金を作ってしまったような人であっても、この手続を利用することが可能です。詳細は、Q15以下を参照してください。
3. 任意整理とは、債権者と個別に交渉して、返済額・返済期間などについて和解をしていくという債務整理の方法です。(1)破産、(2)個人再生手続は裁判所を通じた手続ですが、この(3)任意整理は、個人が弁護士を通じて債権者と交渉する手続です。そのため、交渉・和解内容に法的な制約はなく、柔軟な解決ができる可能性があります。弁護士が債務整理をする場合、利息制限法上の金利に基づく引き直し計算を行うことによって債務元本が圧縮されるのが一般ですし、また、弁護士に依頼して任意整理をする場合には、将来分の利息がかからない形で和解をすることが多いといえます。このような方法を通じて、債務の減額交渉や過払金の返還請求を行い、残債務を整理する手続です。なお、任意整理については、Q12も参照してください。
4. 特定調停とは、簡易裁判所で、調停委員を介して貸金業者と返済計画を交渉する手続です。裁判所の調停委員を利用した任意整理と言えます。交渉である点は、(3)任意整理と同様ですが、調停委員が債権者との間に入ってくれるので、弁護士に依頼する必要がなく、自分でできる点が特徴です。
どこからいくらお金を借入れ、いつまで返したか分かりません。何か調べる方法がありますか。
借金の整理をする場合には、現在、どの貸金業者に借金があるのかがわからなければなりませんが、それだけでなく、どの貸金業者からいくらお金を借入れ、いくら返したかといった取引の履歴が分からなければ、正確な債務額を把握することはできません。
というのも、通常いわゆる消費者金融業者などは、利息制限法という法律で決まった年利(10万円未満20%、10万円以上100万円未満18%、100万円以上15%)を超えて貸し付けているのが通常ですが、近時の最高裁判決によって、この利息制限法の利率を超えた部分は無効であることがほぼ確定しています。したがって、当該業者との貸し借りの履歴を、業者の約定利息(20数%であることが多い)ではなくて、利息制限法所定の金利で計算をし直さなければ、法律に照らして正しい債務の額を確定できないからです。
この利息制限法での引直し計算をすれば、貸金業者の言い分よりも債務額を圧縮できますし、場合によっては、払いすぎた分を元本に充当していった結果、貸金業者に対して払いすぎた利息の返還請求ができる場合もあるのです。
そこで、貸金業者から、いついくら借りて、いついくら返済したかという取引の履歴を取り寄せることが重要になります。
もちろん、借り主が契約書や振込証、領収証などを保管していればよいのですが、貸金業者からの借金が繰り返されている場合、借り主には取引履歴が正確に把握できていないことがよくあります。
このような場合には、貸金業者に対して、取引履歴の開示を請求していく必要があります。
貸金業者には、取引履歴の開示義務がありますが(最高裁平成17年7月19日判決)、取引履歴の一部しか出さなかったり、取引履歴を小出しにしてなかなか出してこない場合がありますので、弁護士に相談する方がよいでしょう。
なお、個人の信用情報については、株式会社中部レンダースセンターなどが管理しています。ここに情報開示の請求をすれば、具体的な取引の経過を見ることはできないものの、あなたについての信用情報をチェックすることができますので、覚えておくとよいでしょう。
預貯金がある場合、破産手続開始を申し立てれば、預貯金を全部差し出さないといけないのでしょうか。
破産をすると、全ての財産を処分されてしまうと誤解されている方が多いようです。しかし、破産手続開始を申し立てる場合でも、一定の財産については破産者の下に残すことが認められており、預貯金についても維持することができる場合があります。
まず、同時廃止事件となった場合には、財産の換価等は行われませんので、預貯金を債権者に対する配当原資として差し出す必要はありません。名古屋地方裁判所の運用基準では、債務者の総資産額が40万円に達しない場合には同時廃止事件とするとされています。(ただし、30万円以上の価値のある個別資産がある場合(例えば、各預貯金の合計額が30万円以上の場合)には、債務者の総資産額が40万円を超える恐れがありますので、同時廃止事件とはならず破産管財事件となるものとされています。同時廃止事件となるかどうかは、個別の事情により異なりますので、具体的な基準については、弁護士にご相談ください。)
これに対し、債務者の総資産額が40万円を超える場合には、同時廃止事件とはならず破産管財事件となります。破産管財事件となり裁判所から破産管財人が選任された場合には、破産管財人によって財産の換価が行われますので、原則として、預貯金等は全て換価処分され、債権者に対する配当原資となります。
次に、破産管財事件となった場合でも、自由財産拡張の申立てをして、裁判所より自由財産拡張の決定がなされた場合には、自由財産拡張の決定があった預貯金について解約する必要はありません。裁判所は、自由財産の拡張決定をするに当たって、破産管財人の意見を聴かなければならないとされていますが、名古屋地方裁判所の運用基準では20万円以下の預貯金については、原則として拡張相当として換価をしない扱いとなっています。
したがって、自由財産拡張の決定がなされた預貯金については、解約することなくそのまま維持することができます。
同時廃止事件と破産管財事件の振り分けの基準は、各裁判所によって運用が異なりますし、その判断も難しいものといえます。あなたのケースについて具体的にどうなるかについては、弁護士にご相談されることをお勧めします。
自己破産をすると、会社は辞めなければならないのですか。
自己破産したからといって、会社を解雇されることはありませんし、自ら辞めなければならないということもありません。(ただし、公法上の制限等により、業務の遂行が制限される場合がありますので、ご留意ください。)
借金を作った原因がギャンブルや遊興だったり、一度も返していない債権者がいるような場合、破産をしても免責してもらえないと聞きましたが、本当ですか。
借金を作った原因がギャンブルや遊興だったり、一度も返していない債権者がいるような場合、破産をしても免責してもらえないと聞きましたが、本当ですか。
最近、雑誌や広告で「過払金」という言葉をよく聞きますが、過払金とは何ですか。
債務額は、利息制限法に基づく引き直し計算を行うことにより、債権者から従前請求されていた金額より小さくなる場合があるということを前項にて説明しました。利息制限法の上限金利を超える利息を支払っていた期間が長期にわたる場合など、引き直し計算を行うと、債務額が減少しきってゼロを通り越し、マイナスが生じる場合があります。通常の場合、このマイナスが貸金業者に対する払いすぎの分ということになります。これが過払金です。
貸金業者に払いすぎた利息を返してもらえる場合があると聞いたのですが、本当ですか。
本当です。
過払金は、本来は返済する義務がないのに支払ったお金ですから、払いすぎた分は、貸金業者の不当利得として返還請求をすることができます。
貸金業者との交渉によったり、場合によっては訴訟を起こしたりして、過払金を取り戻すことになります。過払金について、もっと具体的なことを知りたいという方は、愛知県弁護士会の法律相談センターにご相談ください(予約専用052-565-6110)。
個人再生手続とは何ですか。
多額の債務(ただし、負債総額が5,000万円以下の場合に限られます。)を負った個人が、支払不能に陥る前に裁判所に申立てを行い、法律で決められた最低弁済額以上の金額を弁済する内容の弁済計画を裁判所に認可してもらい、定められた額を原則3年間で分割して返済していく手続です。ここで、弁済計画は、再生計画認可の確定から原則として3年間以内に、債務の一部を弁済することを内容とします。
個人再生手続には、大きく分けて、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの類型があります。
まず、小規模個人再生は、個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5,000万円を超えないもの(民事再生法221条1項)である場合に、求めることができる再生手続です。
小規模個人再生手続が認可されるためには、金額などの点で一定の要件を満たす弁済計画であることが必要です。また、認可に至るには、債権者の同意に関する要件も満たす必要があります。Q16もご参照ください。
また、給与所得者等再生は、小規模個人再生の適用対象となりうる債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの(同法239条1項)である場合に、求めることができる再生手続です。
給与所得者等再生手続が認可されるためには、小規模個人再生手続のような債権者の同意は必要ないものの、弁済計画が可処分所得を基準とした一定の内容になっていることが必要となります。
個人再生手続を利用した場合、どのくらいの金額を弁済しなければならないのですか。
まず、小規模個人再生の場合には、次の2つの要件を満たさなければなりません。
1. 最低弁済額の要件
住宅ローンなど被担保債務を除く5,000万円以下の無担保債務の金額(以下「基準債務総額」といいます。)が、1,100万円未満のときは基準債務総額、2,100万円以上500万円未満のときは100万円、3,500万円以上1,500万円以下のときは基準債務総額の5分の1の金額、41,500万円を超え3,000万円以下のときは300万円、53,000万円を超え5,000万円以下の場合は基準債務総額の10分の1の金額を、それぞれ下回ることはできません。
2. 清算価値保証の原則
財産がある場合、弁済総額が、破産手続をした場合の配当額(清算価値)を下回らないことが必要となります。
ただし、小規模個人再生は、同意しない債権者が債権者総数の頭数で2分の1に満たず、かつ、その議決権額が債権総額の2分の1を超えない場合でないと認可されません。上記の2つの要件を満たしていても、この点で認可とならない場合があることに注意を要します。
次に、給与所得者等再生の場合には、満たすべき要件として、上記の2つの要件のほか、可処分所得に基づく基準が加わります。なお、小規模個人再生のときのような、一定の要件を満たす数の債権者の同意は必要ありません。
3. 可処分所得に基づく基準
弁済総額が、過去2年間の平均年収額から、政令で決められた最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額を控除した額(可処分所得)の2倍以上であることが必要となります。
なお、いずれの要件を検討するにあたっても、専門的・実務的な知識を必要としますので、弁護士に相談することをお勧めします。
個人再生手続を利用すると、自宅を失わないで借金を返すことができるというのは本当ですか。
住宅資金貸付債権(住宅ローン)に関する特則を利用できる場合(ただし、全ての方が利用できるわけではありませんので、詳しくは弁護士にご相談ください。)、再生計画において、住宅ローンの元利金の支払について、一定の範囲で期限の猶予を認める内容の条項を定めることで、抵当権を実行されることなく、毎月の支払額・支払期間を変更できます。変更後、新たな支払額・支払期間を守って返済していけば、自宅を失わずに済みます。
住宅ローンの債務額が減額されるわけではなく、支払を繰り延べる制度にすぎないという点にご注意ください。また、当然のことながら、支払を無制限に繰り延べられるわけではなく、原則として、住宅資金貸付債権に関する特則が定める支払方法により、繰り延べがされることになります。
なお、住宅資金貸付債権に関する特則は、その要件を満たす場合、小規模個人再生と給与所得者等再生のいずれでも利用することができます。
何年も前の借金がありますが、借金の返済は何年で時効にかかりますか。時効にかかっているかどうかを検討する際、気をつけた方がいいことはありますか。
貸金業者のあなたに対する貸付金(あなたの立場からみると借金ということになります。)には、消滅時効というものがあり、これは"たとえ借主にお金を請求する権利があっても、それが行使されないまま無風状態が続けば、法律上その権利を行使することができなくなる"というものです。
貸金業者のあなたに対する貸付金は、時効が中断していない限り、5年で消滅時効にかかります(商法522条)。すなわち、借金の支払をしなくなってから5年が経過すると、時効が中断していない限り、あなたは借金が時効により消滅したことを主張することができます。
ただし、時効期間が経過すれば自動的に支払わなくてよくなるというわけではなく、一定の内容の内容証明郵便を送るなど、貸金業者に対して時効の援用をしなくてはなりません。
また、時効の中断に気をつける必要があります。例えば、貸金業者から訴訟を提起されたり、あなたの側から、貸金業者に対して債務の一部を返済したり、借金があることを認めたりすると、時効が中断することになります。
何年も前の借金がありますが、借金の返済は何年で時効にかかりますか。時効にかかっているかどうかを検討する際、気をつけた方がいいことはありますか。
貸金業者のあなたに対する貸付金(あなたの立場からみると借金ということになります。)には、消滅時効というものがあり、これは"たとえ借主にお金を請求する権利があっても、それが行使されないまま無風状態が続けば、法律上その権利を行使することができなくなる"というものです。
貸金業者のあなたに対する貸付金は、時効が中断していない限り、5年で消滅時効にかかります(商法522条)。すなわち、借金の支払をしなくなってから5年が経過すると、時効が中断していない限り、あなたは借金が時効により消滅したことを主張することができます。
ただし、時効期間が経過すれば自動的に支払わなくてよくなるというわけではなく、一定の内容の内容証明郵便を送るなど、貸金業者に対して時効の援用をしなくてはなりません。
また、時効の中断に気をつける必要があります。例えば、貸金業者から訴訟を提起されたり、あなたの側から、貸金業者に対して債務の一部を返済したり、借金があることを認めたりすると、時効が中断することになります。
身に覚えのない借金や費用を請求されました。どのようにすればいいですか。また、身に覚えのない借金のことで、裁判所から訴状が届いた場合にはどのようにすればいいですか。
はがきや電話などで身に覚えのない借金の請求をされた場合には、相手にせず、放っておくことが一番です。身に覚えのない請求であれば、相手にしないで放っておいても、問題になることはまずないといっていいでしょう。連絡をしたりして何らかの回答をすると、本来払わなくていいはずの借金や費用を、言葉巧みに誘導されて支払わされる危険があります。最近は、裁判所や公的機関に類似する名称を騙って、一見もっともらしい専門用語を用いて請求をするものもありますので、注意が必要です。
他方、訴訟を提起された場合は、放っておくと相手方の請求をあなたが認めたことになり、あなたに対して、身に覚えのないはずの借金の支払いを命ずる判決が出てしまうおそれがあります。したがって、この場合は放置するのではなく、早急に弁護士に相談されることをお勧めします。
債務の一本化をしてくれるという業者がありますが、相談しても大丈夫でしょうか。
ご事情に応じ、債務の一本化のメリット・デメリットも考慮して、判断する必要があります。
メリット
一本化する前と比べて、利息の利率が下がり、その結果、総支払額が下がる場合がある。
返済先が1件のみとなるので、返済の手間が減少する。
個人信用情報上、「延滞」「整理」などと記載されずに済むため、近い将来に住宅ローンなどを組むことも不可能ではない。 など
デメリット
債務の一本化のための融資を受ける際の審査に通らない場合がある。また、連帯保証人を求められる場合がある。
任意整理(任意整理についてはQ11をご参照ください。)によった場合とは異なり、今後支払っていく利息の額や率について交渉を行う余地が極めて限られる。
 債務の一本化をうたう業者が、悪質業者でないことを見極める必要がある。 など
なお、債務の一本化をうたう業者の中には、借り主の無知に乗じて保証金等の名目で金銭をだまし取る業者がおり、注意が必要です。また、債務の一本化を行っても、金利が低くなる等のメリットがある反面、債務は残ることになるため、抜本的な解決にはなりません。これらの点も考慮において検討することが必要です。
総量規制とは何ですか。
改正貸金業法が、平成22年6月18日から完全に施行されました。
新たに始まったルールの一つとして、総量規制があります。
総量規制とは、借りることのできる額の総額に制限を設ける、新しい規制のことです。
貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、原則として、新規の借入れをすることができなくなります。
この総量規制が適用されるのは、貸金業者から個人が借入れを行う場合ですから、銀行からの借入れや法人名義での借入れは対象外ですし、住宅ローンなどにも適用されません。
貸金業者から新たにお金を借り入れる場合、源泉徴収票や給与明細などの、「年収を証明する書類」が必要となります。
すでに年収の3分の1以上のお金を借りてしまっている方や、専業主婦の方は、新たにお金が借りられなかったり、あるいは借りにくくなる可能性がありますが、これは、借金を整理する良い機会であるともいえます。
愛知県弁護士会では、各法律相談センターにて、サラ金・クレジットに関する相談を受け付けています。サラ金・クレジットに関する相談は、初回無料で受けられますので、この機会に弁護士にご相談ください。

夫婦関係について

私は、夫と離婚することに合意しましたが、仕事の関係もあり、離婚後も婚姻中に名のっていた夫の氏を使用しようと思っているのですが、どのような手続をすればよいのでしょうか。
原則として、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、離婚により婚姻前の氏に戻ります(民法767条1項)。しかし、この原則を貫くと、離婚により婚姻前の氏に戻る者は、社会生活上の不利益(例えば、契約関係や公的書類の氏の欄の変更届出をしなくてはならなくなったり、仕事の関係上担当者が代わったとの取引先の誤解を避けるために、氏の変更を通知しなければならないなど)を受けることになってしまいます。
 そこで、このような不利益を避けるために、昭和51年に民法762条2項の規定が新設され、離婚後も引続き婚姻中の氏(本問では夫の氏)を称しようとする者は、その旨を届出ること(戸籍法77条の2の届出)によって、離婚の際に称していた氏を称することができるようになりました。
 この届出は離婚の届出と同時にすることもできますし、いったん婚姻前の氏に戻った場合も、離婚の日(協議離婚の場合は届出日。裁判離婚の場合は離婚の裁判の確定日。調停離婚の場合は調停成立日。)から3か月以内に届け出ることができます。
私は、このたび外国人と知り合って結婚することになりましたが、手続に不安があります。どうしたらいいでしょうか。
外国籍の人と結婚する場合、結婚と在留資格の2つの手続をきちんとしておく必要があります。
 結婚の届出を日本国内で行なう場合には、日本人と結婚する場合と同様に市町村に届け出ます。日本人の場合には戸籍で独身などの結婚できる要件を確認することができますが、外国人の場合は戸籍での確認ができないので本国法で結婚できるかを確認するため、その国の大使館等が発行している婚姻要件具備証明書等の書類の提出が求められます。
日本国外で他の国に結婚の届出をすることもできますが、その場合には日本の市町村や大使館・領事館に3か月以内に報告をしておかなければなりません。結婚後の氏に関しては日本人の側は6か月以内であれば市町村での氏の変更の届出で、それ以後であれば家庭裁判所の許可を得て変更をすることができます。外国人は自分の国の制度に従うことになりますが、日本国内では外国人登録上の通称を配偶者に合わせて登録をすることは可能です。
 ただ、日本人と結婚すれば、当然に日本で国籍を取得し生活できるわけではなく、日本に外国人が在留するためには27種類ある在留資格のうちのどれかに該当していなければなりません。日本人と結婚した場合には、「日本人の配偶者等」という在留資格が準備されています。これは入国管理局に申請して取得するもので、虚偽の結婚等の特殊な場合を除き、この在留資格が付与されます。
 結婚時点で在留資格のない外国人の場合、原則的には日本から退去強制されることになりますが、日本人や永住者などと結婚した場合には、一般に「在特」と言われている在留特別許可によって相当程度の割合で在留資格が付与されています。このような問題がある場合には弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。
夫が不倫した場合に、妻は不倫相手である女性に対して慰謝料を請求することができますか。
請求することができる場合があります。
 慰謝料とは、不法行為により損害を受けた人が、行為を行った人に対して請求する損害賠償のうち、精神的苦痛に対する代償を言います。夫が不倫した場合、その不倫相手は妻の婚姻生活を平和に維持する権利を侵害しているわけですから、妻は相手に対して、精神的苦痛の慰謝料として、損害賠償を請求することができます。不倫が相手方の誘惑によるものか、自然の情愛によって生じたものかは関係なく、不倫行為自体に違法性があるとして慰謝料の請求が認められます。また、離婚に至らない場合であっても慰謝料を請求することは可能です。慰謝料の対象となる不倫とは、具体的には肉体関係を持つことであると一般的に考えられています。
 不倫相手に対して慰謝料を請求する場合には、その相手方において、自分の交際相手が既婚者であることを知っていた、または既婚者であると知り得る状況にあったことが必要です。これは、不法行為が成立するためには、行為者において故意・過失が必要とされていることによるものです(民法709条)。また、不倫する以前の時点において、不倫をした配偶者と他方配偶者との間の夫婦関係が破綻していないことも必要です。夫婦関係が不倫前に破綻しているような場合は、すでに他方配偶者において法的保護に値する利益はないと考えられるからです。逆に、不倫によって夫婦関係が破綻し離婚するに至ったような場合には、それだけ他方配偶者の被った精神的苦痛も大きいと判断されるため、離婚しない場合に比べて一般的に慰謝料が高額になります。
 慰謝料の額については、具体的事情によって異なりますが、相手方の年齢・資力、不倫交際の経緯・積極性・期間・態様・程度、夫婦関係に対する影響(破綻に至ったかどうか)、配偶者との間に未成熟子が存在するか、不倫関係はすでに解消されているか等の諸事情が考慮され金額が決定されます。判例では、100万円~300万円の間で認定されている例が多いようです。
 また、不倫をした夫は貞操義務に違反しているわけですから、妻は夫に対しても慰謝料を請求することは可能です。もっとも、これは夫婦関係が破綻し、離婚に至った場合に、離婚に伴う慰謝料として問題となる場合が多いでしょう。

マンション・賃貸住宅・借地についてのご質問

私は、戦後間もなくのころから、土地の上に建物を建てて住んできました。最近になって、私の建物の前の県道の拡幅工事をすることになったところ、県の工事の担当者から、「あなたの土地の一部は、別の地番となっており、他人の名義になっている。」と言われました。私は、ここは先代から相続した土地であり、先代からそのような話を聞いたこともありませんでした。
 また、名義人とされる人からこの土地についてのクレームを受けたことも一度もありません。私はどのようにしたらよいのでしょうか。
戦後のころから住んでいた建物の土地の一部が、他人の名義であったということで、大変驚いているようですね。
民法は、このような場合を想定して、時効取得という制度をおいています。この制度は、一定の期間以上、他人の物を占有(少し難しいですが、事実上支配しているということです)している人は、その物の所有権を取得することができるというものです。
 他人の物でも自分の物になるというのは、一見不合理のように見えます。しかしながら、長い期間土地を占有していれば、これを前提として人々の生活や営業の基盤がつくられます。これを覆すことは、人々の生活や権利関係に大変な影響を及ぼすことになります。そこで、民法は長い期間にわたって継続した事実状態を権利関係に高めるために、時効取得制度をつくったのです。
 もっとも、占有しているといっても、例えば人から土地を借りている場合は、時効取得の問題にはなりません。難しい言葉でいうと、
他人から物を借りて占有していることを「他主占有」といいますが、時効取得になる占有は、「他主占有」ではなく、自分の物として占有すること、いわゆる「自主占有」であることが必要なのです。あなたの場合、戦後から、自宅の敷地の他人名義の土地を自分の土地として占有しているわけですから、自主占有ということになります。
 また、この占有が、「善意」すなわち自分の物であると考えており、かつそう考えても仕方なしといえる事情があって「無過失」といえるときは、時効の期間は10年間です。そうとはいえないときは20年間です。あなたの場合、先代からの土地と確信しているわけですから、善意無過失といえそうです。もっとも、すでに少なくとも20年間以上占有しているわけですから、善意無過失を問わずに時効取得が成立する可能性が十分あると思います。
 しかし、あなたが問題の土地を時効取得していたとしても、登記の名義人が第三者のままでは、県が道路用地としてこの土地を買収する場合や第三者が他人にこの土地を譲渡してしまったりした場合に、あなたの権利を新しい所有者に対して主張できないことがありますから、今のまま放置しておくことは適当ではありません。
 時効取得の成否については法律技術的な問題が多々ありますので、一度弁護士に相談してみられると良いでしょ
大学生の息子が一人住まいのアパートでストーブを消し忘れ、火災を起こしてしまいました。息子の部屋だけなら良かったのですが、両隣りの部屋にも燃え移り、大半の家具をダメにしてしまいました。息子としては、どのような責任を負うことになるのでしょうか。
 まず、息子さんは、アパートの家主さんに対する関係では、賃借りしていた部屋について、善良なる管理者の注意義務をもって保管する義務がありますから、この義務に反して火災を起こしたもの(債務不履行責任)として、この火災によって生じた損害(アパートの修理代等)を賠償する責任があります。
 次に、両隣りの住人に対しては、どのような責任を負うことになるでしょうか。
 息子さんは、両隣りの住人とは直接の契約関係はありませんから、過失によって他人に損害を与えた者として、民法上の不法行為責任としての損害賠償責任が考えられます。
 しかし、失火の場合には、失火責任法によって「重大な過失」がなければ不法行為責任を負わないとされています。これは、我が国では木造家屋が多く、すぐに類焼したりして想像を超える損害が発生することが多いために、責任を限定する趣旨で定められたものです。
問題は、何をもって「重大な過失」があったと言えるかです。
 裁判では「主婦が天ぷらを揚げている最中に台所を離れた隙に出火した場合」「漫然と寝たばこをしていた出火した場合」などに重大な過失があったと判断しています。出火原因については、消防署や警察署が調査していると思いますが、息子さんの場合はストーブを消し忘れて外出したとのことなので、重大な過失ありと判断される可能性があると思われます。
 なお、家主さんや両隣の方が火災保険などをかけていたときは保険金で被害が補填されますが、この場合には保険会社から支払った保険金を請求されることもあります。
 失火の場合には、責任の有無、保険との関係など複雑なことがありますので、弁護士と相談されることをお勧めします。
私は,分譲マンションの一室を所有していますが,現在,マンションの老朽化で,建替えの話が持ち上がっています。もし,私が建替えに反対した場合,私の立場はどうなるのでしょうか。
 高度経済成長期,続々と建設されたマンションが,築後30年を超え,老朽化による建替えの問題に直面しています。
 マンションの建替えは,1棟のマンションの各室の所有者(区分所有者)全員の同意が必要にも思えます。しかし,全員の同意を必要とすると,建替えが事実上不可能になってしまい,社会的にも不都合です。そこで,建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)では,マンションの建替えに関して,多数決の原理を導入し,区分所有者(人数)および議決権(専有部分の面積)の各5分の4以上の多数で決議することができるとの規定を置いています(第62条以下)。
 また,建替え決議の実効性を確保するため,区分所有法では,建替え決議の賛成者が,反対者に対し,反対者の区分所有権および敷地利用権を,「時価」で売り渡すよう請求できるとも規定しています(売渡請求権,第63条)
 したがって,あなたが建替えに反対したとしても,建替え決議の要件が満たされると,建替え手続は,進行してしまいます。次いで,賛成者から売渡請求権が行使されると,賛成者とあなたとの間で,売買契約が「当然に」成立し,あなたは区分所有権および敷地利用権を失ってしまいます。あなたは,時価相当額の金銭を受け取ることはできますが,その時価の算定方法をめぐって,裁判で争われることも少なくありません。
 いずれにしても,建替え決議がなされると,重大な効果が生じるので(賛成者も多額の費用負担を伴うなど)区分所有間で,十分な議論をする必要があります(例えば,改修・修繕で十分ではないか等)。具体的な建替え決議の手順については,国土交通省が,「マンション建替え実務マニュアル」(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071116_.html)を公表していますので,参考にして下さい。
私は、マンションの管理組合の理事長をしているのですが、マンションの区分所有者であったAさんが、多額の管理費を滞納したまま、Bさんにマンションを売り、その後行方不明になってしまいました。そこで、BさんにAさんが滞納した管理費を請求したいのですが、そのようなことが出来るのでしょうか。
 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)8条により、Bさんに対し、Aさんが滞納した管理費を請求することができます。
 即ち、区分所有者(Aさん)が、管理費を滞納したまま、その区分所有権を売買等により譲渡した場合には、新たに区分所有者(Bさん)となった者に対し、滞納管理費を請求することが、区分所有法8条により認められています。
 マンションを売買する場合には、不動産仲介業者は、重要事項説明書の中で管理費の滞納金額を記載しなければならないことになっていますので、買主は滞納管理費を考慮して売買代金を決めているはずですから、確実に滞納管理費を回収するが出来ると思われます。なお、新しい区分所有者(Bさん)は、滞納管理費が発生していることを知らなかったとしても、その支払いを免れることは出来ません。
 また、Aさんは、Bさんに区分所有権を譲渡したからといって、滞納管理費の支払義務を免れるわけではなく、AさんとBさんが、連帯して管理費の支払義務を負うこととなります。
 管理費の他に駐車場の使用料等の専用使用料の滞納分について、区分所有法8条に基づき、新しい区分所有者に対し請求することができるかどうかは、個々のケースによって異なります。管理規約に定めがあるかどうかが重要なポイントの1つになります。
使用していない土地があるので、これを誰かに貸して有効活用したいと思うのですが、賃貸期間が満了すれば土地が確実に戻ってくるという制度はありませんか。
期間満了により必ず土地を返してもらう制度としては、「定期借地権」(借地借家法22条)、「事業用定期借地権」(借地借家法23条)という制度があります。
 「定期借地権」とは、契約の更新や期間の延長がなく、期間満了によって確定的に終了する借地権をいいます。一般の定期借地権は、存続期間が50年以上でなければならず、「契約の更新や期間の延長がなく、期間満了によって確定的に終了する」という約束を、必ず書面ですることが必要です。
 一方、定期借地権の中でも専ら事業の用に供する建物を所有する目的で設定されるものが「事業用定期借地権」です。これは、比較的短期的に土地を賃貸し一定期間後に確実に賃貸を終了させたいという貸主と、永続的に土地を借りられなくとも低コストで土地を賃借したいという量販店や飲食店等の借主(事業者)の、それぞれのニーズを受けて創設された制度です。
 現在では、「事業用定期借地権」は、10年以上50年未満の期間で設定することが認められています。
 「事業用定期借地権」は、「専ら事業の用に供する建物を所有する目的」であることが必要ですが、この「事業」とは、必ずしも営利事業に限りません。公益法人や公法人などの事業も含まれます。
 そして、この「事業用定期借地権」の契約は、必ず公正証書でしなければなりません。
店舗を期間5年の約束で八百屋さんに貸していますが、店舗が古くなったこともあり、これを取り壊して商業ビルを建てたいと思っています。次の期間満了時に契約を更新せず、立ち退いてもらうことができるでしょうか。
建物の賃貸借契約については借地借家法による保護があり、契約上定められた期間が満了しても、それだけでは、借家人に立ち退いてもらうことはできません。
 まず、次の契約期間満了の1年前から6か月前までの間に、借家人に対して、契約を更新しない旨の通知をしなければなりません。また、更新しない旨の通知をしたときでも、借家人が借家を使用し続けているのに異議を述べないでいると借家契約を更新したものとみなされます。
 さらに、通知さえすればよいのではなく、契約を更新しないことについて、「正当事由」のあることが必要とされています。この「正当事由」があるかないかの判断については、貸主の側の事情だけでなく、借主側の事情も当然考慮されることになり、その双方が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関するそれまでの経過、建物の利用状況や建物の現在の状況などが考慮されます。さらに、これらの事情のほかに、いわゆる立退料の有無や金額も考慮されることになります。
 「商業ビルを建てたい」というような場合、一般的には、営業上その建物を使用する必要があるという借主の事情の方が、重く見られることになると思われます。また、「店舗が古くなった」というのも、老朽化して倒壊の危険があるような場合であればともかく、通常の使用上特に差し支えがない程度のことであれば、「正当事由」があるとはなかなか認めてもらえないでしょう。
 「正当事由」が認められなければ、立ち退きを強制することはできませんので、そのような可能性がある場合には、新築する商業ビルへの入居や相当額の立退料の支払いなど、借主が納得できる条件を提示して、話し合いによる解決を目指す方がよいと思われます。
 なお、借地借家法では、上記のような通常の賃貸借契約のほか、「定期建物賃貸借」といって、更新がない契約をすることも認められています。
突然、家主から「家賃を値上げする」と言われましたが、一方的に家賃を値上げすることが認められるのでしょうか?
借地借家法では、家主が家賃の値上げをすることができるのは、「今までの家賃が相当でなくなった場合」と決められています。そして、「家賃が相当でなくなった」という場合として、①土地や建物に対する税金等の負担が増えたこと、②土地や建物の価格が上昇したこと、③その他の経済事情が変動したこと、④近所の同じような建物の家賃と比較して家賃が安すぎることなどが挙げられています。
 さらに、借地借家法では家賃の値上げまでの手順を定めており、最初にやるべきことは、家主と借主との協議(話し合い)です。
 その話し合いをしても家賃の額が決まらない場合、いきなり裁判をすることはできず、裁判の前に調停で話し合いをすることになります。このことを「調停前置主義」といいます。「調停」とは裁判所において話し合いをすることで、裁判官と調停委員で構成された調停委員会で、家主と借主が話し合いをし、その話し合いの中で家賃の額を決めていくことになります。
 調停での話し合いで家賃の額が決まらない場合、調停において家主と借主との間で「調停委員会が定めた家賃の額に従う」という合意がある場合には、調停委員会は適切な家賃額を決めることができます。
 そして、調停においても家賃の額が決まらない場合には、裁判によって家賃の額を決めることになります。具体的には不動産鑑定士が適切な家賃の額について意見を出し、その意見をもとに、裁判所が家賃の額を決定します。
 家主から一方的に家賃の値上げを要求されても、以上の手続において最終的な家賃の額が決まるまでは、法律上、借主は、相当な金額を家賃として支払えば滞納にはなりません。ただし、裁判で決まった家賃の額がそれまで支払っていた家賃よりも高かった場合は、借主はその不足額だけでなく、不足額について年1割の利息を支払わなければいけないことになっていますので、注意が必要です。
借りたアパートを出ていく際に、家主から敷金は返さないと言われたのですが、敷金は返してもらえないものなのでしょうか。
そもそも「敷金」とは、借主が家主に対して預けているお金のことで、将来、借主が建物などを明け渡した際、借主に債務不履行がない限り、全額返されるのが原則です。
 「借主の債務不履行」とは、賃料支払義務や原状回復義務を怠ったことなどをいい、そのような場合には、敷金から不払いの賃料や、原状回復に要した費用が差し引かれることがあります。
 「原状回復義務」とは、借りたものを元々あった状態に戻す義務のことですが、敷金返還の際、この「原状回復義務」を巡ってトラブルになることが多いのです。
 家主が、ハウスクリーニング等の費用が敷金以上にかかることから、敷金は返せず、むしろ、敷金を上回る分を借主に請求するケースがあります。
 しかし、通常の使用をしたにもかかわらず、年数が経過して畳や壁紙が古くなったり黒ずんだりした際の、畳の取替え費用や壁の補修費用については、家主は借主に対し請求する根拠はありません。これに対し、借主がタバコの灰を落として畳が焦げ付いた場合の畳の補修費用については、借主負担となります。
 問題は、「すべての費用は、借主の負担とする」といったような特約がある場合です。この点、単に年数が経過したことにより古くなったり黒ずんだりした部分の回復費用を借主の負担とする特約は、消費者契約法10条違反として無効とする判例があります。ただ、契約書の内容や、契約締結のときにその内容をきちんと説明し理解を得ていたかといった状況により、結論が分かれる場合もあります。
 そこで、家主から敷金を返せきないとか、敷金を超える部分の費用を払ってほしいなどといわれた場合には、まず、家主に原状回復費用の根拠を明らかにするよう求めることが必要です。その上で、年数が経過したことによる汚損の修繕費用も含まれていた場合には、契約書に原状回復費用について明確に定められているかどうか確認してみて下さい。
アパートを借りているのですが、雨漏りがするとか、お風呂が壊れていて使えないといった場合、家主に修理してくれと請求することができるでしょうか。
民法では、家主には、借主が支障なく部屋を使用するために必要な修理をする義務があるとされています。ですから、借主の不注意で故障したようなときは別として、そうでなければ、家主に修理を請求できるのが原則です。
 ただし、賃貸借契約の中に、「修理費用は借主の負担とする。」という特約が定められている場合には、借主が修理費用を負担する必要が出てきます。修理費用を借主の負担とする代わりに、家賃が相場よりも相当安くなっている場合もあり、このようなときは特約に従い、借主が修理費用を負担することになるでしょう。逆に、通常の家賃なのに、大規模な修理の費用まで借主の負担とする特約は、公平に反するので無効とされる可能性があります。一般的には、電球・蛍光灯の取替え、障子やふすまの張替え、水道のパッキンの取替えなど、小規模な修理についてだけ借主の費用負担とする特約が多いようです。
 家主に修理する義務があるのに、請求しても家主が修理してくれないというようなときは、借主が自分で修理をして、その費用を家主に請求し、あるいは、家賃から差し引くというということもできます。賃貸借契約の目的物である部屋を、使用に適した状態に維持・保存するのに必要な費用を「必要費」といい、借主が支出した「必要費」は、家主は直ちに借主に返さなければならないことになっているからです。
 一方、防犯のために玄関にもう1つ鍵をつけたり、窓ガラスを防犯用の強化ガラスに換えたというように、必ずしも部屋を使用するのに必要な修理とはいえない場合には、家主に費用請求することは難しいでしょう。このように部屋をより良い状態で使用するための改良、改装に支出された費用を「有益費」といいますが、有益費については、借主が有益費を支出した結果、契約が終了した時点で目的物の価格が高くなったといえる場合に、家主は、借主が支出した金額か、目的物の増加額のどちらかを選択して、借主に支払わなければならないことになります。
会社で使っていた建物が空き家になっています。このまま遊ばせておくよりも貸した方がいいと思うのですが、いったん建物を貸してしまうと契約を終了させることが難しいと聞き、二の足を踏んでいます。何か良い方法はないでしょうか。
定期借家契約の締結をお勧めします。
 通常の借家契約では、契約期間が満了しても、借主が契約の更新を希望する場合、「正当事由」がない限り、家主が更新を拒絶し、契約を終了させることはできません。これに対して、定期借家契約では、契約期間が満了すれば、契約は更新されることなく確定的に終了します。ですから、会社が建物を使用しない期間を決めることができるなら、定期借家契約を利用することができます。
 但し、定期借家契約を締結するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
 具体的には、まず、家主は、契約を締結する前に、借主(予定者)に対して、契約の更新はなく、期間の満了によって契約が終了することを、その旨を記載した事前説明書を交付して、説明しなくてはなりません。
 その上で、公正証書等の契約書を作成して契約を締結する必要があります。この契約書には、契約は期間満了によって終了し、更新はないということを明記しておかなければいけません。
 また、定期借家契約を締結するには、例えば「2年間」というように一定の契約期間を定める必要があります。
 更に、1年以上の期間を定めた定期借家契約については、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対し、期間満了によって契約が終了する旨を通知する必要があります。
 このように、留意すべき点も多くありますので、定期借家契約を締結する際には、弁護士等にご相談ください。
私は、マンションを所有していますが、2年間の予定で海外出張することになりました。そこで、その期間自宅を他人に貸そうと考えています。しかし、従来の賃貸借契約では契約期間が終了しても契約の更新を拒絶することができない場合があると聞きましたが何か良い方法はないでしょうか。
通常の借家契約では、契約で定めた終了時期が来ても家主に「正当事由」がない限り、借家契約の更新を拒絶して明渡しを求めることはできません。しかし、定期借家契約では、契約で決めた期限が来れば「正当事由」のあるなしにかかわらず更新しないで借主に出て行ってもらうことができます。
 したがって設問のようなケースでは2年間の定期借家契約を締結する方法が良いと思われます。定期借家契約の締結に際しては、以下の点に注意してください。
 まず、定期借家契約は必ず公正証書によってしなければなりません。また、契約書には「定期借家契約であること」を明確に定めることが必要です。したがって、契約書のタイトルも「定期借家契約書」などのように明確に定期借家契約であることが分かるものにした方がいいですし、具体的な契約書の条項においても「賃貸借の期間は、本契約書締結の日から平成○年×月△日までの2年間とし、契約は更新されないこととする」と明確に定めておかなければなりません。さらに、家主には定期借家であることを説明する義務があります。
 なお、契約期間が終了して明渡しを求めるためには、1年以上の期間を定めた定期借家契約においては期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、家主が借主に対し期間の満了によって建物の賃貸借が終了することを通知しなければなりませんので注意が必要です。
私は自分の建物をある人に貸していますが、最近家賃が4ヶ月分も滞納されています。そこで、この建物賃貸借契約を解除するつもりなのですが、先日友達に相談したところ、「解除の通知を出すなら、内容証明郵便がいいらしいよ。」と言われました。内容証明郵便とはどのようなものなのでしょうか。なぜ、このような場合内容証明郵便がよいのでしょうか。
内容証明郵便とは、郵送された文書の内容を郵便局が証明してくれる特別の郵便の方法です。
 方法は簡単です。まず、1枚の用紙に1行20字×26行以内で文章を書きます。この場合、「、」「。」も1文字に数えます。用紙は、A4、B4、B5等大きさは問いません。手書きでもワープロでも、横書きでも縦書きでも結構です。用紙の枚数も何枚でもよいのですが、2枚以上のときは必ずそのつなぎ目に契印を押して下さい。ただし、用紙の枚数によって料金は異なります。文章の最後は必ずあなたの住所氏名と相手方の住所氏名を記載して下さい。
 文書ができたら、それを2部コピーして、合計3部作成した上で、その全部に、それぞれあなたの印鑑を押して下さい。
 そして、封筒(どのような封筒でもかまいません。)の差出人欄に文書の中の差出人としてのあなたの住所氏名の記載と全く同一の内容を記載し、同じく封筒の宛名には、文書の中の相手方の住所氏名の記載と全く同一の内容を記載して下さい。
 そして、この文書3部と封筒を持って、大きな郵便局に行って下さい。そこで、「内容証明郵便。配達証明付」といって差し出せば完了です。郵便局は、1通は相手方に、もう1通は郵便局に保管し、そして3通目をあなたの控えとして返してくれます。これらにかかる代金は枚数にもよりますが、最低約1300円くらいからになります。1通が郵便局に保管されることで、郵便局による文書の内容の証明が可能となるわけです。
 では、あなたの場合、なぜ内容証明郵便にするのが適切なのでしょうか。家主であるあなたが賃貸借契約を解除する場合、契約書の定め方にもよりますが、多くの場合相手方である借主に対し契約解除の意思表示をする必要があります。ところが、後日、あなたが契約解除の意思表示をしたか否かが問題になることがあります。普通の郵便の場合はもとより書留郵便であっても、郵便物の中身の内容まで証明してくれるわけではありませんが、この内容証明郵便であれば、あなたが借主に対し間違いなく解除の意思表示をしたことを証明してくれるわけです。
 このように内容証明郵便は、一方の当事者が相手方に対し、ある内容の通知をしたか否かが争われる可能性がある場合に使われます。
 もちろん、利用の範囲は、このような賃貸借契約の解除の意思表示に限られません。上手に利用されることをお勧めいたします。
 また、弁護士に依頼して内容証明郵便を作成することもできますので、法的に間違いのない内容になるよう、法律相談センター等で弁護士に相談して作成するか、弁護士に依頼して作成してもらうことをお勧めします。