1 校則プロジェクト(校則に関する取組)を始めた経緯

 弁護士は、以前から、校則問題について取り組んできました。1985年には、第28回日本弁護士連合会人権擁護大会で、「学校生活と子どもの人権―校則、体罰、警察への依存をめぐってー」をテーマにシンポジウムが行われました。
 その後、各地で丸刈り訴訟、パーマ訴訟、バイク訴訟等が提起され、校則が問題とされました。
 2010(平成22)年には、文部科学省が生徒指導の基本書である生徒指導提要(旧版)を出し、その中では、「教員がいたずらに規則にとらわれて、規則を守らせることのみの指導になっていないか注意を払う必要があります。」、「校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければなりません。」と記載されました。
 しかし、2021(令和3)年2月16日大阪地方裁判所の「黒染め校則訴訟」判決は、最高裁まで争われましたが、頭髪指導が違法とは言えないとの判断が確定しました。

 多様性を認め合う社会、人権尊重の必要性が説かれる中、各地で弁護士が校則問題に取り組み、私たちも愛知県の校則が子どもの権利を守れるものになっているのか知らなければならないと思いました。
 そして、もし、校則が子どもの権利を守れるものになっていない場合には、学校で子どもの権利がなぜ根付いていかないのか、人権を擁護することを使命とする弁護士として何ができるのかを考えなければならないと考えるに至りました。

 私たちの目的は、「問題のある校則」を見付けて批判、追及することではなく、子どもが生活の大半を過ごす学校におけるルールのあり方を、学校側と生徒側のそれぞれの思いを踏まえ検討することで、どうすれば校則の見直しが一時的なものではなく、子どもの権利が根付くことにつながっていくかを見付けていきたいというところにあります。

 そこで、愛知県弁護士会子どもの権利委員会として、プロジェクトチームを組んで、校則に関する活動を始めました。


2 校則プロジェクトの取組

1 講座「語ろう!校則~校則って必要?~」

 2022年7月17日(日)に愛知サマーセミナー2022で校則に関する講座を開講し、子どものみなさん、大人のみなさんと校則について考えました。


2 情報公開請求による校則の入手と分析

 2022年11月に、県立高校50校について、情報公開請求の方法により、校則の開示請求を行いました。抽出方法は、全日制高校を対象としましたが、地域に偏りが出ないように、また、普通科だけでなく実業高校も入れ、選択しました。


3 教えて!校則 ホットライン

 2023年6月25日(日)午前10時~午後4時に実施しました。生徒や保護者、教職員や地域の大人などが校則についてどのように考えているか広く情報を集めるため、校則に関心や意見がある方であればどなたからでも通話料無料の電話を受け付ける企画でした。


4 アンケート

 学校が校則を必要とする理由、校則に関する生徒の気持ち、校則の見直しのハードルや生徒の参画の状況を知りたいと考えました。それを考えることが子どもの権利を学校に根付かせる上で必要と思われたからです。そこで、校則を開示してくれた高校を対象に、学校、生徒会、高2生徒に対し、アンケートを行いました。


5 インタビュー

 アンケートに回答してくれた方の中から、更に深掘りするインタビューに協力してもらいました。


6 シンポジウム「子どもの声で学校をつくる~校則と子どもの権利~」

 2023年11月26日(日)午前9時30分~午後0時30分に、子どもの権利条約フォーラム2023 in とよたの分科会で、シンポジウムを実施しました。
 校則プロジェクトの取組(上記2~5)を発表するとともに、学校における子どもの権利について考えました。

校則シンポジウムの配布資料

 校則シンポジウムの配布資料を、下記のリンクからダウンロードすることができます(ファイルのサイズが大きいため、3つのファイルに分けてアップロードしてあります。)。

配布資料のダウンロード


校則シンポジウムの文字起こし

 校則シンポジウムを文字起こししたものを、下記のリンクからダウンロードすることができます。シンポジウムに参加できなかった方、シンポジウムの内容を詳しく確認したい方は、ご参照ください。

文字起こしのダウンロード


校則シンポジウムの会報記事

 校則シンポジウムに参加した弁護士が書いた、愛知県弁護士会会報「SOPHIA」の記事を、下記のリンク先で読むことができます。


7 メッセージ「校則について考えている生徒のみなさんへ」発表

 2024年10月15日、校則について考えている生徒のみなさんへのメッセージを発表しました。
 メッセージは、下記のリンク先で読むことができます。

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