子どもの権利委員会からのメッセージ
校則について考えている生徒のみなさんへ
「多様性を大事にって言っているのに、どうして制服は男女別なの?」、「靴下の色が決められる理由は何?」、「髪型や服装にもっと自由があっても良いのでは?」など校則に疑問を抱いたことはありませんか?
先生に言ってみたけど「ルールだから」と言われてしまった、生徒会に働きかけたけど生徒会と先生との話合いで立ち消えになったみたい、どうせ言っても変わらないと思う、そんな声も聞きました。
みなさんが、自分のことは自分で決めたいと思うのは、とても自然で当たり前のことです。私たち人間は、一人ひとり自由で、平等に、人として尊重される存在として生まれます。人権はおとなだけのものではないのです。ですから、みなさんの自由が制限されていておかしいと思ったら、校則を変えるように働きかけてみてはどうでしょう?実際に、生徒たちからの発信で校則が変わった学校があります。
もしかしたら、最初、おとなは「校則を緩めたら歯止めが利かなくなるから」、「権利主張ばかりしてわがままになるから」という理由で、校則を改定することに反対するかもしれません。
中には、校則は学校が決めるもの、生徒が意見を言ったら反抗的だと思われてしまわないかなと不安に感じる人もいるかもしれません。でも、社会のルールである法律を、選挙で国民に選ばれた国会議員が決めるように、自分に関わるルールについては自分たちが意見を言うのも当たり前のことなのです。特に、子どもがおとなに対して意見を言うことは勇気がいることだと思いますが、子どもの権利条約でも、こども基本法でも、生徒指導提要でも、子どもたちが意見を言うことは当たり前に大切な権利で、おとなは子どもたちの発達に応じてそれを尊重しなければならないと、はっきりと約束されています。
校則は、みなさんの人権に関わることです。学校のためにみなさんが存在しているのではなく、学校がみなさんのための場所なのですから、校則もみなさんが意見を言って、話し合って、それを決めていくことが大切です。
そうは言っても自分たちだけでは不安だよ、と思うこともあるかもしれません。そう思ったら、どうぞ愛知県弁護士会子どもの権利委員会に連絡を下さい。
人権についてみなさんや学校の先生、保護者、地域の方々に弁護士がお話しすることもできますし、どうすれば学校でみなさんが一人の人として尊重してもらえるようになるか、学校が安心して安全に通える場所になるか、校則について民主的な話合いができるようになるかを、みなさんと、そして学校の先生や保護者の方々とも一緒にお話ししていくこともできます。私たちは是非、みなさんと一緒に取り組みたいと思っています。
校則の改定について~私たちが考えたプロセスの提案~
1 子どもにも権利があることを知ろう
まずは、本当はみなさんが自由な存在であること、つまり、みなさんが基本的人権の持ち主であることを生徒のみなさんにも、先生にも、保護者にも、できれば地域のみなさんにも、知ってもらうことがスタートです。
2 校則はどうして必要なのか考えよう
そして、どうして校則が必要なのか、今ある校則は何のために定められているのかを、子どものみなさんと周りのおとなとで考えてみてはどうでしょう?
どうして社会では自由や人権を規制することが許されることがあるのか?例えば、表現の自由があるけれど他人を誹謗中傷したら責任を問われる、職業選択の自由があるけれど資格を取得しないと医師にはなれない。こういう人権と人権(例:表現の自由と個人の尊厳、職業選択の自由と生命身体の安全)が衝突する場面では、他の人権を守るために必要な範囲で人権が制限されることも、互いの人権を尊重し合うために、もともと人権に備わっている考え方です。
そして、校則は何を守るために必要かを子どもたちと大人とで共有しましょう【校則の意義、必要性についての話合い】。
3 その制限は行きすぎではない!?
次に、他の人権を守るために、何かの人権を制限することが必要となった場合、その制限が行き過ぎではないか、それ以外に他の方法はないのかも話し合いましょう【制限の内容が適切かについての話合い】。
4 話合いで大切なこと~民主的なプロセス~
こういう話合いで大切なのは、「民主的なプロセス」です。民主主義というと多数決を思い起こしがちですが、結論の良し悪しにばかり気をとられた多数決では少数派の人権を守ることができません。学校がどの子どもにとっても、安全で安心して学ぶ場となるためには、多数派だけでなく、声を上げにくい少数派も含めて、様々な意見を聞き、できるだけお互いを大切にできる結論にたどり着くように話し合うことが大切です。
もしよければ、私たちが行ったシンポジウム(子どもの声で学校をつくる~校則と子どもの権利)(2023年11月26日開催)(略称:校則シンポジウム)で配った資料を参考にしてみてください。多くの校則やそれに対する考え方が書いてあります。
校則シンポジウムの配布資料
校則シンポジウムの配布資料は、下記のリンクからダウンロードすることができます(ファイルのサイズが大きいため、3つのファイルに分けてアップロードしてあります。)。
配布資料のダウンロード
- 校則シンポジウム配布資料(その1)(PDF:8.3MB)
- 校則シンポジウム配布資料(その2)(PDF:16.6MB)
- 校則シンポジウム配布資料(その3)(PDF:13.5MB)
連絡先
愛知県弁護士会子どもの権利委員会に連絡を取りたい場合は、愛知県弁護士会の事務局までお電話ください。
TEL:052-203-1651
(電話の受付時間は、平日の午前9時から午後5時までとなっています。)