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シンポジウム「「スパイ防止法」って何??」報告

秘密保護法・共謀罪法対策本部
 事務局長 四 橋 和 久

 1 3月8日(日)、スパイ防止法についてのシンポジウムが開催された。このシンポジウムは、小樽商科大学名誉教授の荻野富士夫氏が「軍機保護法、国家秘密法からスパイ防止法へ」という題名での講演、中谷雄二会員が「政府が求めているスパイ防止法とは」という題名での講演を行った後、新海聡会員の司会で荻野教授と中谷会員が対談するという方式で行われた。

 2 荻野教授は、タモリ氏が、2022年末に「新しい戦前」と発言したことを挙げて、現在は「新しい戦中」の前夜になっていると表現し、スパイ防止法案が検討されている状況を危惧した。また、参政党が「防諜リテラシー」の教育・啓発に意欲を示している点も戦前の思想選別と類似していると指摘した。
 スパイ防止法と同様の防諜法である軍機保護法で、軍隊マニア向けの雑誌『海と空』の購読者45名(中学生を含む)が検挙された事例、改正後には約1年で1316人が警察に引致・連行された事例を挙げて、スパイ防止法も軽微な事案でも警察に取り調べられる運用がなされて、国民の活動が萎縮することになると述べた。
 そして、防諜リテラシーが、戦前・戦中の国民防諜を想起させることから、スパイ防止法が、「日本精神」を道徳律的な強制律として機能し、国民を呪縛・統制・動員することを懸念した。
 スパイ防止法のような防諜法は、戦後からの自民党の党是であり、自民党と日本維新の会が連立政権を組む合意書にも規定されていることも説明された。
 最後に、戦前・戦中の防諜リテラシーの教育・啓発が、スパイ狩りを名目にした国内しめつけとなったのであり、思想選別による排除から、「極端な思想」を持つこと自体を罪として処罰する現代版の治安維持法が登場する段階になっていると述べた。

 3 中谷会員は、スパイ防止法が上程されてから反対すればよいと考えるのは間違いであり、国家情報局設置法は組織法だけだからと安易に考えることは危険だと、警察法の例をあげて、作用法なしで権力活動を認めている現状から考えて、国家情報局を設置段階から反対する必要があると指摘した。
 想定されるスパイ防止法は、特定秘密保護法で取り締まれない行為を取り締まれるようにするものであり、①事前の秘密指定がない情報、②守秘義務を負う公務員以外の者を対象とすることを狙いとする「スパイ行為」を定義して監視、検挙、処罰が考えられているが、このスパイ防止法は、外務省が、中国の反スパイ法に対して、「様々な行為が幅広くスパイとみなされたり、当局によって不透明かつ予見不可能な形で解釈される可能性があります」と批判していたことが、そのまま当てはまると指摘した。
 また、大垣警察市民監視事件を例に挙げて、日本はスパイ天国どころか、監視国家であると述べた。

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 4 対談では、警察は、何年も前から監視対象を監視していて、戦争や法案提出のタイミングで逮捕すること、公安警察が監視することを「視察」として日常的に行っていることが語られた。
 中谷会員からは、情報の不正取得は、特定秘密保護法、刑法、サイバー防御法等で対策済みであり、スパイ防止法の立法事実は無いとされ、そもそも学術研究費が削減されて、優秀な研究者は海外に出ていく日本において、スパイが欲しい情報は存在しないという辛辣な意見が出た。

 5 対談でも語られたが、現在の巨大与党が目指すスパイ防止関連法案を成立させないためには、本質を突いた反対活動をすることが重要なので、提出されるスパイ防止法案の内容を注視して、今後の活動を行っていきたい。

※ この報告文は、愛知県弁護士会会報SOPHIA2026年3月号掲載の報告文に一部加筆したものです。

【予告】
講演+対談スパイ防止法と情報機関強化~秘密情報部隊『別班』から考える~」
と き:2026年9月27日(日) 午後1時30分~午後4時00分
ところ:愛知県弁護士会館5階ホール
ゲスト:石 井 暁 さん(共同通信社編集委員)

* 3月8日のシンポジウムでも取り上げられた「国家情報会議設置法」が2026年5月27日に制定され、7月31日に施行されました。
  これを受けて、愛知県弁護士会は会長談話を、日本弁護士連合会は会長声明を、それぞれ発出しました。是非、ご覧ください。

[愛知県弁護士会会長談話]
国家情報会議設置法の施行に反対する会長談話

 こちらをご覧ください。

[日本弁護士連合会会長声明]
国家情報会議設置法施行及びインテリジェンス・スパイ防止関連法制の検討についての会長声明

 こちらをご覧ください。