刑法改正附則による3年後見直しに向けてのこれまでの動き

 平成29年に刑法の性犯罪規定改正の際、改正附則で「政府は、この施行後3年を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し,性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置を講ずる」とされたことから、政府は令和元年度までに以下のような調査・研究を実施しました。

【法務省】性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」の設置(平成30年4月)と「取りまとめ報告書」の作成(令和2年3月)

【内閣府】性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査」(令和2年3月)、「若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業」(平成30年9月)(「若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業」報告書の差替えについて

令和2年度の動き

 これらを受けて、「性犯罪に関する刑事法検討会」(法務省)が立ち上がり、更なる刑法改正の要否、内容について検討されました。

 同検討会では、令和3年5月には取りまとめ報告書を公表し、令和3年9月16日開催の「法制審議会」では性犯罪に対処するための法整備について「刑事法(性犯罪関係)部会」に付託して審議することなどが決まりました。現在、審議が進められています。

 諮問事項は多岐にわたり、暴行及び脅迫の要件や心神喪失及び抗拒不能の要件の改正、性交同意年齢の引き上げ、地位・関係性を利用した性交等に対する罪の新設、配偶者間においても性交等に対する罪が成立することを明確化すること、性的姿態の撮影行為等に関する罪を新設することなど、刑事実体法に関する領域のほかにも、性犯罪の被害の実態に応じた公訴時効の見直し、被害者の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設、性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入することをはじめとした刑事手続法にかかわる改正も諮問されています。

 審議状況については、法務省のホームページ内にある法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会のページで随時、議事録や資料等が公開されています。

シンポジウムの開催

 本シンポジウムでは、「性犯罪に関する刑事法検討会」委員を務められた上谷さくら弁護士、「性犯罪に関する刑事法検討会」委員を務め、現在は「法制審議会刑事法部会(性犯罪関係)」委員を務める齋藤梓氏をお迎えして基調講演、パネルディスカッションを行い、性犯罪に関する法整備の動向についてご紹介します。

 刑法改正(性犯罪関係)に向けた最新の動向を知る機会です。

 是非ご参加ください。

シンポジウム ~性犯罪に関する法整備の動向~

日  時 

令和3年12月11日(土)13:30~16:30

開 催 場 所

①会場参加 愛知県弁護士会5階ホール(先着50名)

      名古屋市中区三の丸一丁目4番2号

     ②オンライン参加     Zoom(先着500名)

申 込 方 法

【申込方法】以下のURLまたはシンポ チラシQRコードから申込フォームにアクセスし,必要事項をご記入の上,お申し込みください。

①会場参加    https://www.aiben.jp/page/event/20211211chuben_hanzaihigai.html
②オンライン参加   https://zoom.us/webinar/register/WN_xFngrGfkS5WJVde2CWkgqg

講師・パネリスト

講 師
上谷さくら氏 (弁護士(第一東京弁護士会所属)

主な経歴:新聞記者を経て2007年に弁護士登録。

犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。

第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。

「性犯罪に関する刑事法検討会」委員(2020年~2021年)

齋藤梓氏 

主な経歴:目白大学心理学部心理カウンセリング学科専任講師。

専門は臨床心理学・被害者心理学。

「性犯罪に関する刑事法検討会」委員(2020年~2021年)

「法制審議会刑事法部会(性犯罪関係)」委員(2021年~)

コーディネーター
粕谷誠

(中部弁護士会連合会「犯罪被害者の支援に関する委員会」副委員長、愛知県弁護士会犯罪被害者支援委員会 委員)

主催:中部弁護士会連合会