先月に引き続き、新型コロナ感染症拡大の影響を受け、緊急事態宣言が今月20日まで延長されることになり、依然として制約を受けた生活を強いられています。他方では、ようやくワクチン接種も高齢者において進むようになり、少しは先が見えてきた感もあります。当会では、性暴力・DVをはじめとして、種々の問題についても相談窓口を設けています。お困りの際には、まずは法律相談センターにお電話下さい。問題の解決は、相談から始まります。
5月には、国会での重要法案の審議状況をお伝えしましたが、それぞれ結果が出ました。国民投票法改正案では、テレビ・ラジオでの有料意見広告の規制(いわゆるCM規制)や最低投票率制度など多くの問題があり、弁護士会はその点について意見を述べてきましたが、残念ながら、十分に取り上げられることなく成立してしまいました。ただ3年後見直しという付則が付きましたので、これに期待したいところです。 少年法の改正も成立しました。18、19歳に少年法を適用する反面、特定少年として、検察官への送致の幅を広げることになりましたが、国会審議終盤に参議院法務委員会での付帯決議にて、特定少年の検察官送致の際に「犯情の軽重・要保護性」を慎重に検討する旨が明記されました。これは非常に大きなことでした。 入管法改正は、その内容に問題が多いもので、弁護士会は反対を唱え続けました。そうしたところ審議が長引き、最後には名古屋入管施設でお亡くなりになったスリランカ人女性の情報開示を拒否するために、法案を取り下げるということで幕引きが図られました。これで問題が解決できたわけではありませんので、今後はあるべき入管法を示しながら、弁護士会として意見を表明できればと思います。 今後も、重要法案の動向に対する弁護士会の意見などを、皆さまにお伝えしていきます。
ところで、6月からは当会主催の連続憲法講座(全4回)が始まります。第1回は、6月5日(土)午後1時30分から「日本学術会議会員任命拒否問題-何が問題か?」とのテーマで行います。これは未解決の問題です。是非、一緒に勉強されませんか。第2回以降もご期待下さい。
2021年6月1日 愛知県弁護士会会長 井口 浩治