10月1日は、「法の日」です。

 1959年10月に、裁判所、検察庁及び弁護士会から成る三者協議会は、国民主権のもとに自由と正義を守り平和を維持することは、国民の理想かつ念願であり、そのためには法によって社会秩序を確立し、国際紛争も法の支配の原則によって解決されなければならないとして、この理想と念願を高揚するため10月1日を『法の日』とすることを提唱し、翌年、これを受けて政府により法の日が定められました。

 「法の支配」は多義的な言葉ではありますが、憲法を尊重して、人権を擁護することなどをその中核としています。戦後、日本国憲法が施行され、また、先人たちの不断の努力の積み重ねにより、一歩一歩、人権への配慮が行われるようになりました。

 しかしながら、今なお、様々な人権問題が解決されていないままになっています。選択的夫婦別姓制度も未だに実現しておらず、婚姻に際し意に反して氏を変更しなければならない人の人権は置き去りにされています。えん罪被害をなくすための再審法改正についてもその方向性は不透明です。子ども、高齢者、障がいのある方、外国人など社会的に脆弱な立場にある人に対するものを中心に、様々な不平等や人権侵害が未だ存在しています。

 他方で、「ビジネスと人権」という言葉にも象徴されるように、様々な事件報道などを通じて、社会の中で「人権」に対する意識が高まってきている現象があることも事実です。私たち弁護士・弁護士会は、この社会の流れを活かし、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義を実現するべく、様々な問題の解決に取り組んでいくことを改めて宣言します。

令和7年10月1日  

        愛知県弁護士会 

会 長 川合伸子