司法試験・司法試験予備試験においては、2026年(令和8年)から、出願等のオンライン化のほか、試験についても手書き方式からパソコンを利用して回答する方式(CBT方式)が導入されることになっている(司法試験予備試験の短答式試験の導入時期は未定)。
実務でも、パソコンで書面を作成していることから考えて、司法試験等において、パソコンを利用して回答することは望ましいことでもあり、また、答案を作成する受験者の多くにおいても手書きによる負担が軽減され、採点者側においても判読しづらい文字による答案を採点する負担が軽減されるなどの利便もある。
ただ、現在、法務省から提案されている内容は、従来、答案用紙とともに、配布されていた、問題文、答案構成用紙、司法試験用法文すべてが、パソコンの画面上で確認・利用することになっている。そのため、答案を作成する場合に、問題を見るのであれば2画面になり、合わせて、法文を確認しようとすれば、3画面で対応することになり、答案作成スペースがかなり狭まれてしまう。そして、答案構成は、別画面になるのか明確ではないが、通常、答案構成にあたっては、図を書いたりするのであって、マウスを利用できるとしても、手書きの場合に比してかなりの不便を強いるものとなる。
そのため、問題文、答案構成用紙、司法試験用法文については、紙での配布を希望する声も少なくない。
現在、CBT方式での試験に向けて、練習版や体験版が公開され、練習等が始められる時期であり、プレテストの実施も予定されている。そして、試験方式を確定する前には、実際に練習版等を使用したり、プレテスト等を体験した受験生の声を聞くことが予定されているようである。
そのため、もし、実際に体験した受験生の多くから問題文、答案構成用紙、司法試験用法文のうち、配布されないことで不便を強いられるとの意見が出るのであれば、試験実施に向けて、これらのすべてあるいは一部を別途配布することを改めて検討し、現在予定している実施方式を改善することを求める。
2025年(令和7年)3月31日
愛知県弁護士会
会長 伊 藤 倫 文