本年2月24日、ロシア連邦がウクライナに対して大規模な軍事侵攻を行いました。さらに27日には、プーチン大統領が、核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げることを国防相などに命じたと報道されています。

 国際連合憲章2条は、すべての加盟国に対し、「国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない」こと、「その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」ことを求めています。この国際連合憲章は、人類が過去に繰り返した戦争の過ちを反省し、戦争の惨害を終わらせるとの強い決意のもとに調印したものです。

 今回のロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻は、国際連合憲章に正面から違反し、戦争の惨害を繰り返すものにほかならず、決して容認することは出来ません。

 また、核兵器禁止条約は、核兵器の使用が「壊滅的で非人道的な結末」を招くものであり、「武力紛争の際に適用される国際法の諸規則、特に国際人道法の諸原則及び諸規則に反する」と定めています。

 プーチン大統領による核兵器を用いた威嚇は、このような核兵器の全面的廃絶に向けて取り組んでいる国際社会の潮流に反するものであり、強い非難に値します。

 とりわけ、我が国は唯一の被爆国であり、人類の滅亡を招く核兵器が使用されないよう世界に強く訴える責務があります。

 日本国憲法は、日本国民が恒久の平和を念願し、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求すること、また、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することを謳っており、我々弁護士はかかる日本国憲法の下において、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としています。

 当会は、このような弁護士の使命のもと、今回のロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻と核兵器による威嚇に対して強く抗議するとともに、日本政府が国際秩序に従った紛争解決に向けて更なる努力をすることを求めます。

2022年(令和4年)3月2日

愛知県弁護士会     

会 長  井 口 浩 治