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「オトナの公民」始まる

当会公式YouTube新シリーズ
「オトナの公民」始まる

会報「SOPHIA」 令和6年3月号より

広報委員会 委員長 中 根 浩 二

1 はじめに

 3月13日、当会公式YouTubeに、広報委員会が企画する動画が掲載されました。
 「オトナの公民」と題するこの動画は、公民を学ぶ中学生、高校生だけではなく、大人も学ぶことができる内容になっています。
 当会公式キャラクター「ひまるん」たちと一緒に、アニメーションの形で伝えることで、固い話を、わかりやすく伝えます。

2 一つ目の動画

 一つ目の動画は、「日本国憲法の三大原理なんで覚えるの」です。日本国憲法の三大原理は、人権尊重、国民主権、平和主義です。何故、中学の公民で、これを覚えなければならないのでしょうか。
 この三大原理は、憲法改正の限界であり、改正してはいけない重要な内容であるという、憲法改正限界説の考え方があります。この三大原理は改正できないという考え方があるくらいなのだから、大切なものとして、覚えなければなりません。憲法9条の改正が議論されていますが、憲法改正限界説からは、平和主義を否定するような憲法9条の改正は認められるべきではないということとなります。いずれの説を取るとしても、少なくとも、憲法9条の改正は、安易にできるものではなく、真剣に国民が考えていくべきだと思います。

3 二つ目の動画

 二つ目は、「日本国憲法の改正手続 国民の過半数って何?」です。これも、公民で学ぶ日本国憲法の改正手続についてです。「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と憲法96条1項に定められています。この国民の過半数とは何でしょうか。全国民の過半数ではなく、有効投票数の過半数であり、投票をした数が少なければ、少数の意見で憲法が改正されてしまいます。日本では最低投票率の定めがありません。最低投票率の定めがないことは、憲法に定められているのではなく、憲法改正手続法という法律で定められているものに過ぎません。この憲法改正手続法の現状については、多くの弁護士会が問題であるという会長声明を出しています。

4 動画の趣旨

 このように文章にすると相当難しい内容ですが、アニメで「三大原理なんで覚えるの」「国民の過半数って何?」と考えながら動画を見ると、わかりやすく頭に入ります。公民の知識が定着し、深い理解へと繋がります。弁護士会が有する問題意識を、会長声明とは違う形で、市民と一緒に考えます。今後、オトナの公民をシリーズとして出していきますので、多くの方に見ていただき、授業等に使っていただけたら嬉しいです。

5 さいごに

 このYouTube企画は、2019年4月から、会内で、何度も議論され、約5年をかけて、ようやく発出ができたものです。是非YouTubeで「愛知県弁護士会」と検索していただき、ご覧ください。