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Vivaキッズ日本語ひろば

教育が人生を変える!外国人教育最前線 Vol.4
Vivaキッズ日本語ひろば

会報「SOPHIA」 平成30年 10月号より

人権擁護委員会 国際人権部会 部会員 平林 奈純

1 教室開催のきっかけ

 今回は、岡崎市で活動している「Vivaおかざき!!」開催の「Vivaキッズ日本語ひろば」を紹介します。

 岡崎市には外国にルーツを持つ子ども向けの日本語教室がなく、外国人の保護者から「子どもの勉強や日本語を教えて欲しい」との声が多く寄せられたため、平成25年に開講し、今年度は、岡崎市国際交流協会の委託事業として「OIA&Vivaキッズ日本語ひろば」の名称で7月から12月2日までの毎週日曜日午後1時半から3時半に開催されています。

2 参加者について

 小学生を中心に、現在は年長児から中学2年生まで毎回10人前後の参加があります。国籍はブラジルが1番多く、他にはペルー、中国、フィリピンなどとなっています。

3 教室の活動内容

 最初の45分は「宿題の時間」で、学校の宿題や教科の勉強を1対1でサポーターがついて行います。学校の教科書で分からないところを一つ一つサポーターに熱心に質問している姿が印象的でした。

 次の45分は「日本語の時間」で、日本語のレベルによりグループ分けをし、グループごとに漢字の勉強や、自分の気持ちを文章にするなど、日本語の語彙や表現を増やす勉強をします。来日間もない子どもについては、日本語の初期指導が行われます。

 最後の30分は「本の時間」で、参加者全員で絵本や紙芝居の読み聞かせを楽しみます。スタッフだけでなく、子どもたちや保護者にも読み手になってもらい、日本語だけでなく母語でも読んでもらいます。母語を大切にし、自分のルーツに誇りを持てるきっかけになればという思いと、来日直後で日本語が苦手な子どもにとっては活躍できる場となり、学習意欲を高める一助となればという思いで、こうした母語で話す機会も設けているそうです。

 また、10月から11月までの同日時に大人の日本語教室も開催しており、保護者も日本語が勉強できるようになっています。見学時には、災害時の罹災証明をテーマに、日本語を学ぶと共に制度内容についても学ぶ取組がなされていました。

4 教室の果たす役割

 週1回の日本語教室では、日本語習得としてはできることは限られるけれども、勉強以外にも子どもたちや保護者が生活の中で不安に思っていることを相談できる場になればという思いで教室開催をしているそうです。

 「Vivaおかざき!!」は、教室のサポーターを養成する講座も開催しており、筆者も以前に参加しました。サポーターは外国人を助けるという意識ではなく、同じ地域で暮らす共に学ぶ仲間という意識で活動しています。参加者が地域とのつながりも感じられる場にしたいとの思いがいっぱい詰まった温かい場所になっています。

5 教育環境について

 岡崎市の学校現場では個別授業や通訳を入れるといった対応がなされてはいるものの、現場の先生方に重い負担がかかっているのが現状です。

 日本語指導が必要な児童生徒数が全国で1番多い愛知県だからこそ、学校だけで対応するのではなく、各自治体や学校、NGOやNPOがノウハウを共有し、外国につながる子どもたちの支援体制を作っていく必要があるとのお話をうかがいました。各関係団体の個別の実績を踏まえ、全体的な支援体制を整えていくべき状況にあることを感じました。