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「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則(通称:コロナ版ローン減免制度)の無料電話相談会の実施について

会報「SOPHIA」令和3年 1月号より

災害対策委員会・倒産実務委員会 委員  原 田 和 幸

1 はじめに

令和2年12月23日と24日の2日間、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則(通称名:コロナ版ローン減免制度。以下「特則」)の無料電話相談会(以下「相談会」)が開催されました。
 中部6県の他の単位会でも同日またはいずれか1日を利用して相談会を同時に実施しました。

2 特則の概要について

ごく簡単にご紹介すると、特則は新型コロナウイルス感染症の影響で、失業や収入・売上が減少したこと等によって債務の返済が困難になった個人・個人事業主を対象とした債務整理のルールです。
 財産の一部を手元に残すことができる、信用情報登録機関に登録されない、弁護士等の登録支援専門家の支援が無償というメリットがあります。

3 相談会の趣旨について

特則は、債務者自身が最大債権者に手続着手同意を申し出るという特徴があるほか、利用条件の判断がつきかねる場合もあります。
 また、既に当会の代表電話に市民からの問い合わせが相次いだこともあり、特則への市民の疑問に答えるだけでなく、交通整理も目的に相談会を企画しました。

4 相談会の事前準備について

事前準備の一つとして記者レクを実施しました。記者レク実施後は相談会の告知記事が新聞に掲載されました。また、相談員用MLを立上げて情報共有したほか、相談員向け事前説明会を行い、当日に備えました。

5 相談会当日の体制について

相談時間は2日間とも午前10時から午後4時まで、2回線を設置し各相談室に担当者が待機して対応しました。
 特則が始まり間もないことから、資料等を参照して速やかに回答できるようサポート役も待機しました。サポート役が同室する際は会員間にアクリル板を設置するほか、マスクの着用、部屋の出入口の適宜開閉等、感染リスクを低減するようにして臨みました。

6 相談内容等の紹介について

相談件数は2日間合計で59件でした。初日はテレビ局の取材も入り、その日のうちにテレビ、ネットニュースで報道されたことからも関心の高さがうかがわれました。
 相談会を知ったきっかけとして回答があったものでは特に新聞が目立ち、記者レクの成果が発揮されたようです。
 また、相談者の属性として個人事業主が多く、世相を反映しているように思われます。
 相談内容は、特則利用が適当な相談のほか、既に特則の基準日前から相当期間延滞があるなど法的整理が必要な相談、いわゆる給料ファクタリングで返済が困難になっているなど速やかな弁護士介入が必要と思われる相談もあり、相談会をきっかけに、制度を知らない人にも制度利用の機会を提供することができたように思われます。