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テキシアジャパン被害110番実施される

会報「SOPHIA」 平成31年4月号より

民事介入暴力対策委員会 委員  宇佐美 敦 士

第1 110番実施の経緯

2月13日、テキシアジャパンホールディングス株式会社(以下「テキシアジャパン」)の会長及び幹部ら10人が逮捕され、そのことがテレビや新聞等で大々的に報道されました。報道によると、テキシアジャパンは、会長が広告塔となり、高配当と元本保証をうたって出資の勧誘を行い、北海道から沖縄まで全国約1万3000人から、およそ460億円もの出資金を集めていたとされています。この460億円という数字は、昨年一年間の全国の特殊詐欺被害総額である356.8億円をはるかに超える衝撃的なものでした。

会長らの逮捕報道後、多くの被害者から警察に対し、テキシアジャパンによる被害の訴えとともに、被害回復を求める声が寄せられ、被害者の民事的救済の要請が高まりました。

そこで、当会では、被害者救済の方策を検討する前提として、まずは被害実態を把握すべく、3月20日午前10時から午後4時まで、テキシアジャパン被害110番を実施しました。

第2 110番の実施体制

1 実施主体

本件は、大規模な消費者被害であることはもちろんですが、逮捕者の中には、暴力団関係者が含まれており、当初の報道では、テキシアジャパンが集めた出資金が暴力団に流れているのではないかとの指摘もなされていました(ただし暴力団関係者は後に不起訴)。

そこで、消費者委員会と民事介入暴力対策委員会がタッグを組み、両委員会の共催にて、本110番が実施されることになりました。

2 構成

相談員は、消費者委員会、民事介入暴力対策委員会の有志の委員22名で構成されました。

3 実施方法

当会の相談室に、3台の専用電話を設置し、常時5名以上の会員が待機して交代で電話に出る方法で実施されました。

第3 相談結果等

1 相談件数

110番当日は、受話器を置く間もないほど電話がかかり切りの状態となり、愛知県内だけでなく、全国19都道府県から合計57件もの被害相談が寄せられました。愛知県内の被害者は19名、愛知県以外の被害者はその2倍の38名でした。

2 相談者の年齢層

30代が4名、40代が1名、50代が8名、60代が18名、70代が13名、80代以上が6名でした(なお年齢不明な方が7名)。年齢不明な方を除くと、相談があった被害者のうち7割以上が60代以上の高齢者となります。

3 被害額(出資額)

過半数が100万円以上300万円未満でしたが、1000万円を超える出資をした方も9名おり、最高額は3300万円でした。

第4 今後の対応

110番の結果を踏まえ、当会では、「テキシアジャパン被害対策愛知弁護団」が結成されました(団長:田中清隆会員、事務局長:淺見敏範会員)。

110番実施後も、当会や警察に、さらなる相談対応を求める問合せが多数寄せられています。同弁護団では、今後、訴訟提起も念頭において、まずは110番実施後に当会や警察に相談希望の連絡があった方に順次連絡し、被害状況について詳しい聴き取りを行うなど、さらなる情報収集等を進めていく予定です。