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SNS・アプリ経由の投資詐欺、副業詐欺、消費者被害110番報告

会報「SOPHIA」 令和4年11月号より

消費者委員会 委員 濵  尚行

1 はじめに

 10月12日に、サクラサイト被害弁護団(愛知)・名古屋投資被害弁護士研究会との共催で、『SNS・アプリ経由の投資詐欺、副業詐欺、消費者被害110番』を実施しましたので、ご報告します。

2 110番実施の背景

 昨今、マッチングアプリやLINE等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を端緒として、海外投資・暗号資産等の投資名目で金銭を騙し取られるといった被害や情報商材による被害、マルチ・マルチまがいによる被害等が増えています。

 これら被害類型においては、SNS事業者等による契約者等の本人確認がそもそも不十分であったり、SNS事業者等が、弁護士会照会に対して、加害者・関係者の特定に繋がる契約者情報の報告を拒絶すること等によって、相手方の特定すらできない事案が多くなっています。現在、LINE等のSNSツールは、電話と同様の機能を果たすようになってきていますが、消費者が被害に遭った場合には加害者等を特定することができないため、残念なことに、詐欺や消費者被害の温床となっているのが実情です。

 上記のような被害状況を踏まえて、埼玉弁護士会を皮切りに、当会、福井弁護士会、京都弁護士会、兵庫県弁護士会及び第二東京弁護士会が、SNS事業者等の本人確認義務等に関する意見書・会長声明を発出していますが、これまでのところ、SNS事業者等による報告拒絶の運用は改まっていません。

 本110番は、SNS・アプリを経由した詐欺・消費者被害や、SNS事業者等による本人確認や情報開示の問題について、広く啓発・問題提起をすること等を目的として、サクラサイト被害全国連絡協議会の呼びかけにより、全国一斉で、実施されたものです。

3 110番(愛知)の結果

 相談件数は全部で17件でした。

 20代(6件)や30代(3件)からの相談が比較的多く寄せられましたが、10代~70代まで、幅広い年代からの相談がありました。性別について、男性(8件)・女性(9件)と大きな偏りはありませんでした。相手方と知り合った端緒については、マッチングアプリ、LINE、TikTok、Instagram、Twitter等多種多様でしたが、その後の関係者との連絡に使用したツールの半数以上がLINEでした。

 被害金額については、数十万円~数百万円が中心でしたが、最も大きな被害額は、1000万円でした。

 支払方法の多くは銀行振込でした(なお、SNS・アプリ経由の投資詐欺においては、暗号資産を利用しての送金や、個人口座への送金が悪用されることが多いです)。

4 110番後の取組状況

 10月25日、第二東京弁護士会、当会、京都弁護士会、兵庫県弁護士会、埼玉弁護士会及び福井弁護士会所属の有志の弁護士とともに、総務省、内閣府消費者委員会、消費者庁の各省庁を訪問し、110番の結果等を踏まえて、SNS・アプリを経由した詐欺・消費者被害等の実態を紹介するとともに、SNS事業者等による情報開示や本人確認等の問題を協議しました。すぐに解決するような問題ではなく、引き続き、弁護士会側から多方面への不断の取組が必要です。今後も、是非ともご協力ください。