愛知県弁護士会トップページ> 愛知県弁護士会とは > ライブラリー > 「全国一斉投資被害110番」開催される!

「全国一斉投資被害110番」開催される!

会報「SOPHIA」 平成31年3月号より

消費者委員会 委員 山 田 英 典

1 はじめに

 2月18日、弁護士会館において、消費者委員会及び名古屋投資被害弁護士研究会の共催で、「全国一斉投資被害110番」が開催されました。

 今回の110番も、昨年同様、投資被害の予防・救済に取り組む全国の弁護士が結成する研究団体である先物取引被害全国研究会の呼びかけのもと、全国各地で開催されたものです。

2 110番実施の趣旨

 商品先物取引は、平成23年1月に改正商品先物取引法が施行され、不招請勧誘禁止が導入されて以降、相談件数は減少しているものの、規制を潜脱する業者がいるなど、なお被害の根絶には至っておりません。また、いわゆる特殊詐欺による被害額は、ここ数年、毎年400億円を下回らず、被害者の大半は、体力・知力・認知能力が弱まった高齢者です。さらに、最近は、原野商法の二次被害・次々被害、FXや仮想通貨、情報商材等、様々な年齢層をターゲットに、巧妙な投資詐欺が行われています。

 そこで、これら先物・証券取引被害や投資詐欺被害等の実態を調査し、救済を図るとともに、立法への働きかけ等につなげていくために110番が開催されたものです。

3 110番の結果

 愛知県の相談件数は、商品先物取引(国内公設)1件、FX取引1件、株式・投資信託・社債取引5件、未公開株・未公開社債・ファンド6件、情報商材・必勝法詐欺3件、預託商法3件、その他詐欺的金融商品25件の合計44件でした。

 被害者の年齢層は、30代4件、40代1件、50代4件、60代10件、70代以上5件、不明20件でした。

 一番相談件数の多かった、その他詐欺的金融商品については、ソーシャルレンディング4件、マルチ取引4件、仮想通貨関連3件などが目立ちました。また、その他詐欺的金融商品については、30代で3件、50代で2件、60代で6件、70代で3件の相談があり、高齢者だけが被害者になっているわけではない点も注目すべき点です。

4 投資被害の実態

 核家族化により高齢者のみの世帯が増える中、認知能力・判断能力等の衰えに乗じた勧誘により高齢者が投資詐欺等のターゲットにされていることは否めません。一方、今回の110番においては、30代から70代まで、幅広い世代の被害が見受けられました。高齢者の被害を防ぐことも勿論大事ですが、20代や30代といった若い世代への注意喚起も同時に行っていく必要があります。

5 おわりに

 情報商材や詐欺的投資被害等、騙しの手口は、ますます複雑・巧妙化しています。電話で相談者から説明を聞くだけでは、取引の内容等を把握できないこともあります。そのため、日々の新たな知識の習得や情報収集が重要であると感じました。

 当日の昼頃、110番を実施している旨のテレビ放送がなされ、午後の相談件数が増加しました。投資詐欺等の被害者が潜在的に多数存在している証といえます。

 今回の110番に参加したことで、今後も様々な投資被害の救済に取り組み続ける必要があると感じました。