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「これからの世界・ニッポン~もっと自由に創造的に~」
が開催される!

モーリー・ロバートソンさんによる
「これからの世界・ニッポン~もっと自由に創造的に~」
が開催される!

会報「SOPHIA」 平成30年 10月号より

広報委員会 記念行事部会 部会員 鈴木 崇央

1 はじめに

 10月14日(日)、中区役所ホールにて、国際ジャーナリスト・パーソナリティなど幅広い分野でご活躍されているモーリー・ロバートソンさんをお招きし、名古屋市との共催にて、講演と対談を内容とする法の日週間記念行事を催しました。当日は、450名を上回る方にご来場いただきました。

2 第1部 モーリーさんによる講演

 第1部では、モーリーさんから、「世界の中のニッポン~もっと自由に創造的に~」と題した講演をしていただきました。スコットランド系アメリカ人の医師の父と日本人のジャーナリストの母を持ち、日米を行き来した国際的視点から、日本における日常の様々な問題にどう向き合うべきか、たくさんの笑いを交え、大いに語っていただきました。

 日本は、かつて製造業にてアメリカ製品を参考に、アレンジを加えることで成功し世界を席巻したが、以前のアメリカが日本の急速な経済発展に危機を感じたのと同様に、今度は日本が新興国の台頭等に危機を感じている時代になった。これは歴史的因果であり、日本は新興国を受け入れながら、先進国として、より新しいアイデアを発信すべき立場であることが求められているにもかかわらず、未だに従来の立場から脱却できておらず、そうした日本の構造自体が日本を苦しめており、新しいパラダイムにシフトすべき転機に日本は直面しているというお話が、特に印象的でした。

3 第2部 村瀬さんとの対談

 第2部では、フリーアナウンサーの村瀬寛美さんを聞き手にお迎えし、「モーリー・ロバートソンと考えるこれからの世界」と題し、メディア、差別問題、教育等の幅広いテーマについて、対談をしていただきました。

法の日「モーリーロバートソン.jpg

 メディアについては、報道からバラエティまで様々なテレビ番組でも活躍されているモーリーさんと、名古屋のテレビ局のアナウンサーとして朝の情報番組などを担当されていた村瀬さんならではの経験を交えたお話を伺えました。

 モーリーさんは、特に視聴者数の多いテレビ番組では他と違う意見を発言することが容易ではないが、批判のリスクを引き受けた上で、それが自身の役割と考え、発言をされているとのことでした。

 差別問題では、過去に「日本から出て行け」という心ない言葉を何度も浴びせられたというモーリーさんの実体験や、自身が出演していた深夜のニュース番組での裏話も交えながら、発想力豊かなモーリーさんならではのご意見をいただきました。中でも、日本では、自分たち多数派と違う存在の少数者に不安を感じて差別意識を持つ一方で、特別な成果を挙げた途端に差別していた少数者を賞賛するという国民性があり、そうした「特別な」少数者への賞賛が「平凡な」少数者をさらに息苦しくさせている側面もあるというお話には、とても考えさせられました。

 モーリーさんのお話の根底には、「多様な価値観」への理解が重要であるというメッセージがあり、それが来場者にも伝わった様子でした。会場からの大きな笑い声と拍手の中、本行事は大盛況のうちに幕を閉じました。