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―「法の日」週間行事「裁判を体験してみませんか?」

私が、私たちが、裁判官だ!
―「法の日」週間行事「裁判を体験してみませんか?」

会報「SOPHIA」 平成30年 10月号より

広報委員会 裁判見学ガイド部会員 塩谷 淳夫

1 はじめに

 10月2日午後1時から午後5時頃にかけて、「法の日」週間行事として、三庁合同で裁判体験企画が実施されました。

 企画の概要は、正当防衛の成否(相当性)を争点とした刑事事件の事例について①法曹三者らによる模擬裁判、②市民参加者による模擬評議を行い、その後③検察官・弁護士・裁判官の業務説明をするというものでした。

 平日昼からの開催にもかかわらず、25名もの市民の方々が参加され、盛況となりました。

2 模擬裁判

 名古屋地裁1号法廷にて、まず、司会より、本件事例の概要と刑事訴訟手続の流れ及び基本原理について説明がなされ、続いて現役法曹らによる模擬裁判の実演が行われました。

 模擬裁判では、冒頭手続から、冒頭陳述、証人尋問、被告人質問、論告、弁論に至るまで、公判手続が一通り実演されました。

 筆者(弁護人役)としては、市民の方々が傍聴席で退屈しないかと不安でしたが、市民の方々は、続く評議の時間で公判廷における供述を鋭く引用されたり、「みごたえがあった」「本格的だった」とのご感想をくださったりと、興味深く傍聴してくださいました。

法の日「裁判体験」.jpeg

3 評議

 模擬裁判の後は、いよいよ市民参加者による模擬評議が行われました。3つのグループに分かれて、法曹三者がそれぞれのグループの司会を務め、各市民参加者が裁判官の視点になって、争点(防衛行為としての相当性)について議論を交わしました。

 本年度は、昨年度より15分増量して、40分程の評議時間があったのですが、時間いっぱいまで議論がなされ、さらには休憩時間に入ってもなお参加者から法曹に対して質問がなされるなど、白熱した評議となりました。

 アンケートの感想欄(自由記載)においても、約半数が模擬評議に言及するなど、参加者にとって印象深いものとなったようです。

4 業務説明

 評議の後は、森川奈津検事、堤こずゑ会員、入江恭子裁判官のそれぞれから、法曹三者の日々の業務について説明がなされました。

 評議の時間が増量された分、業務説明は各々15分と短くなってしまいましたが、三者とも簡にして要を得た説明をなされました。

 こうした広報行事は、法曹三者が法廷の外側でも(むしろ外側でこそ)たくさんの仕事をしているのだということを知っていただく場として重要であると改めて感じました。

5 おわりに―アンケート結果から

 今回の企画では、市民参加者25名のうち22名の方から「この企画を今後も継続してほしい」とのアンケート回答を頂きました。

 また、「一人ひとり価値観、正義感が違うのが面白かった」というご感想や、「法曹三者にそれぞれ業務の質問をできる機会も作ってほしい」というご意見を頂きました。

 数字よりも、参加された方に、価値観の多様性を意識していただき、司法への興味を持っていただけたことが、「法の日」週間記念の広報行事として大きな成果であると思います。

 今後とも、こうした成果が得られるよう、尽力いたします。