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憲法と白雪姫~こびと達のリンゴ争奪戦~
会報「SOPHIA」 平成30年8月号より
法教育委員会 憲法と白雪姫チーム チーム長 鵜 飼 雅 成
1 7月31日、小学生向けの主権者教育企画「憲法と白雪姫~こびと達のリンゴ争奪戦~」を実施しました。
主権者教育企画は、昨年の「憲法とアリとキリギリス」に続き、今年が2回目の開催です。今年は、オリジナルのシナリオを作成して臨みました。
2 本講座は、童話「白雪姫」を題材にした創作劇を舞台にしています。
この世界では、女王が改心し、毎年、おいしい魔法のリンゴを作って白雪姫やこびと達に配り、国の住人は魔法のリンゴを主食として暮らしていました。ところが、ある年、女王が魔法に失敗してしまい、十分な数のリンゴが収穫できず、少ないリンゴを何個ずつ分けるべきか?という問題が起こります。本講座は、これをきっかけに白雪姫の国の住人達が直面する問題を通じて、小学生に「平等」について考え、討論をしてもらうというものです。
3 創作劇は3つのパートに分かれており、各パートで、「劇→班ごとの討論→各班の発表」という流れで進行しました。各パートでは次のようなテーマを設定しました。
①最初のパートでは、白雪姫とこびとの身分の違いやこびとの性別を理由に、配るリンゴの数を区別してよいかいう問題を通じ、形式的な平等について考えてもらいました。
②次のパートでは、単純に頭数でリンゴを分けてしまうと飢え死にしてしまうこびとがいる場合、それであっても形式的平等を貫くべきかという問題を通じ、実質的平等について考えてもらいました。
①と②では、同じ「平等」でも差を作らない平等もあれば、差を作る平等もあるということを考えてもらうことを意図していました。小学生からも「どうしたら公平になるか考えることができた」との感想が出るなど、テーマに沿ってしっかりと考えてもらえたようです。
③最終パートでは、今後、リンゴが十分にとれない場合に備えて、何かできることはないかを、小学生に考えてもらいました。ここでは、それまでの劇に出てきた登場人物それぞれの事情を考慮して自由に討論してもらうことを目的としました。 討論では「ビニールハウスを作る」「魔法の鏡の占いを利用する」など、自由な発想で意見を出しつつも、他の人の意見を聞きながら、グループの意見を整理していく様子が、各グループで見られました。
4 小学生には劇を楽しみ、一生懸命討論してもらうことができました。アンケートは劇・討論共に好評でしたが、特に「みんなの意見を聞いて自分の意見が変わったこともあったので、今後は学校でもみんなの意見をよく聞いて、自分の意見をふりかえってみようと思いました」との感想には、本講座で最も伝えたかったことに気付いてもらえたようで、企画者の一員として嬉しく思いました。