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谷間世代への施策について考える院内意見交換会

会報「SOPHIA」 平成30年6月号より

司法修習費用給費制復活緊急対策本部 委員 服部ひかり

 6月5日、衆議院第一議員会館において、修習期間中の給費が無かった新65期から70期までの司法修習生(通称「谷間世代」)についての施策を考える院内意見交換会が行われました。新65期の貸与金返済期限が7月25日に迫る中、返済の猶予を求めて約220名もの参加者が集いました。

1 議員要請

 意見交換会前には、当対策本部の委員7名が愛知県選出の全ての国会議員事務所を回り、間近に迫った新65期の貸与金返済の猶予がされるようご尽力いただきたい旨の議員要請を行いました。ご対応下さった議員や秘書の方々からは、有難い応援や激励の言葉をいただきました。

2 院内意見交換会

 意見交換会は、正木靖子日弁連副会長による谷間世代が経済的負担や不平等感により法曹としての活動に支障が生ずることのないよう、引き続き国による是正措置の実現を目指すこと及び日弁連内で可能な施策を早期に実現することに力を尽くすという内容で、5月25日付の日弁連決議がなされたことを報告する開会挨拶で始まりました。
 開会挨拶が終わった後、出席した議員から、続々と熱いメッセージが語られました。
 印象的だったのは、法務委員会の委員である議員が、新65期の貸与金の返還を5年間延長させる法案を既に準備し、野党がほぼまとまっているとはっきりと述べられ、法曹だけではなく、法曹を通じて司法サービスを享受することとなる国民のために一緒に頑張りましょう、と話されたことでした。谷間世代の問題は、我々法曹の経済的問題のみに止まらないという重要な点を理解していただいた上で、法案の成立に尽力していただいていることにとても励まされました。与党の議員からも、不平等があることは間違いない、谷間世代が給費を受給する権利を回復できると思う、谷間に残された世代のことをしっかりと考えていきたい等の力強いメッセージが続きました。
 議員メッセージのほか、ビギナーズ・ネット代表から、集会日時点で谷間世代の署名が3372通集まっていることの報告や、新65期の会員から、谷間世代当事者の声として、奨学金と修習貸与金で約400万円の債務が残っており返済に不安があること、子どもが大きくなった時に弁護士という職業をあるべき姿で引き継ぎたいと思っていることなどが語られました。また、新しい領域に取り組んでいる新64期の会員からは、利益率が高いとは言えない福祉分野での弁護士業の取組が紹介され、経済的不安があると新しい領域や地方での活動に取り組みにくい、谷間世代の抱える経済的不安を取り除き、救済をすることが必要であるとの報告がありました。
 返済期限が迫り、一刻の猶予も無いという切迫した状況の中、議員本人出席30名、秘書による代理出席65名と多数の議員に出席していただくことができましたが、なんと代理出席を含む出席議員の半数を超える49名が法案成立の鍵を握っている与党の議員でした。
 この院内意見交換会での熱く前向きな議論が国会に反映されるよう、当対策本部はこれからも引き続き頑張っていきたいと思います。

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