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国際案件への取組
会報「SOPHIA」 平成29年12月号より
紛争解決センター運営委員会 国際ADRチーム長 田 邊 正 紀
国際ADRチームは、当センターで最も若いチームです。発足のきっかけは、平成26年に外務省から子の奪取に関するハーグ案件をあっせん手続で扱ってもらえないかという依頼があり、これに対応するために急遽チームを立ち上げたというものです。
1 ハーグ案件への対応
上記案件は残念ながら具体化しませんでしたが、翌平成27年4月からは、当センターが正式にハーグ対応ADR機関として外務省から事業を受託することとなり、この年に初のハーグ案件を取り扱いました。スカイプを使い外国とビデオ通話で当事者同席のもと英語であっせんを行うという初めて尽くしのチャレンジでしたが、見事あっせんを成立させることができました。この成功を受けて、平成28年度も外務省からハーグ対応ADR機関として事業を受託し、この年も1件のハーグ案件であっせんを成立させています。
平成29年4月からは、外務省から競争入札で受託したイギリスのハーグ案件専門の調停機関であるリユナイトとの二国間調停の体制整備を行っています。スカイプを利用して、リユナイト担当者と何度もテレビ会議を開催し、担当委員が実際にイギリスを訪問して打ち合わせを行うなど精力的に活動しています。今後、スクリーニング(調停開始にあたっての事前面接)の研修や模擬調停を開催するなどして、実際の案件受託に向けて準備を進めていきます。
なお、国際家事調停に関しては、外務省主催のドイツ人講師の下、オーストラリア受講生と共に二国間調停の研修を受けるプログラムに委員が参加したり、大阪弁護士会が、レビン小林久子先生を講師として、ここ数年開催している「英語による国際家事調停人養成研修」というものに希望者が任意で参加したりしています。
2 国際仲裁
当チームでは、国際委員会と共同で、国際仲裁の勉強会を継続して開催しています。
平成28年2月14日には、各大学のチーム対抗で行われる国際商事模擬仲裁大会日本大会(国際大会の予選も兼ねています)の見学に同志社大学まで行ってきました。
同年11月9日には、大阪経済大学の澤井啓客員教授をお迎えして、「国際仲裁の実態と注意点」という勉強会を開催しました。
同年11月19日から4泊5日でシンガポール国際商事仲裁センターの視察に行ってきました。通訳なしという条件にもかかわらず20名以上の会員が参加し、国際仲裁への注目度の高さが垣間見えました。
平成29年1月27日には、東建ホール丸の内において、日弁連主催・当会共催にて、「国際仲裁セミナー・国際取引紛争の解決と仲裁の利用~国際仲裁を身近なものに~」を開催し、地元企業を含め100名以上の参加を得ました。
同年10月20日には、国際商事仲裁人及び代理人の第一人者である手塚裕之弁護士(第一東京)を迎えて、勉強会「国際仲裁の実務」を開催しました。
国際仲裁は、スケールも大きく、手続もこれまで当センターが行ってきたあっせん手続とは根本的に異なるものですので、まだまだ勉強段階ですが、近い将来、当センターで国際仲裁を扱えるよう邁進しています。
3 チーム員募集
国際調停は、ハーグ案件調停だけでなく、ビジネス調停も近年脚光を浴びてきています。若い皆さんは、英語に抵抗がない方が多いと思いますので、ぜひ最先端の議論に参加するために国際ADRチームに加入してみてください。現在、女性比率がとても高いので男性の参加もお待ちしています。