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専門家あっせん・仲裁人および専門委員制度のご紹介

会報「SOPHIA」 平成29年12月号より


紛争解決センター運営委員会 医療ADR部会長 服 部 千 鶴 


1 専門家あっせん・仲裁人、専門委員制度
 建築紛争や医療紛争では、建築士、医師の専門家の知見が必要となる事案が多く、また、不動産評価を要する事案(賃料増減額請求等)では不動産鑑定士、境界画定が問題となる事案では土地家屋調査士の知見が必要となる場合があります。
 当会の紛争解決センター(以下、当センター)では、様々な内容の事件処理に適切に対応するため、当会の会員であるあっせん・仲裁人のみならず、一定の資格を有する専門家の方々に専門家あっせん・仲裁人及び専門委員としてご登録いただき、事件の解決にご協力いただいています。
2 現在の専門家あっせん・仲裁人、専門委員の登録状況
 平成29年10月末現在で、専門家あっせん・仲裁人に49名、専門委員に51名が登録しています。内訳は以下のとおりです。
【本会】
専門家あっせん・仲裁人
 カウンセラー5名、不動産鑑定士4名
 建築士20名、土地家屋調査士2名
 フェミニストカウンセラー1名
 国際商事仲裁関係1名、社会福祉士3名
 ITコーディネーター1名
専門委員
 医師45名、歯科医師6名
【西三河支部】
専門家あっせん・仲裁人
 カウンセラー1名、建築士7名
 不動産鑑定士2名
【一宮支部】
専門家あっせん・仲裁人
 建築士2名
3 この数年の新たな取組
① 医師・歯科医師の専門委員を大幅に増強
 当センターには、全国でもトップクラスの件数の医療事件の申立てがあります。手続を適切に進行するにあたり、医学的専門性の高い知見を要することがままあるため、必要に応じて医師の専門委員を選任し、あっせん・仲裁人に事案解決のため必要な医学的知見を提供し、補佐していただきます。この5年間で大幅な増強を図り、平成29年10月時点で28診療科目、合計51名の医師・歯科医師が登録されています。平成24年から28年までの5年間で延べ42名の医師・歯科医師の専門委員に手続関与していただきました。
 県内の大学病院、公立病院、地域医療支援病院などに専門委員の推薦を依頼し、推薦を受けた医師を登録しています。診療科目別、診療科目内の専門性、大学の医局等の関係で、診療科目毎に複数の専門委員を登録できるよう努力しています。
 現時点で、これほどの診療科目と人数を揃えた医師専門委員の制度を採用している弁護士会医療ADRは当センターのみです。この制度が当センターの医療ADRの制度の信用性を高めていると評価しています。
② IT関係の専門家あっせん・仲裁人を登録
 最近増加しているIT関連の紛争事案に対応するため、ITコーディネーターの専門家あっせん・仲裁人を登録しました。
③ 一宮支部の専門家あっせん・仲裁人を登録
 一宮支部でのあっせん・仲裁手続を実施することとなったことに伴い、同支部で委嘱できる建築士の専門家あっせん・仲裁人を登録しました。
4 今後も、手続をより適切に運営するため、専門家あっせん・仲裁人、専門委員制度を充実させていきたいと考えています。