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西三河支部 法の日記念行事

会報「SOPHIA」 平成29年11月号より


西三河支部 記念行事委員会 委員 髙 桒 美 奈


 11月18日、岡崎商工会議所大ホールにおいて、「私たちはどこへ向かうか 危険な空気に抗う」と題して、元「新右翼」で論客の鈴木邦男氏と、ジャーナリストの青木理氏をお迎えし、トークセッションを開催しました。


 まずは、安倍政権が国会での野党の質問時間を制限しようとしていることについて、鈴木氏は、反対勢力の言論への圧力であると思うと批判されました。
 次に、青木氏は、自身はジャーナリストであるため、反権力が基本的な姿勢であるが、思想的には左翼ではなく、真ん中位であり、左翼として扱われる事への違和感、日本全体の右傾化を指摘され、著書「安倍三代」にも書かれていますが、安倍晋太郎氏は、下関出身で地元に在日韓国人が多く、在日韓国人の親友を持つなど、多様性を受け入れる人間的な幅の広さがあったが、現首相は東京育ちで父や偉大な祖父安倍寛氏とは、相当感覚が違うので、安易に日本の右傾化を助長してしまうと懸念を示されました。
 北朝鮮問題については、鈴木氏が何度も北朝鮮を訪問しているご経験を踏まえ、北朝鮮が核を放棄することは考えられないが、北朝鮮はアメリカ打倒を考えておらず、アメリカに認めてもらうことを望んでいるだけなので、認めればいいと述べられ、青木氏も北朝鮮との対話は難しいが、それ以外の選択肢がないと共感を示され、安倍首相は戦後レジームからの脱却を唱えて改憲を訴えているが、本来、戦後レジームからの脱却というのであれば、脱アメリカを目指すべきではないかと述べられました。


 後半では、公安警察の監視対象である鈴木氏と、「日本の公安警察」の著者である青木氏から、9.11テロ以降、日本の公安警察が復権し勢力を増していること、警察は民間が設置している防犯カメラも含めたネットワークを構想し、いわば「神の目」を得ようとしている、しかも犯罪捜査だけでなく、政権に反対する勢力に対する圧力として恣意的に使われる可能性等、監視社会の現状と、共謀罪や特定秘密保護法との関係で監視対象がさらに広がったことが語られました。
 青木氏は、防犯カメラの開示についてのルールの必要性を述べられ、一例として、県警宝塚署と宝塚市とが、共謀罪容疑において、市が保有する防犯カメラを県警に開示するのを裁判所の令状がある場合に限定する協定を締結した事例を紹介されました。


 会場は、260名という定員を上回る参加者数で、会場からは、ネット右翼による暴言等について「これが言論の自由として保障されるべき言論か」等の質問があり、鈴木氏からは、ネットでの批判は、言葉が軽いとの指摘がなされ、青木氏からも、かつてもあった公衆トイレの落書きと同じ、言論とも呼びがたいレベルの発言ではないか、また、ネット右翼からの批判の対象側がいかに切実な危機感を持っているかが語られ、大いに盛り上がりました。