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~一人ひとりが自分らしく生きられる社会へ~

LGBTってなんだろう
~一人ひとりが自分らしく生きられる社会へ~

会報「SOPHIA」 平成28年12月号より

両性の平等に関する委員会 委員  橫 地 明 美

 11月19日、南和行弁護士(大阪弁護士会所属)を講師に迎えて行われた講演会の概要を報告します。

1 ゲイ当事者としての南弁護士の人生

 中学生の頃、男子が好きだと気づき、好きな女子は誰かというような男子グループのコミュニケーションに緊張した。同性愛(ゲイ)の情報がなく自分を受け入れられなかったが、大学時代にインターネット等で同性愛の情報を得たり仲間と繋がることができ、自分だけではないと受け止められるようになった。
 それでもなかなか人に言えず、同性愛者であることを伝えられないまま父が他界した。
 自分のことを半分しか知らずに父は死んだと後悔し、思い切って母にカミングアウトした。同性愛の情報が乏しいなか母は悩んだ様子だったが、南弁護士の交際相手の吉田昌史弁護士(現在、私生活上のパートナー。南弁護士と共に法律事務所を経営)との関係も含めて徐々に理解し受け入れてくれた。
 南弁護士は、性的マイノリティーの人が社会に居場所がなく、自己肯定感も低く、自分のことを大切にできずに心身を傷つけてしまう傾向があると知り、環境が違えば自分もそうだったかもしれない、悩んでいる人にそんなことはないよと伝えたいとの思いで、自分たちのことを社会に発信しているそうです。

2 LGBTを含む多様な性とは

 多くの人は、出生時の身体特徴から割り当てられた性に違和感がなく、かつ、異性愛者ですが、それ以外の「性」をもつ人も、昔から、実は身近に存在しています。
 性的指向に関する言葉である「L・G・B」、性自認に関する言葉で、割り当てられた性別との違和がある人を指す「T」、医療上の診断名で「T」と同義ではない「性同一性障害」の説明の後、言葉は、他人を理解したり自分のことを人に説明したりするには有用だが、言葉によって人のことを決めつけてしまうリスクがあると指摘されました。
 あらゆる人にそれぞれの性的指向と性自認があり、そのことで差別や偏見をもたれず平等に尊重される権利があります。国連の人権委員会等では、あらゆる性的指向と性自認をもつ人の総称として「SOGI」(Sexual Orientation and Gender Identity)という言葉を使っているそうです。

3 LGBTを巡る問題

 南弁護士は、LGBTの方から法律相談を受けたり事件に関与したりし、一橋大学ロースクールのアウティング事件では亡くなった学生の遺族代理人として大学等を相手に裁判を闘っています。LGBTをアウティングする(ばらす)行為は高度なプライバシー情報を暴露する重大な加害行為ですが、司法関係者にも理解が進んでおらず、社会でも、LGBTのことを知らないから傷つける、傷つけられるから言い出せない、伝わらないから知らないままになる...という悪循環があることを指摘されました。なお、LGBTのカミングアウトは、家族、職場、学校で、差別や偏見から孤立化やいじめ等の不利益を受けることを恐れて本人はなかなか言えないので、安易に勧めず、本人が自分のタイミングで自分で決めて言うことを支援してほしいとのことでした。

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