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子ども裁判所開廷!~ティーンコート~
会報「SOPHIA」 平成29年8月号より
法教育委員会 サマースクール部会 ティーンコートチーム員
平 松 達 基
- サマースクール2日目の8月2日、ティーンコートが開催されました。今年は、2コートに分かれての開催となりましたが、参加者の生徒たちは、いずれのコートにおいても、熱心に自分の役割をこなしていました。
- 今年のティーンコートでは、同級生に靴を投げつけ、全治約1か月の左眼窩壁骨折という予想外の重傷を負わせてしまった少年に対し、どのような処分を下すべきかが問題となりました。当日は、弁護士役の生徒たちは少年役の会員から、検察官役の生徒たちは被害者役の会員から事情を聞き取り、聞き取った事情をもとに、それぞれについて尋問を行い、最後に裁判官役の生徒たちが評議を行い処分を決定するという流れで進行しました。
- 生徒たちには、事前に、少年が同級生によるものと思われるTwitterでの誹謗中傷に悩んでいたことや、少年が靴を投げる直前に、被害者が少年の悪口を言っていたこと等、事件に関する基本的な情報が伝えられていたため、それらの情報を足掛かりとして聞き取りが行われました。少年と被害者とのかつての関係性や、Twitterでの誹謗中傷が始まった経緯等のいわゆる裏事情は、事前に生徒たちには伝えられていなかったにもかかわらず、限られた時間の中で、それらの事情についてもしっかりと聞き取りがなされ、尋問に向けた準備が進められていました。
- 聞き取り終了後、模擬法廷に場所を移し尋問が行われました。弁護士役、検察官役の生徒たちは、自分が裁判官に伝えたいと考えた事情について堂々と尋問を行っており、当事者役の会員が設定と矛盾のない回答を行うために頭を悩ませる場面も何度かありました。
尋問の結果、Twitter で少年に対する誹謗中傷を行っていたのは被害者である等の被害者側の落ち度や、少年が今回の事件を起こしてしまったことを反省しており、被害者との関係性を回復したいと思っていること等が判明し、裁判官役の生徒たちは、悩んだ様子で評議室に向かっていました。 - 評議の結果、少年に対して下された処分は、少年と被害者が第三者立ち会いの下、お互いに謝罪する、被害者の怪我が完治するまで、少年が被害者の日常生活をサポートする、被害者は誹謗中傷を行ったTwitterのアカウントを二度と使わないようにするといったものであり、本件の解決だけでなく、少年と被害者の関係性の改善まで見据えた処分となっていました。私は、少年役として参加していましたが、しっかりと事案を把握したうえで、少年、被害者双方のことを考えた処分が下されたことに驚くとともに、少年役を務めた者として、とても嬉しく思いました。
生徒たちからは、「楽しかった」「来年も参加したい」との感想もあり、来年も多くの生徒たちに参加してもらい、自由で活発な議論を行ってもらいたいです。