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「今国会で再審法改正を実現するための緊急キャンペーン」を実施しました
会報「SOPHIA」令和7年7月号より
再審法改正実現本部 事務局長 舩 野 徹
1 街頭宣伝活動等の実施
6月3日、「今国会で再審法改正を実現するための緊急キャンペーン」として、街頭宣伝活動を実施した。場所は、金山総合駅北口付近、天候はあいにくの雨であった。磯貝隆博副会長をはじめ、当会会員、司法修習生、各再審弁護団を支えていただいているボランティアの方々を含め10数名が集結した。
2 運動の目的
なぜ、このような街頭活動をしたのか。これは、「今国会で再審法改正を実現するため」である。再審法改正は、法制審議会ルートと議員立法ルートが併走している状況にある(いわゆる「ダブルトラック」)。
前者によると、改正にたどり着くまで年単位を要することになる。また、改正の内容も、日弁連及び当会が求めている内容からかけ離れたものになりかねない。
このため、ア)改正を早期に実現すること、そして、イ)誤判救済制度としての再審制度を充実させ、えん罪被害者を救済するに足りるものとするためには議員立法ルートによる改正が実現されなければならない。
今回の街頭宣伝活動は、再審法改正に意欲的な議連に属する388名(令和7年5月28日時点)の国会議員の活動を支援し支えるために実施したものである。
マスコミにも積極的に取り上げてもらい、世論を喚起することこそ国会議員の活動の糧になる。マスコミ各社には事前の告知をしつつ、日本全国の単位会で、かつ同日に実施のうえ、各地をオンラインで接続した。
3 街頭活動
街頭活動では、後藤昌弘本部長代行、小林修副本部長が、順次、マイクを握った。両氏いずれも、再審事件を担当されており、実際の再審請求審での理不尽な状況について、実際の体験に基づき訴えられていた。
現行再審制度は、その進行の肝となる証拠開示について、裁判官のよりどころとなるような規定もなく、担当した裁判官によって、えん罪救済に積極的な進行になるか否かが分かれてしまう現状がある(いわゆる「再審格差」)。
また、せっかく、裁判官に確定判決に対する合理的疑いを抱かせ、再審開始決定が出されるに至ったとしても、検察官が不服申立をすることが可能となっている。長期間かけて開始決定が出ても、検察官による不服申立がなされ、上級審での結論が出るまでにさらに長期間を要している。証拠開示に対する消極姿勢と相まって、検察官の対応は、もはや「再審妨害」にあたるのではないかとの指摘もある。
4 活動の手応えは?
当日は、「雨天決行ですか」と中止を示唆(懇願)するほどの酷い雨でした。これに対し、後藤昌弘本部長代行の「やらざるをえんでしょうね」との回答により実施することになりました。
参加者が皆、ズボンの裾を折り目もなくなるほどずぶ濡れにしながらも、急ぎ去って行こうとする通行人の方々にビラを受け取ってもらおうと努力している様を見て、私は初心を忘れていることに気づきました。
運動の手法は多数あり、果たして弁護士がやるべきことなのか悩むこともありますが、「人の支持」を得なくては、法の改正は実現できません。人の気持ちを変え、支持されるための種々の策を繰り出す必要があると思います。当本部でも、今後、心を動かす種々の策を繰り出していくので乞うご期待下さい。

