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法学部生・法科大学院生向けに模擬接見を開催しました ~弁護士の仕事を体験しよう、弁護士と語り合おう~

法科大学院委員会 委員 林   翔  太

1 模擬接見の開催
 令和6年12月11日午後1時30分から午後6時30分まで、名古屋大学東山キャンパスにおいて、同大学大学院法学研究科宮木康博教授による法学部生向けの刑事法ゼミ(宮木ゼミ)と南山大学法学部法律学科岡田悦典教授による刑事訴訟法ゼミ(岡田ゼミ)、そして愛知大学の法科大学院の学生らに対し、模擬接見を行いました。
2 目的
 近年、法科大学院の志願者数及び司法試験受験者数は減少し、法曹志望者の減少も懸念されているところです。
 そこで、当委員会は、平成30年度から法曹志望者の増加を目的として、宮木教授の呼びかけで、ゼミの一環として、模擬接見等に取り組んでいます。門戸は年々広がり、岡田ゼミの学生や、今年度は愛知大学の法科大学院生にも参加いただきました。
3 内容
 模擬接見は、宮木ゼミのゼミ生(法学部2~4年生が中心)、岡田ゼミのゼミ生(法学部3年生)そして愛知大学の法科大学院生の合計約80名、宮木教授、岡田教授、法科大学院委員会の委員のほか、刑事弁護委員会の委員にもご協力をお願いし弁護士合計19名が参加し、全体の参加人数が約100名の大規模な企画となりました。
 模擬接見において、30分間の初回接見という設定で、被疑者役を弁護士が担当しました。
 シナリオは、①傷害、②恐喝、③覚醒剤取締法違反(共同所持)の事例の3種類を用意し、終了次第、被疑者役の弁護士が講評をそれぞれ行いました。
 主たる出題分野も、①刑事訴訟法上の取調べ手続等の問題、②刑法各論における構成要件の理解等講義で触れたことのある問題のほか、③刑事弁護人としての法曹倫理等もテーマとしつつ、取調べで疲弊している被疑者への対応、曖昧な供述に対する事実認定の方法、そして被疑者との信頼関係の保ち方等実務上悩ましい問題も出題しました。学生にとって回答が難しい問題もありましたが、学生は熱心に取り組んでいました。
4 弁護士と語る会、懇親会
 模擬接見後、学生らと弁護士で、一定のテーマで、弁護士の経験談等をざっくばらんに語り合う機会を設けました。参加学生の中には、必ずしも法曹志願者ではなく、多様な進路希望があることから、今年度から日本組織内弁護士協会(JILA)の会員にご協力いただき、参加した各々の弁護士が、刑事弁護や民事弁護、試験勉強のほか、進路選択や民間企業で働くことについて話し、学生からの質問に答えました。学生らのニーズは様々でしたが、参加学生は弁護士の話を熱心に聞いていました。
 語る会の後、名古屋大学の食堂をお借りして、参加者による懇親会を行いました。語る会に続いて、弁護士や学生同士の懇親も図る機会となりました。
5 今後に向けて
 アンケートでは、例年どおり満足である、同様の企画があれば是非とも参加したいという回答が多かったです。一方で、例年指摘されるように、法曹を志望しない理由に、法科大学院の試験や司法試験が難しいという懸念が多く、学生の声を踏まえ、今後も企画を継続し、法曹志望者の増加に向けて尽力したいと思います。