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「紛争解決センター」のご案内
オンラインでの開催が可能になり、執行力も認められるようになりました
「紛争解決センター」のご案内
オンラインでの開催が可能になり、執行力も認められるようになりました
会報「SOPHIA」令和6年5月号より
紛争解決センター運営委員会 委員長
桐 井 弘 司
1 令和5年度の概況
当センターは平成9年4月に設置され、令和6年3月末で丸26年を迎えました。令和5年度の申立受理件数は108件、応諾件数は71件、和解成立件数は21件(いずれも支部含む)でした。
2 当センターの概要
(1) 簡易・迅速な手続
交通事故、賃料の増減額、貸金、売買代金、建物明渡し等の定型的な事件については、WEB上に書式例が掲載されていますので、ダウンロードして簡単に申し立てることができます。また、直近3年の解決事件の平均審理日数は受理日から240日、平均審理回数は4.5回となっています。
(2) 管轄の定めがない
調停の場合には遠隔地の相手方住所で申し立てなければならない場合でも、相手方の応諾が見込めるようであれば、当センターに申し立てて解決を目指すことができます。
(3) 開催の時間・場所等に配慮
期日は原則として弁護士会館で開催しますが、事案や当事者の都合に合わせて、現地で開催したり、土日等にあっせん人の事務所で開催したりすることもできます。また、当事者が遠隔地にいる場合、電話等の通信手段を利用して期日を開催することもできます。
(4) 専門紛争にも対応
建築士、カウンセラー、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会福祉士等を専門家あっせん仲裁人の名簿に登載しているほか、医師及び歯科医師(合計60名)を専門委員の名簿に登載しており、各種の専門的な紛争を解決するための仕組みを整えています。
(5) 認証ADR機関としての法的効果
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)に基づく認証を受けていることにより、①時効の完成猶予の効力が認められ、②話合いによる解決促進のため審理係属中の訴訟手続を中止できる場合があることが定められているほか、③あっせんの申立てが調停前置主義の特則として認められる場合があるという法的効果が付与されています。
3 今後の動き
(1) オンラインADRの実施
令和5年に規則改正を行い、一般事件についてウェブ会議システム(Zoom)を利用した期日開催が可能となりました。当事者双方が希望し、あっせん人によって相当と認められる場合にウェブ会議システムを利用した期日開催を行うことにより、手続の柔軟性が増すことになります。
(2) 執行力の付与
改正ADR法が令和6年4月に施行されたことにより、認証ADR機関において当事者間に成立した和解のうち、当該和解に基づいて民事執行をすることができる旨の合意がなされたものについて「特定和解」として取り扱われる事件については、当事者は、執行決定を得ることにより、強制執行を申し立てることができるようになりました。和解条項の十分な検討が必要となり、令和6年3月にその研修を行いましたが、今後も委員会として適切な和解条項策定のバックアップをしてまいります。
4 結びに代えて
以上のように当センターには様々な利点がありますので、紛争解決の手続選択にあたり、当センターの利用を検討いただきたくよろしくお願いいたします。