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名古屋大学と南山大学の法学部生向けに模擬法律相談を開催しました ~弁護士の仕事を体験しよう、弁護士と語り合おう~

会報「SOPHIA」令和6年1月号より

法科大学院委員会 委員 林   翔  太

1 模擬法律相談の開催
 12月13日午後1時30分から午後6時30分まで、名古屋大学東山キャンパスにおいて、同大学大学院法学研究科宮木康博教授による法学部生向けの刑事法ゼミ(宮木ゼミ)と南山大学法学部法律学科岡田悦典教授による刑事訴訟法ゼミ(岡田ゼミ)の学生らに対し、模擬法律相談を行いました。


2 目的
 法科大学院の志願者数及び司法試験受験者数は、近年減少し、法曹志望者の減少も懸念されているところです。
 そこで、当委員会は、平成30年度から法曹志望者の増加を目的として、宮木教授の呼びかけで模擬接見や模擬法律相談を4回開催し、昨年度は南山大学の岡田ゼミにもご参加いただき模擬接見を実施しました。6回目の今年度は、模擬法律相談を行いました。


3 内容
 模擬法律相談は、宮木ゼミのゼミ生(法学部2~4年生が中心)約50名、岡田ゼミのゼミ生(法学部2~4年生)約20名、宮木教授、岡田教授、当会会員でもある南山大学教授杉浦徳宏会員、そして法科大学院委員会の弁護士合計16名が参加しました。
 昨年の模擬接見において弁護士が被疑者役を担当したところ、今回の模擬法律相談では相談者役を弁護士が担当しました。
 シナリオは、①労働事件(ブラックバイトに悩む学生)、②企業取引(電気工事会社社長)、③離婚(浮気をされた妻)の事例の3種類を用意し、相談時間は30分、終了次第、相談者役の弁護士が講評を行いました。今年の問題を作成する際に、宮木ゼミが検察庁と実施した模擬取調べの企画では、必要な事項を全部聞き取ることができた班には模擬被疑者が自白するなど必要な事項を全部聞き取ることができていた合図を出していたと聞きました。そこで、当会も、これに対抗し、設定内容を網羅的に聞き取りができた班には裏設定(①実は別の人の相談だった、②幸いにも相談中に支払いがあった、③実は相談者も不貞をしていた)を話すようシナリオを作成しました。
 法律の知識や立証方法等の実務上の問題に加え、時間内に網羅的に聞き取ることが難しく、例年よりも難易度の高い事案でした。しかし、参加した学生は難問にひるむことなく、問題に答えようとする姿勢が見られ、熱心さが伝わりました。


4 弁護士と語る会、懇親会
 模擬法律相談後、学生らと弁護士で、一定のテーマで、弁護士の経験談等をざっくばらんに語り合う機会を設けました。参加した各々の弁護士が、弁護士の働き方や経験談、試験勉強等について話し、学生からの質問に答えました。学生らの志望進路は様々でしたが、弁護士の話を熱心に聞いていました。
 今年度は、コロナ感染症が第5類に変更となったことを受け、名古屋大学の食堂をお借りして、参加者による懇親会を行いました。語る会に続いて、弁護士や学生同士の懇親を図る機会となりました。


5 今後に向けて
 アンケートでは、例年どおり満足である、同様の企画があれば是非とも参加したいという回答が多かったです。一方で法曹を志望しない理由に、法科大学院の試験や司法試験が難しいという懸念が多く、学生の声を踏まえ、今後も企画を継続し、法曹志望者の増加に向けて尽力したいと思います。