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紛争解決センターだより 「紛争解決センター」概況報告と利用のご案内
会報「SOPHIA」令和5年5月号より
紛争解決センター運営委員会 令和4年度担当副会長
眞 下 寛 之
1 令和4年度の概況
当センターは平成9年4月に設置され、令和5年3月末で丸25年を迎えました。令和4年度の申立受理件数は128件、応諾件数は93件、和解成立件数は51件(いずれも支部含む)でした。
2 当センターの特長
(1)簡易・迅速な手続
交通事故、賃料の増減額、貸金、売買代金、建物明渡し等の定型的な事件については、ウェブ上に書式例が掲載されていますので、ダウンロードして簡単に申し立てることができます。また、直近3年の解決事件の平均審理日数は受理日から236.6日、平均審理回数は4.8回となっています。
(2)管轄の定めなし
調停については遠隔地の相手方住所で申し立てなければならない場合でも、相手方の応諾が見込めるようであれば、当センターに申し立てて解決を目指すことができます。
(3)開催の時間・場所等に配慮
期日は原則として弁護士会館で開催しますが、事案や当事者の都合に合わせて、現地で開催したり、土日等にあっせん人の事務所で開催したりすることもできます。また、当事者が遠隔地にいる場合、電話を利用して期日を開催することもできます。
(4)専門紛争にも対応
建築士、カウンセラー、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会福祉士等を専門家あっせん仲裁人の名簿に登載しているほか、医師及び歯科医師(合計60名)を専門委員の名簿に登載しており、各種の専門的な紛争を解決するための仕組を整えています。
(5)認証ADR機関としての法的効果
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)に基づく認証を受けていることにより、①時効の完成猶予の効力が認められ、②話合いによる解決促進のため審理係属中の訴訟手続を中止できる場合があることが定められているほか、③あっせんの申立てが調停前置主義の特則として認められる場合があるという法的効果が付与されています。
3 今後の動き
(1)オンラインADRの実施
令和5年度中に、規則改正により、一般事件についてウェブ会議システム(Zoom等)を利用した期日開催が可能になる予定です。当事者双方が希望し、あっせん人によって相当と認められる場合にウェブ会議システムを利用した期日開催を行うことにより、手続の柔軟性が増すことになります。
(2)執行力の付与
ADR法の改正(令和5年4月28日公布、施行日は未定)により、認証ADR機関において当事者間に成立した和解のうち、当該和解に基づいて民事執行をすることができる旨の合意がなされたものについて「特定和解」として取り扱われ、当事者は、執行決定を得ることにより、強制執行を申し立てることができるようになります。令和5年度に、この法律改正に関する研修を実施する予定です。
4 結びに代えて
あっせん・仲裁人、専門委員として当センターの事件処理に日頃からご協力いただいている皆様には、心から感謝申し上げます。また、会員の皆様におかれましては、当センターの特長を踏まえて、手持ち案件の手続選択にあたり、当センターの利用を検討いただきたくよろしくお願いいたします。