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「教えて!校則 ホットライン」を実施しました

会報「SOPHIA」令和5年7月号より

子どもの権利委員会 委員 粕 田 陽 子

 6月25日(日)午前10時から午後4時まで、子どもの権利委員会で「教えて!校則 ホットライン」と称して、校則に関する無料電話法律相談を実施しました。当委員会が取り組んでいる校則プロジェクトの今年度第一弾です。
 皆さんはどの程度校則に関心があるでしょうか。佐賀県弁護士会が2020年10月に「中学校校則の見直しに関する提言」を、福岡県弁護士会が2021年2月に「校則に関する調査報告書」、「中学校校則の見直しを求める意見書」、2023年5月に「校則見直しに関する意見書」を、千葉県弁護士会が2022年9月に「校則調査に関する報告書」を公表しています。また、2021年の大阪地方裁判所の「黒染め校則訴訟」では、染髪を禁じる校則及びこれに基づく頭髪指導は高校教員らの裁量の範囲内で適法であるとされ、社会の耳目を集めました。
 多様性を認め合う社会、人権の尊重の必要性が説かれる中、愛知県の校則も人権を侵害するようなものになっていないだろうか、なっているとしたら弁護士として見て見ぬふりをしてはなるまい、子どもの権利が学校教育に根付いていく方法を子どもや教職員と共に考えたい、というのが校則プロジェクトの出発点です(近頃の子どもの権利を巡る活動の多忙さから、この状況でどうやって取り組めるのか心配もありましたが、共に使命感に燃えてくれる委員が多くありがたいことです)。
 昨年度は県立高校50校(県立高校の約3分の1)の校則について行政文書開示請求を行い、現状を把握しました。しかし、50校に限らず広く状況を知りたかったこと、実際に子どもたち、保護者、学校関係者、地域の皆さんの校則に関する考えを聞く必要があることから、ホットラインを実施することにしたのです。
 当委員会が行う110番電話相談は2009年以来ではないかと思います。校則プロジェクトを取材してくれていた記者さんに協力をお願いしたり、司法記者クラブで記者レクをしたり、当会ホームページに記事を掲載したり、ひまるんにツイートしてもらったり、できる限りの広報を試みましたが、今時はSNSではないのか?との思いや、臨時ニュースになる事件の発生によりテレビの放送予定が延期になったり、当日昼のニュース用のテレビ取材2社がキャンセルになったりして、果たして電話がかかってくるのかドキドキでした。
 結果としては14件の電話(うち1件は子どもたちが集まっているイベント会場から複数の子どもたちの声をまとめて届けてもらうという画期的なもの)をもらいました。子どもはもちろん、保護者、教員、地域の方のご意見もあり、地域の方も校則に関心を持っていること、「内容に疑問があっても存在する以上、ルールは守らなければいけない」という考えが現実にあること、校則改定の方法を知りたい、弁護士の力を借りたいと思っている子どもや教員がいることもわかりました。
 この後、プロジェクトは校則の開示が得られた学校の生徒や教員に対するインタビューを予定しています。そして、11月26日(日)に「子どもの権利条約フォーラム2023 in とよた」の分科会特別枠としてシンポジウムを行い、校則分析やホットライン、インタビューをまとめ、公表したいと思っています。