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(障がい福祉サービスから高齢福祉への転換)

社会福祉士会との合同勉強会
(障がい福祉サービスから高齢福祉への転換)

会報「SOPHIA」令和4年12月号より

高齢者・障害者総合支援センター運営委員会

委員 金 森 拓 也

1 はじめに

 当委員会の委員と愛知県社会福祉士会の会員との間で定期的に開催されている合同勉強会が、今回は、『障がい福祉サービスから高齢福祉(介護保険)への転換~利用可能な制度や意思決定支援の実例~』をテーマに開催されました。障がいのある方が65歳に達して介護保険サービスに転換する際にそれまで受けていたサービスが受けられなくなったり負担が増えたりする、いわゆる「65歳問題」に関し、社会福祉士の渡久地千絵氏と野方真理子氏にご講演をいただき、会場、Zoom合わせて30名の弁護士と社会福祉士が参加しました。

2 障がい福祉サービスと介護保険サービスの適用関係等について

 前半は、渡久地千絵氏より、65歳問題を理解する前提となる障害福祉サービスと介護保険サービスの各制度の仕組や申請方法、サービス内容についてご説明いただきました。
 また、65歳になった際の障がい福祉サービスと介護保険サービスの適用関係について、介護保険優先の原則があるものの、介護保険サービスに相当するサービスがない場合は障がい福祉サービスが利用可能な場合があること(上乗せ利用。例として、同行援護、行動援護、就労移行支援等)や、介護保険で要介護認定が非該当とされた場合でも、障がい福祉サービスによる支援の必要性が認められるときはサービスが利用可能であること等のお話がありました。
 さらに、具体的な事例を基に、ご本人が65歳に達した際のサービス転換の手順や注意点、各種給付や負担軽減制度のご説明もいただきました。特に、ケアマネジャーが介護保険サービスと障がい福祉サービスのプランを作成することになりますが、居宅介護支援事業所が障がいに関する相談支援事業所の申請をしていない場合には、ケアマネジャーが交代する可能性もあるため、この点を確認しておく必要があるという指摘は、頭に置いておく必要があると思いました。

3 ケース紹介

 後半は、野方真理子氏より、65歳問題に直面したご本人を成年後見人として支援された事例についてご紹介いただきました。
 障がい者グループホームで生活してこられたご本人が65歳を迎え、介護保険サービスに転換した際、介護サービスの1割負担が発生し、収支が赤字となる可能性があった事例について、各種給付や負担軽減制度を利用することにより、結果的に収支が赤字になる心配がなくなったこと、また、ADL(日常生活動作)の急減な低下によりグループホームでの生活が難しくなった際に、特別養護老人ホームへの入所に際して、ご本人にわかるように情報提供を行った上で、一緒に考えるというスタンスでご本人の意思決定支援を実施したこと等の内容でした。

4 最後に

 今回の勉強会に参加して、率直な感想としては、障がい福祉サービスから介護保険サービスへの転換の問題も含め、福祉サービス分野の各制度を一からきちんと理解した上で、必要な時期に適切なサービスを選択・活用していくことは、弁護士単独ではなかなか手に負えないのではないか、ということでした。
 そのため、福祉関係者と連携を図り、チームとして一緒にご本人を支援していく体制を構築していく必要性を改めて痛感した次第です。