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空き家セミナー・相談会が開催されました!

会報「SOPHIA」令和5年4月号より

弁護士業務改革委員会 空き家・空き地対策研究チーム 塩  見   明

1 空き家セミナー・相談会

(1)はじめに
 3月26日、名古屋市主催の空き家セミナー・相談会「~空き家を放置すると大変なことに~」が中区役所ホールにて開催されました。当会は、名古屋市と「空家等対策に関する協定」、いわゆる空家協定を締結しており、その協定締結団体として、当セミナーにおける講演者1名、パネリスト1名、相談会の相談員4名を派遣しました。
(2)セミナーの部
 当日は、雨が降り続き天気が悪かったにも関わらず、市民等約80人が参加しました。
 第1部は、名古屋市スポーツ市民局地域振興部・空家等対策担当主幹の筒井亜希子氏より「空き家問題の現状と課題」をテーマに講演が行われました。名古屋市内には、平成30年の調査で空き家が約15万7000戸あり、そのうち放置されている空き家等は約4万3000戸あり、住宅全体の約3.5%を占めていること、名古屋市では、空き家対策を効果的に進めるため、予防・利活用・適切な管理の観点から空家等対策計画を策定し取組を進めていることが報告されました。
 第2部は、当職より「空き家問題とご近所付き合い」をテーマに、空き家問題対策に関わりのある民法改正箇所の解説とケーススタディを行いました。ケーススタディでは、簡単な事例をもとに、空き家の所有者として空き家の適切な管理等を行わないと知らぬ間に近隣住民に迷惑をかけてしまうこと、法的責任を問われてしまう可能性があること等空き家管理の重要性を解説しました。
 第3部は、女優のいとうまい子氏、当会の西山一博会員と他2団体の計4名をパネリストとして「空き家を放置すると大変なことに」をテーマにパネルディスカッションが行われました。いとうまい子氏からは、芸能界デビューを機に名古屋市内の実家が空き家になり、その処分に苦労した経験があり、空き家問題の重要性を実感したこと、また、パネリストからは、相続により空き家所有者になるケースが多く、相続の前に早い段階で売却すること、家族が納得できるような遺言を作成しておくこと等が空き家問題対策として有益であるといった意見が出されました。
(3)相談会の部
 午後は、セミナー参加者を対象にした相談会が実施されました。相談員は、当会の他に、同じく協定締結団体の愛知県司法書士会、愛知県土地家屋調査士会、愛知県宅地建物取引業協会、名古屋税理士会、全日本不動産協会愛知県本部、愛知県行政書士会の各会員でした。受付でスタッフが相談予約者から事前に相談内容を聞き取り、その相談内容に応じて、適切なアドバイスができると思われる団体に相談が割り振られるシステムで、当会は、3件の相談を受けました。内容としては、空き家となった長屋の処分に関する相談や遠方にある空き家の管理に関する相談等でした。セミナー参加者からの相談であり、なかなか難儀な相談内容であったと思いました。

2 空き家問題110番開催報告

 当チームでは、無料電話相談「空き家問題110番」を3か月に1回のペースで開催しており、昨年度から空家等及び空地問題対策事業運営規則に基づき調製された相談担当者名簿に登載された会員に担当を順次割り振っています。昨年度も計4回実施し、1回につき5件から10件近い相談が寄せられています。今後も継続的に実施するとともに、少しでも地元の方々の空き家問題を解消する一助になればと思います。