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「憲法が求める社会とは...男女共同参画は何のためか」開催される

憲法週間記念行事
「憲法が求める社会とは...男女共同参画は何のためか」開催される

会報「SOPHIA」 令和3年6月号より

広報委員会 記念行事部会春チーム チーム員 村 上 奈津美

1 はじめに

 5月29日(土)、上野千鶴子さん(社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク[通称WAN]理事長)をゲストとしてお招きし、「憲法が求める社会とは...男女共同参画は何のためか」をテーマとして、名古屋市との共催にて、憲法週間記念行事を催しました。
 今回は、コロナ禍における開催のため、上野さんの事務所、当会会館、及び鯱城ホールを中継し、オンライン配信にて行うという初めての試みとなりました。

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2 第1部 上野千鶴子さんによる講演

 第1部では、上野さんより、社会における女性の立ち位置と生き方の変化等について、幅広くお話しいただきました。
 現在、日本の大学進学率は、男子よりやや低いものの女子も5割近くに達しているにもかかわらず、東京大学における女子学生の比率はわずか2割であるという現実について、これは、女性は生まれてから継続的に、女性はこうあるべきというバイアスを刷り込まれ、大学入試を迎えるまでの間に達成意欲を消失してしまうからであるという仕組みをお話しいただき、ただ頷くばかりでした。
 また、昭和60年に成立した男女雇用機会均等法は、表向きはジェンダー平等を掲げているように見えて、実は女性の非正規労働者を増やし、男女格差を広げるという結果をもたらしたものであり、こうした問題点が、コロナ禍等の非常時に浮き彫りとなるというお話があり、法制度に問題意識を向けることの重要さに気付かされました。
 最も印象的だったのが、憲法の求める社会とは、「安心して弱者になれる社会」であり、このような社会を次の世代に手渡すため、「わきまえる女」を手放すべき、というお話です。勇気の要ることですが、次世代のためにも違和感を声に出すことの重要性を痛感しました。

3 第2部 パネルディスカッション

 第2部では、「弱者が弱者として生きられる社会を目指して」をテーマに、安積孝師会員をコーディネーターとし、上野さんと池田桂子会員によるパネルディスカッションが行われました。
 上野さんと、当会初の女性会長を務められた池田会員が、専門職に就く女性として悔しい思いをされたり、「女性は家庭を守る」という固定概念に違和感を覚えられたりしたエピソード等で共感される場面や、安積会員が、上野さんより、男性も積極的に子育てに関わるべき、と詰められ、笑いを誘う場面があるなど、大いに盛り上がりました。

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4 おわりに

 初のオンライン開催でしたが、約300名の方にご参加いただきました。様々な方に、真の意味での「平等」とは何かを伝える機会を得られたことは、憲法週間記念行事として大成功であったと思います。