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西三河支部「法の日」記念行事

オンライン開催!
西三河支部「法の日」記念行事

会報「SOPHIA」令和2年10月号より

西三河支部会員 中 山 貴 之

1 はじめに

 西三河支部が毎年実施している「法の日」記念行事ですが、10月1日に「インターネット上の誹謗中傷について」というテーマでZoomビデオウェビナーでの講演会を実施しました。講師にはこの分野の第一人者である中澤佑一弁護士(埼玉)をリモートでお招きしました。Zoom視聴及び西三河支部会館での会場視聴による開催となり、約100名の方に受講していただきました。

2 講師による講義

(1)中澤弁護士にはインターネット上の誹謗中傷について、視聴者への質問を挟みながらライブ感のある講義をしていただきました。
(2)具体的な内容としては、インターネット上の誹謗中傷は何ら負担なくいつでも可能である一方で基本的に無関係の人にも閲覧可能で削除されるまで残り続けるという性質があること、誹謗中傷は匿名で行われることが多く中傷を受けた側は大きな精神的負担(知人、友人などの身近な人からの中傷かもしれないというストレス)を感じること、インターネット上の誹謗中傷を削除する方法、相手に対する民事上の損害賠償請求や名誉毀損、侮辱罪での刑事告訴等の責任追及の方法について、ご経験を交えながらお話しいただきました。
(3)また、相手方への責任追及には発信者の特定が必要となるものの、捜査機関の協力を得て特定するのは困難であること、現行法上の制度では通常発信者の特定までに2度の裁判が必要となるところ、通信記録が保存されている期間は通常3~6か月程度と短いことが多いことから、誹謗中傷を見つけても相手方を特定することが困難であることも少なくなく、可能であるとしても時間的制約があること等、責任追及における現実的な問題についての詳しいお話も聞くことができました。

3 質疑応答

 講義後、ZoomビデオウェビナーのQ&A機能を用いて視聴者から質問を募り、中澤弁護士にポイントを絞ってお答えいただきました。
  その中でも、検索結果の削除が可能かどうかの質問について、結論としては可能であるが検索の結果表示された情報を一つ一つ削除する必要がある旨回答がなされ、インターネット上の誹謗中傷の削除に要する膨大な労力や苦労がうかがわれました。また、誹謗中傷の場合に裁判上認められる慰謝料額はどの程度かという質問に関して、一般人よりも有名人の方が高くなる傾向があるとの興味深い話もありました。

4 アンケート

 講演会後に実施したアンケートの結果、誹謗中傷に関する法制度・対策について勉強になってよかった、自宅や移動中など会場に行かずにリモート参加できて良かったなどの感想をいただき、大変好評でした。

5 おわりに

 今年度の「法の日」記念行事は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、従来とは異なるオンライン形式での開催となりましたが、中澤弁護士及びご協力いただきました関係者の皆様のおかげで無事開催できました。また、近年インターネット上の誹謗中傷は年々増加傾向で、今後さらに注目が集まる分野であり、「法の日」記念行事の新しい試みとして大変有意義なものになったと思います。