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模擬接見企画に参加しました!

会報「SOPHIA」令和元年12月号より

名古屋大学法学部4年 高 島 菜 緒

1 11月20日、名古屋大学法学部の宮木ゼミ(刑事法)の活動の一環として、愛知県弁護士会法科大学院委員会による模擬接見に参加しました。企画内容は、各種勾留事案(強制わいせつ、恐喝、覚せい剤所持)について、学生が弁護人役、法科大学院委員会の先生方が被疑者役となり、上記3つの事案全ての接見を体験するというものでした。
 昨年も模擬接見企画に参加しましたが、今年は、被疑者役を学生ではなく、弁護士の先生方が担当してくださったこともあって、リアルさが増し、緊張感をもって接見に臨むことができました。
2 事前準備の段階では、弁護人として被疑者に伝えなければならない事柄の確認のほか、逆に自分が被疑者だったらどのようなことを弁護人に質問したいかを想像し、それらへの対応を用意した上で接見に臨みました。しかし、いざ本番となると想定外の質問が多くなされ、回答に窮することが多々ありました。特に、被疑者からの要望にどこまで応えるべきなのかについては、非常に悩みました。安易に応えて何か問題が起こってしまえば、取り返しがつかない一方、それを恐れてやるべきことまでできないという事態は避けなければならないからです。仮に、要望を断ることになっても、被疑者との信頼関係が損なわれないよう、なぜ断るのか、被疑者が納得できる理由を説明しなければならないことを学びました。
3 接見後に行われた講評では、被疑者役を担当してくださった先生から、回答を曖昧にしないようにとの指摘を受けました。実際に、被疑者から今後の方針として具体的にどのような行動をとるべきか尋ねられた際に、自分の判断に自信が持てず、はっきりと答えられなかったことは反省すべき点です。必ずしも正解があるわけではない問いに対して、自分自身で責任をもって判断しなければならない点に、難しさと同時に面白さも感じました。
4 また、今回の模擬接見を通して、普段から学んでいる刑事法の知識を実務の場面で実践することの難しさを痛感しました。たとえ知識があったとしても、それを分かりやすく伝えたり、具体的な事情からどのような法的問題点があるかをとっさに回答したりする能力は、座学だけでは鍛えられないからです。普段から具体的な場面を想像しながら勉強することの大切さに気付かされました。たとえば、今回の接見では、接見禁止という制度を知っていたとしても、その趣旨まで知らなければ答えられない質問が被疑者からなされました。接見禁止は何のためにあるのか、どのような場合に付されるのかまで考えながら勉強していれば答えることができたはずです。今後はこれらのことも意識しつつ、勉学に励みたいと思います。
5 さらに、被疑者から話を聞き出すことにも苦労しました。3人の被疑者と接見をしましたが、それぞれ人となりも異なり、個性に応じた対応が求められることがわかりました。今回の模擬接見企画により、実際の弁護人の活動を具体的に想像することができたほか、その活動の魅力や面白さを、身をもって感じることができました。この経験を今後のゼミ活動や日頃の勉学に役立てていきたいと思います。最後になりましたが、昨年に引き続き、このような模擬接見の企画・準備をしてくださった法科大学院委員会の先生方、本当にありがとうございました。