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久しぶりだね。これ海外旅行のお土産。 |
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社長、いつもお気遣いいただいてありがとうございます。今回はどの国に旅行に行ってこられたのでしたっけ? |
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今回はカリブ海のクルーズに行ってきたよ。 |
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優雅な旅行ですね。羨ましいです。私も海外旅行に行きたいですよ。 |
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いやいや、若い時に妻には苦労をかけたし、今の会社があるのも妻のおかげだと思っているから、そろそろ恩返ししないとね。 ところで、少し前に旅行会社の倒産の話がニュースになっていたよね。私もあの会社を利用したことがあったから、あのニュースを見た時にヒヤッとしたよ。 |
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それは危なかったですね。確かにあの会社の倒産は大きな問題になっていますね。最終的に解決するまでしばらくかかりそうですし。 |
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私は旅行の代金をクレジットカードで支払うことが多いのだけれど、仮に旅行の代金を支払った後に旅行会社が倒産した場合、旅行会社とクレジット会社は無関係だから、クレジット会社からの請求に対しては何も言えないよね? |
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確かに、旅行の契約とクレジット契約は別の契約ですので、旅行会社が倒産したとしてもクレジット会社が自動的に請求を止めるといったことはありません。 ただ、旅行代金の分が銀行口座から引き落とされていなければ支払い停止の抗弁という方法があります。 |
【支払い停止の抗弁とは?】
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支払い停止の抗弁って何かな? |
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クレジットカードを利用して購入した役務を提供してもらえない場合などに、クレジット会社からの代金請求に対し、その問題が解決するまでの間、支払いを停止できるというものです。旅行会社が倒産した場合であれば、購入した役務が提供されませんので、支払い停止の抗弁を利用することができます。 ただし、今回の旅行会社の倒産については、問題が大きすぎるからか、各クレジット会社で対応が多少異なるようです。 |
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そんな制度があるのだね。支払い停止の抗弁は、他にどのような場合に利用できるのかな? |
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商品(権利)を引き渡してくれない場合、商品や役務に欠陥などの問題がある場合、クーリングオフに応じてくれない場合など契約内容等に問題がある場合です。 |
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それじゃあ、インターネットショッピングで注文した物が届かない場合などの普段の生活でクレジットカードを使用した場合にも利用できる制度なのだね。 |
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その通りです。売買契約などの一般的な契約でも利用できます。ただし、先ほどお伝えしたように、それらの契約とクレジット契約とは別の契約になりますので、まずは、商品や役務を提供する事業者との間で解決できるように努めてください。 |
【支払い停止の抗弁の利用の条件と方法】
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支払い停止の抗弁は、それらの問題があればいつでも利用できるのかな? |
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例外もあります。支払い停止の抗弁は割賦販売法上の制度ですので、割賦販売法の適用を受けることが前提です。そのため、一括払いの場合には利用できません。ただし、後からリボ払いにすることで利用することはできます。なお、今回の旅行会社の倒産の場合には、例外的に一括払いでも支払い停止の抗弁を受け付けているクレジット会社もあるようです。 また、支払い金額が手数料込で4万円(リボ払いの場合には3万8千円)未満の場合も利用できません。 他にも、商行為などの事業や職務のための契約を締結した場合には利用できません。 |
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いろいろと条件があるのだね。その条件を満たした場合に、支払い停止の抗弁を利用するにはどのような方法をとればいいのかな? |
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決められた方法はないのですが、例えば、クレジット会社に対して支払い停止の抗弁を利用する旨及びその事情を記載した通知書を送付する方法があります。念のため、内容証明郵便を利用した方がいいと思います。 |
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何を記載すればいいか分からない場合にはどうすればいいのかな? |
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一般社団法人日本クレジット協会のホームページには、「支払い停止等のお申出の内容に関する書面」という書式やその記載例がありますので、それを印刷して利用すると簡単です。 |
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そんな便利な書式もあるのだね。それでも専門的な知識がないから少し不安だね。そもそも自分が条件を満たすかもわからない場合もあるだろうし。 |
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そのような時は、弁護士に相談していただくといいかと思います。 ご自身だけで、手続きを行う場合には、書面を送付する前にクレジット会社に電話していただき、支払い停止の抗弁を利用することを伝え、書面の送付先を確認して下さい。また、念のため送付前にコピーをとっておいた方がいいと思います。さらに、停止の手続きが間に合わないこともありますので気を付けてください。 |
【その他注意すべきこと】
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手続きの方法が分からないからといって、支払い停止の抗弁を利用せずに、引き落としができないように預金を引き出すことのないようにしてください。信用を失い、延滞金が発生することになりますので。 |
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支払い停止の抗弁を利用した場合、その他にやるべきことはあるのかな? |
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先ほどお伝えしたように、支払い停止の抗弁は、その問題が解決するまでの間、支払いを停止できるというものです。ですから、商品や役務を提供する事業者との間で、問題を解決する必要があります。 |
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よく分かったよ。ありがとう。 では、旅行代金が銀行口座から引き落とされた後は、できることはないのかな? |
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その場合には、商品や役務を提供する事業者との間で、問題を解決することになります。 なお、法律上の制度ではないですが、クレジットカードの不正利用があった場合や契約内容に問題があった場合などに、購入者の申請により、クレジット会社が、その売上の取り消し、既に支払った代金を取り戻すための手続きであるチャージバックという方法はあります。ただし、法律上の制度ではなく、クレジット会社の個別の対応になります。その詳細は、クレジットカード会社に問い合わせていただいた方がいいかと思います。 |
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いろいろ教えてくれてありがとう。参考になったよ。 |