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小学生向け主権者教育企画 憲法と白雪姫

会報「SOPHIA」令和3年8月号より

法教育委員会 主権者教育企画チーム
小 出 麻 緒

1 8月6日午前、小学生向け主権者教育企画「憲法と白雪姫」をZoomにて実施しました(小学5・6年生対象)。今年度は、過去の当会オリジナルシナリオの記録動画を編集して利用しました。今年度は関東地方等県外の参加者を含め約50名にご参加いただきました。

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2 本講座は、童話「白雪姫」の物語の後、女王が反省し、皆に魔法のリンゴを作って喜んでもらうという場面から始まります。当日は動画を見てもらい、数に限りのある魔法のリンゴの分け方に関する3つの問を設定し、グループに分かれて評議を行い、各グループから評議内容を発表してもらいました。

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 第1問は、魔法のリンゴが12個しか作れず、魔法の鏡の占いで出た「白雪姫4個、女王4個、女性のこびと3個、男性のこびと1個」という分け方の当否について考えてもらいました(形式的平等)。評議の中では、「国に貢献しているのは皆同じだから全員同数にすべき」「男女差別は良くないのでこびとの間では同数にすべき」「白雪姫は被害者で女王は加害者だから女王から白雪姫に多く分けるべき」「女王と白雪姫は国に貢献しているから多くてよい」など様々な意見が出ました。


 第2問は、白雪姫たちが12個の魔法のリンゴを3個ずつ分けることにしたところへ、リンゴ農家でお金持ちの8人家族のこびとが登場する場面から始まります。このこびとが「自分も魔法のリンゴがほしい」と主張したことから、リンゴに困っていないリンゴ農家のこびと一家と、魔法のリンゴがないと困る者たちとで、同じ数ずつリンゴを分けることの当否について考えてもらいました(実質的平等)。評議の中では、「リンゴ農家のこびとが他の仲間にもリンゴを分けてくれるなら魔法のリンゴを同じ数分けてもよい」「そもそも魔法のリンゴをあげなくてもリンゴ農家のこびとは困らないからあげなくても良い」「魔法のリンゴを分けても良いが、リンゴ農家には合計4個までしか分けられない」など、リンゴ農家と他の仲間の魔法のリンゴの個数を調整しようとする意見が多数あり、形式的な平等を貫いたときの問題点に気付いてもらえたようです。


 第3問は、リンゴ農園や魔法のリンゴが不作になった時に備え、それぞれの特技や自慢を生かした新たなルールを考えてもらいました。評議の中では、「みんなの特技でお金を稼いで食べ物などを買えるようにする」「白雪姫が得意な歌をリンゴに聞かせておいしいリンゴが育つようにする」「広い土地を生かして色々な野菜や果物を育てるようにする」など独創的な意見が出ました。
 いずれの設問でも、制作側の想定を超えた小学生らしい柔軟で興味深い意見が多く、弁護士の方も刺激を受け、新たな発見を得ることもできました。


3 子どもたちのアンケートには、「動画があってわかりやすかった」「他にも小学生の企画があればもっと参加したい」など、好評の声が多くみられ、自分の意見を発表する喜び、他の参加者から自分と違う意見が出る面白さなど、楽しい時間を過ごしてもらえたようです。次年度以降も、小学生に議論をする面白さをますます感じてもらえるよう、テーマやシナリオに工夫を重ねていきたいと思います。