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新時代のサマースクールへの挑戦

会報「SOPHIA」令和3年8月号より

法教育委員会 委員長
臼 井 幹 裕

1 サマースクールとは

 当会は、平成15年度から毎年、サマースクールを開校してきました。小学生や中高生に弁護士会館に来てもらい、自分と異なる意見に触れ、主体的に物事を考える機会を提供するとともに、「生の」弁護士に接し、その活動に理解を深めてもらおうという試みです。
 しかし、昨年は新型コロナウイルス感染防止のためやむなく中止。その悔しい思いを胸に、本年度は、全講座のオンライン開催に挑戦しました。
 各講座の内容及びその盛況ぶりは別稿に譲りますが、いくつかの課題をクリアしながら、本年度のサマースクールを8月2日、3日及び6日の3日間にわたって、無事に開催し終えました。

2 必ず開催する

 私たちの当初の思いは、一昨年のような対面での開催にありましたが、コロナ感染予防の課題は、本年度においても重くのしかかり、昨年度の「Webスクール」の経験をもとに、オンライン開催に舵を切りました。大人と違い、小中高生たちの1年間は大きい。2年続けての開催中止は絶対に避けたいという思いでした。

3 いくつかの課題

 従来の対面形式を想定した各講座をオンライン上で実施できるよう課題を洗い出しました。「弁護士に挑戦!」や「ティーンコート」では、中高生の発言を促しサポートすることがそもそもオンラインで適切に行いうるかの懸念がありました。また、模擬裁判になじむ動画コンテンツが準備できるか、その動画再生が円滑に実現できるかの不安がありました。さらには、募集方法、撮影承諾書や修了証の授受、参加当日の回線接続の段取りなどサマースクール運営における課題もいろいろありました。これら1つ1つの課題に対して、サマースクール部会長を初め、各講座チーム長を中心とした若手委員の対応力、その活躍には目覚ましいものがありました。

4 募集開始

 申込み開始は、6月1日から。初日から複数名の申込みがあり、楽しみに待っていてくれたことに感動しました。申込みは、グーグルフォームを利用し、受付完了を自動返信、定員に達した時点での受付停止などデジタル技術を駆使しての対応でした。オンラインでのサマースクールにどの程度参加してくれるだろうかと不安がありましたが、3日間で延べ150名もの児童生徒が参加してくれました。また、愛知県下の小中高生に留まらず、熊本、石川、東京など遠隔地からの申込みもあり、地理的障壁を乗り越えました。

5 開催当日

 当日は、一部の参加者に一時的な接続不良はありましたが、各講座とも受講できない参加者を出すことなく全員に修了証を交付できました。アンケートを通じた参加者の声も、オンラインによる不都合を指摘するものは見られず、例年同様に講座内容にも好意的な意見がほとんどでした。弁護士のサポート不足の懸念も、利用を予定しなかったチャット機能を使って参加者から意見が示されるなど、顕在化はせずに終わった感があります。これも、何度もリハーサルをするなどした各委員の周到な準備のおかげと感謝しています。
 私は、一昨年、「新時代のサマースクールを求めて」と会報に書きました。今回の挑戦は、新時代のサマースクールの大きな第一歩となったと思います。次年度のさらなる進化を密かに期待しています。
 最後になりますが、コロナ禍においても、「ここだけの話」に、快く精鋭の裁判官・検察官を派遣いただいた裁判所・検察庁に対して、この場を借りて深く感謝を申し上げます。