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喜連川社会復帰促進センターの見学
会報「SOPHIA」 令和7年12月号より
刑事処遇に関する委員会 委員 木 村 斉
1 11月28日に栃木県にある喜連川社会復帰促進センター(宇都宮駅からバスで約1時間)を参加者10名で見学しました。
2 同センターは、敷地面積が42万余平米(東京ドーム9つ分)ほどで、4つの居室棟と作業場がそれぞれつながり、庭には自然があふれ、広々とした施設です。
同センターは、平成19年10月に東日本では唯一のPFI(Private Finance Initiative)手法と構造改革特区制度を活用した新しいタイプの刑務所として運用を開始しましたが、令和3年度をもってPFI事業は終了し、令和4年度から公共サービスの改革に関する法律事業による施設運営に移行しました。それにより警備業務の一部が民から官に移ったようですが、維持管理業務や職業訓練・教育支援・調査支援・医療事務などが民間事業者に委託され官民協働で施設運営がされていることに変わりはないとのことでした。
3 宇都宮拘置支所建替え工事のための仮移転があり、現在の収容定員は1956名で、うち同センターが1820名(犯罪傾向が進んでいない男子受刑者及び勤労の必要性がある者の一般ユニット1365名、身体障害を有するもので養護的処遇を要する者又は精神・知的障害を有する者で社会適応のための訓練を要する者の特化ユニット406名、女子受刑者49名)、宇都宮拘置支所が136名となっています。
そして、現在の収容者数は1300名弱で、大半が一般処遇課程(G指標)のレベル2(再犯リスクが低く処遇準備性が低い)ですが、中には開放的処遇課程(O指標。開放的施設での処遇等の実施が可能と見込まれる者で施設外の農場で作業)が数名おり、また、女子受刑者は30名弱とのことでした。
4 同センターでは多種多様な職業訓練が準備されており、一般ユニットで14科目、特化ユニットで1科目あり、女子受刑者にはネイリスト科があります。就業が難しい女子受刑者であっても少しでも就業につながるようにする取組との説明がありました。また、床やエアコンの清掃などのハウスクリーニングを学ぶクリーンスタッフ科では、極めて珍しく男子受刑者と女子受刑者が一緒に作業するとのことでした。見学日が矯正指導の日で作業を見ることはできませんでしたが、男性も女性も一緒に生活している社会内のことを視野に入れた取組との説明を受けました。作業場の男性用トイレを女性用トイレに変更し、男子受刑者は別の階のトイレを使用するなどの配慮もされていました。
5 同センターに収容されている者の大半が犯罪傾向が進んでいないからだと思われますが、仮釈放により出所する者が約90%です。一般の約60%に比べると非常に高くなっています。ただ、それでも仮釈放で出所するまでの執行率は80%を超えています。
6 拘禁刑が始まり新たな指標の再設定がありましたが、同センターに拘禁刑で収容されている者はまだ僅かであり、大きな変化はないようでした。
7 見学後に例年どおり懇親会をし、参加者それぞれが感想を交換しました。受刑者は刑罰により自由を制約されますが、刑務所見学をすると、どこの刑事施設に収容されるかによって大きな差があることを実感します。

