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再び戦争の惨禍が起こることのないように ~「危機の時代」の私たちの選択~

第67回人権擁護大会・シンポジウム第2分科会
再び戦争の惨禍が起こることのないように ~「危機の時代」の私たちの選択~

会報「SOPHIA」 令和7年12月号より

憲法問題委員会 副委員長 川 口   創

 第2分科会は、「再び戦争の惨禍が起こることのないように~『危機の時代』の私たちの選択~」と題し、集団的自衛権行使を認めたこの10年で日本がどう変容したかを俯瞰する、密度の濃い充実した企画が持たれた。

 基調講演として、フリーランスのジャーナリストの布施祐仁さんから、「戦後の安全保障政策からの大転換を問う」として講演があった。布施さんからは、2021年4月には、日米首脳会議で約半世紀ぶりに「台湾海峡の平和と安定の重要性」が共同委声明に明記され、台湾有事が急に安全保障課題として浮上してきたこと、2022年1月、日米安全保障協議委員会(2+2)で日米の軍隊一体化と、敵基地攻撃能力保有などが一気に進んできたことが紹介され、「台湾有事」が起きたときに日米ともに戦うための体制づくりを着々と進めてきたことが具体的に説明された。

 米軍の作戦構想は、日本本土全体をアメリカとの関係で「不沈空母」とする構想であり、しかも、すでに自衛隊は米軍の指揮命令に従うこととされており、自衛隊のミサイル発射をコントロールしているのは米軍であり、台湾有事の際には、米軍の判断で、日本から中国にミサイルを発射していく体制となっていることが紹介された。

 南西諸島で既に急激に進んでいる基地拡大強化が、このまま日本全土のミサイル基地化へと進んだとすれば、米軍の判断のもと、日本全土から中国にミサイル攻撃することになる。そうなれば日本全土がどうなるか。当然、日本から攻撃を受けた中国は、日本全土に反撃のためにミサイルを発射してくるであろう。

 布施さんは、今、立ち止まって国民全体で考え直すべき時だと強調された。

 河合公明さん(長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授)は、「核抑止力論について考える国際法と『長崎的リアリズム』の視点から」と題して、核抑止力論の問題点を端的に指摘された。

 高校生平和大使の皆さんから、新鮮な平和教育の話が報告され、大いに勇気づけられた。パネルディスカッションでは、憲法学者でアフガニスタンやガザに深くかかわってきた清末愛砂さんから、ガザに対するジェノサイドに日本が加担していることが耐え難いとのコメントと共に、憲法が定めている「全世界の市民の平和的生存権のため」に行動を起こしていきたいとの報告がなされた。

 猿田佐世弁護士(私と同期・名古屋修習・第二東京)からは、ASEANの「アメリカ中国どちらをとることもしない」という外交方針の大切さが語られ、どの国とも仲良くする幅広い外交戦略が大事だとの訴えがあった。。

 そして、日本は中国と戦争をする理由はない、なぜこんなに緊張関係が高まっているのか、ASEANに見習うべきことがたくさんあると話された。

 猿田弁護士からは、最後に、「今、人類が普遍的価値として作ってきた法の支配や民主主義の理念が崩されている。すべて軍事力で決めていいのであれば、人権、民主主義、法の支配などいらない。弱者を守るために、憲法があり、人権などがある。私たち法律家がよって立つ人権、民主主義、法の支配の理念などが崩されていっている。今目の前で起こっている安全保障をめぐる問題は、人権の問題でもあり、まさに弁護士が対応すべきこと。日弁連として、弁護士として、堂々と訴えていきましょう。」と締めくくられ、大いに力をもらった。