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第67回日弁連人権擁護大会(長崎市)が開催されました
会報「SOPHIA」 令和7年12月号より
会員 吉 田 和 永
はじめに
長崎市にて、12月11日にシンポジウム、翌12日に第67回日弁連人権擁護大会が開催されました。長崎市では57年ぶりの開催とのことです。
大会は、2024年度下期から2025年度上期までの事業活動報告がなされた後、特別講演、議事へと進められました。
2 特別講演「核兵器も戦争もない人間社会を」
昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表役員を務める田中熙巳さんによる講演がなされました。長崎に原爆が投下された際の壮絶な体験から、核兵器から生まれる結果は人間が人間に対して行ったものとは思えない惨状であり、核兵器を廃絶するために全ての国が努力しなければならないと、強く訴えられました。
3 ともに学び・育つインクルーシブ教育及びともに生きるインクルーシブ社会の実現を求める決議
この決議は、障害の有無を問わずともに学ぶインクルーシブ(包摂的)教育と、障害のある人の脱施設化という切り口から、インクルーシブ社会の実現に向けた政策を提言するものです。
討論の結果、この決議は圧倒的賛成多数で可決されました。
4 戦争をしない、させない 長崎宣言
この宣言は、戦後80年間、日本は一度も戦争をせず平和国家として国際的信頼を築いてきたが、2014年の安保法制及び2022年の安保三文書により平和国家の変容のおそれがあることから、戦争をしない、させない、そして核兵器のない世界を実現するため全力を尽くしていくことを宣言するものです。
いくつかの質問の後に討論がなされ、この宣言も圧倒的賛成多数で可決されました。
5 当事者の性別にかかわりなく婚姻を可能とする民法等の改正を求める決議
この決議は、法令上の性別が同性の者同士の婚姻を認めていない現在の日本の状況が、法の下の平等原則違反を惹起し、個人の尊厳を侵していることから、国に対して、直ちに当事者の性別にかかわりなく婚姻できるよう法令の改正を行うよう求めるものです。
この決議も、圧倒的賛成多数で可決されました。
6 特別報告
特別報告として、取調べの可視化等、刑事司法の改革すべき諸点を示す「袴田事件判決を踏まえた在るべき刑事司法の件」、相次ぐ再審無罪判決により再審法改正の世論が高まっている一方で法制審議会で議論されている現状を問題視する「再審法改正をめぐる情勢の件」、及び優生手術被害者ご本人による体験談と併せ、補償法の成立にまで至った現状を報告する「旧優生保護法に関する被害回復の歩みの件」の3件の報告がなされました。
7 次期大会開催地に関する報告等
次期大会は仙台市で開かれることの報告とともに、仙台弁護士会会長からのご挨拶がありました。
8 おわりに
手話や字幕表示はもちろん、会場には体を伸ばして休めるスペースが設けられる等、随所でインクルーシブ社会が意識されていたのが印象的でした。また、シンポジウムと併せ、非常に充実した大会であったとの声が各所で聞かれました。

