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法の日記念行事 東三河支部 法の日記念行事を開催しました 小泉悠さんの講演から考えるロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障

会報「SOPHIA」 令和5年11月号より

東三河支部 広報委員会 委員 赤 松 陽太郎

1 東三河支部法の日記念行事の開催

 10月14日(土)、豊橋商工会議所において、東三河支部の法の日記念行事を開催しました。

 昨年までは新型コロナウイルス禍により規模を縮小しての開催となっていましたが、今年は例年どおり、無料法律相談、独自企画及び人数制限を設けない講師講演を行いました。

2 無料法律相談

 25件の相談枠を設け、14件の無料法律相談を支部会員が行いました。

3 独自企画

 支部会員による独自企画として模擬法律相談を行いました。弁護士役を西岡治紀会員、相談者役を大串啓太会員が熱演。遺言の効力を争いたいという相談を、所々笑いを誘いながら、二人がリアルに披露しました。

4 講師による講演

 東京大学先端科学技術研究センター専任講師・小泉悠さんを講師としてお迎えし、「ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障」というテーマで講演をしていただきました。

 これまでの法の日記念行事では、事前に数件、講演についての問い合わせがあったのですが、今年は1件しか問い合わせがなかったため、どの程度の来場があるのか不安を感じていました。しかし、午後0時50分の開場と同時に続々と観覧者が訪れたため、急遽、開場ホールの両側と後方の壁沿いに椅子を設置することに。最大収容人数が180名の大ホールがほぼ満席となりました。

 小泉さんによると、ウクライナ戦争前は世の中のロシア・ウクライナに対する関心は薄かったが、開戦後は関心が高まり、小泉さんへの講演依頼も増えたとのことでした。私の印象では、例年よりも若い方が多く、中には制服を着た高校生もいたため、幅広い年代が関心を持っている事態なのだと感じました。

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 小泉さんは、民間人の被害、戦争の経過、両国の戦力、ロシアによる非人道的行為や核による抑止、ウクライナ独力での抵抗と西側諸国の援助といった現在までの戦況の他、プーチンが戦争を起こした動機、今後の戦争の見通し、日本がロシアとどう向き合うかといったことまでお話しをされました。

 その中でも、「ロシアは武力によって、最近では核の使用も示唆して、ウクライナをロシアの一部にするために今回の戦争を起こしている。国際秩序を守るため、そして、日本の安全保障のためにも、ロシアによる侵略の成功という前例を作ってはならない」という指摘が重い意味を持っていると感じました。小泉さんが、「妻がロシア人であり、ロシアに親しみを持っているからこそ、今回の件ではロシアに対して厳しい意見を述べなければならない」と仰っていたのが印象的でした。

5 閉会と開宴

 小泉さんの講演が大盛況に終わった後、伊藤隆穂東三河支部長の挨拶をもって東三河支部法の日記念行事は閉会しました。その後、4年ぶりに懇親会を開催し、コロナに縛られないノーマルな法の日記念行事は幕を閉じました。