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西三河支部 法の日記念行事 小和田哲男先生にきく「徳川家康と国づくり」

会報「SOPHIA」 令和5年11月号より

西三河支部記念行事委員会 委員  三 宅 大 輝

1 概要

 本年度の西三河支部では、以下の概要のとおり、4年ぶりに現実の会場において法の日記念行事を開催した。

 日時:10月29日(日)14時~17時

 場所:豊田市福祉センター(定員500名)

 講師:小和田哲男先生(歴史学者)

 次第:小川淳会長挨拶

    小和田哲男先生の講演会90分

    小和田哲男先生と会員の座談会60分

(パネラーとして室会員、西川会員、赤塚会員、土屋会員、高橋会員、進行役として都築会員)

    土面尋志副支部長挨拶

 司会:加計会員

 当日は、事前に用意した整理券が466枚配布され、開場前から入場待ちの列ができるほどの盛況となった。

2 小和田哲男先生が語る徳川家康

 小和田先生は、講演の冒頭から軽妙な語り口で大河ドラマの時代考証の裏側をお話しされ、一気に会場全体が先生の講演に惹き付けられた。

 先生は、「平和と不戦」、「人命尊重」、「文化国家・教育国家」、「節約とリサイクル社会」、「人材育成」という5つの視点から、徳川家康が天下泰平を成し遂げた秘訣に迫った。特に節約やリサイクル社会という点は、まさに現代社会が直面する課題を先取りするかのような興味深い一面であった。

 また先生は、家康が不戦や人命尊重を実現する方法として種々の発展的かつ実効的な法度を制定したことを挙げ、法治国家を築き上げた家康の功績も強調された。

 先生は、信長と秀吉、さらには今川家あってこその家康と説明されたが、人との出会いや時の巡り合わせに恵まれた一面も家康にはあったのであろう。

 一方、座談会では、先生が歴史学者を志したきっかけが子どもの頃から城好きであったことや学校の先生に歴史博士と褒められたことにあったというエピソードをお話しいただくなど、先生の素朴な一面も窺い知ることができた。

 また先生は、疑問を抱いた時には現地を見て、現地の声に耳を傾ける大切さを強調され、史実の認定には文献調査だけでなく現地調査が欠かせないことを説明された。これは、我々法曹にも通ずるところであるが、かつて松本潤さんが他のドラマで演じた刑事専門弁護士の働きぶりにも重なるところがあり、奇妙な巡り合わせを感じた。

3 総括

 終了後には、来場者から口々に良い企画だったとのお声掛けをいただき、また260名もの方々からアンケートの回答をお寄せいただくことができた。回答では95%以上の方が本行事を良かったと評価され、また総じて家康の国づくりが勉強になった、時代考証の話が興味深かったなどの感想をいただき、非常に良い反響を得た行事となった。

 本行事を成功に導いていただいた小和田先生に感謝申し上げたい。