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~急速発展するミャンマーの今!~

ミャンマー視察旅行
~急速発展するミャンマーの今!~

会報「SOPHIA」平成31年2月号より

国際委員会 委員 瀧 島 達 哉

1 はじめに

 国際委員会では、2月7日から12日の日程で、昨今急速な経済発展をみせるミャンマー連邦共和国(ミャンマー)の視察を行いました。当地には当委員会の中島朋子会員がJICA専門家として赴任しています。

2 MJTD訪問

 外国資本は雇用創出やインフラ整備、技術導入において有用な一方で、内国産業を脅かす可能性があります。そこで、ミャンマーではSEZ(経済特区)が設けられ、特区内への企業誘致が行われています。今回訪問したのはティラワSEZを運営するMJTD(Myanmar Japan Thilawa Development Ltd.)です。同社では、企業進出状況や進出手続、今後のミャンマーの発展予想を聞くことができました。

3 ILAMとの会合

 ミャンマーにある弁護士会の1つであるILAM(Independent Lawyers'Association of Myanmar)会員弁護士との意見交換をしました。若手弁護士に対する国際標準研修の実施を検討されており、国際化に対する意識の高さを感じました。他方で、弁護士自治や独立が不十分という点に関する懸念も表明されました。

4 西ヤンゴン地裁訪問

 最も印象深かったのは女性裁判官の数です。ミャンマーでは司法官試験(裁判官になるための試験、合格率約10%、なお弁護士になるための試験は特にありません)受験の段階で女性の比率が多いようです。裁判では判決による終結が多数を占めるようですが、事案処理の長期化も課題になっているようでした。

5 JICAミャンマー事務所訪問

 日本からミャンマーに対しては、2016年からの5年間で、官民合わせて8000億円の援助がされる見込みです。ミャンマーでは、中央政府と少数民族との衝突、中国・インド・タイなどの周辺国との調整、法整備経験不足による法案成立の遅延という課題があります。JICAではこうした状況下で、インフラ整備や即効性のある法制度整備支援を行っています。

6 SAGA国際法律事務所訪問

 東南アジアを中心として、主に日系企業に対する法的支援を行っているSAGA国際法律事務所を訪問しました。代表の堤雄史弁護士からは、非常に興味深いミャンマーの実情を伺うことができました。

7 法務長官府・ 最高裁訪問

 法務長官府ではU Tun Tun Oo法務長官が、最高裁ではU Htun Htun Oo最高裁長官が、それぞれご対応下さいました。

ミャンマー視察旅行(最高裁訪問).jpg

 法務長官府での意見交換では日本の弁護士会制度についての関心がよせられました。現在ミャンマーではBar Council Act(弁護士会法)の改正作業中であり、日本の弁護士会の構成や役割に関する質問が集中しました。

 最高裁での意見交換では、まず最高裁の概要説明がありました。最高裁には弁護士ライセンスの発行権限や懲戒権限がありますが、弁護士からも最高裁裁判官が選任されます。最高裁には名古屋大学に留学していた職員の方もおり、愛知県とミャンマーの交流の深さを感じました。

8 最後に

 今回の視察では、上記の他にも滞在邦人の方々との会合や国会見学など、多くの関係者のご協力により、非常に濃密な時間を過ごすことができ、ミャンマーの現状や今後の展望、課題を体感することができました。

国際委員会 委員瀧 島 達 哉